『北朝鮮脱出 地獄の政治犯収容所』 死刑になった遺体に石を投げつけさせる

 この本は、強制収容所から脱出した方の手記です。この強制収容所の実態を知らずに、北朝鮮は語れないでしょう。

北朝鮮脱出〈上〉地獄の政治犯収容所 (文春文庫)』 P206-209


 絞首刑を初めて見る人は、かたずをのんで見つめていた。数千にのぼる人びとの呼吸音さえ聞こえるほど、緊張が高まった。水の流れる音が思いがけなく大きく聞こえた。
 死刑囚二名が、保衛員に引き立てられて絞首台にあがった。そして頭に頭巾をかぶせられ、すぐさま首にロープがかけられた。
 二名の保衛員が現われ、白い布で絞首台の前をさえぎった。つばをのみこむ音さえ聞こえるほどまわりは静かであった。沈黙の中で何分経ったことだろうか。
 「一列に整列せよ」
 という声が聞こえた。 “『北朝鮮脱出 地獄の政治犯収容所』 死刑になった遺体に石を投げつけさせる” の続きを読む

『北朝鮮脱出 地獄の政治犯収容所』 帰国した在日同胞の慟哭

 この本は、強制収容所から脱出した方の手記です。この強制収容所の実態を知らずに、北朝鮮は語れないでしょう。

北朝鮮脱出〈上〉地獄の政治犯収容所 (文春文庫)』 P65-67、121-123


 私たちは金日成、金正日の写真に最敬礼をして新年の挨拶を捧げた。そばで監督がお辞儀の仕方を監督し、お辞儀がすんだ家族の名前を名簿に記入してから帰してくれた。家に帰った祖母は胸を叩きながら嘆いた。
 「私は死ななければならない。私は気が狂っていた。私はどうして共産党なんかに入ってしまったんだろう。このままでは死んでも死にきれない。ああ、私の愚かさをどのようにして償うことができようか。私だけが苦労して死ぬのだったら、どんなに幸福だろうか。こんな生地獄に息子だけでなく孫も住まわせるとは……。ああ、この私の罪をどうしよう」
 祖母はとめどもなく泣いた。私と美湖はは寒くて古い毛布を頭からかぶっていたのだが、祖母の嘆きを子守り歌にして寝てしまった。 “『北朝鮮脱出 地獄の政治犯収容所』 帰国した在日同胞の慟哭” の続きを読む

『北朝鮮脱出 地獄の政治犯収容所』 肉親の死を悼むことさえ許されない

 この本は、強制収容所から脱出した方の手記です。ここでは、強制収容所内での子供達がどれだけ残酷な目にあっているかが書かれています。この強制収容所の実態を知らずに、北朝鮮は語れないでしょう。

北朝鮮脱出〈上〉地獄の政治犯収容所 (文春文庫)』 単行本版 P168-169


 ある日突然、黄英洙が学校へ出てこなくなった。
 「そこの席が空いているな。さぼったやつは誰だ?」
 イノシシこと崔成根教員は、欠席したのが英洙であることを確認すると、
 「姜哲煥、襄正澈、おまえたち二人は英洙を捕えてこい」
 と言った。
 黄英洙の家の近くまでくると痛哭する声が聞こえ、何人かの人が集まっていた。 “『北朝鮮脱出 地獄の政治犯収容所』 肉親の死を悼むことさえ許されない” の続きを読む

『北朝鮮脱出 地獄の政治犯収容所』 教師のありえない暴力

 

 この本は、強制収容所から脱出した方の手記です。ここでは、強制収容所内での子供達がどれだけ残酷な目にあっているかが書かれています。この強制収容所の実態を知らずに、北朝鮮は語れないでしょう。

『北朝鮮脱出〈上〉地獄の政治犯収容所』 P140-144


 <金起雲先生はどこへ行ったのだろうか。たぶん、私たちに対し、あまりにも親切にしたせいで追い出されたのにちがいない……>
 過ぎ去った日々が次から次へと浮かんできた。飴玉をくれたこと、私の肩に手を乗せて親切に語りかけてくれたこと……。いろいろなことが走馬灯のように頭の中を通り過ぎた。このように心の奥底から泣けてくるのは初めてであった。人間は実に不思議である。保衛員がわめき散らしながら殴りつけたとき、痛さのあまり涙が出たことがあった。しかしそのときの私の涙は、それとは質が違うようであった。私は久しぶりに声を出して泣いた。

 数日後、新しい担任がやって来た。 “『北朝鮮脱出 地獄の政治犯収容所』 教師のありえない暴力” の続きを読む

『北朝鮮脱出 地獄の政治犯収容所』 生徒が狂うまで暴力を加える

 

 この本は、強制収容所から脱出した方の手記です。ここでは、強制収容所内での子供達がどれだけ残酷な目にあっているかが書かれています。この強制収容所の実態を知らずに、北朝鮮は語れないでしょう。

北朝鮮脱出〈上〉地獄の政治犯収容所 (文春文庫)』 P181-184


 昨晩、革命歴史の教員である「老いぼれ狐」こと朴泰洙教員の置いてあった自転車が、めちゃめちゃに壊されていたのである。
 誰が石を投げたのかサドルが壊れ、自転車の電灯がわれているではないか。それを見た朴教員の顔つきはこの世のものとは思えないほどであった。
 「この糞ったれめが。この自転車がどういう自転車か、わかっているのか。これは親愛なる指導者同志の誕生日の特別プレゼントとして賜わった自転車だ。共和国では最高の自転車なんだぞ。その自転車をこんな姿にしてしまったのはどこのどいつだ、早く出てこい。頭を糞だめに突っこまれないうちに早く出てこないか。この反動野郎めが」 “『北朝鮮脱出 地獄の政治犯収容所』 生徒が狂うまで暴力を加える” の続きを読む