米国と韓国 安保と通商を分けているのはどちらか?

韓国の文在寅大統領が米国の通商圧力に対して、「決然と対応」するとしてWTO提訴を検討しているとのこと。

中国がTHAAD配備で嫌がらせしまくってた時とはうってかわって大変勇ましい発言です。

どう考えても中国に対してやったように、圧力緩和に向けた粘り強い外交交渉を米国に対してやるべきだと思えるのですが、そんなことはやらない。いきなり対決モード全開で「WTO提訴するぞ!オラァ!!」と言い出しました。

安保に影響するのではないか?という懸念に対して、文在寅大統領の言い分は「安保と通商は別、ツートラックで対応する」「不合理な保護貿易措置には毅然と対応する」「韓米FTA(自由貿易協定)違反の有無をチェックする」とのこと。

科学的根拠を無視して韓国国民の感情で判断した日本の水産物輸入規制はどうなのよ?と言いたくなります。

まぁそれはそれとして、今回の通商圧力は北朝鮮に宥和的な韓国への懲罰的な意味合いがあるという解説をよく目にします。

これは考え方がまったく逆です。

安保と通商を分けているのは米国の方で、一連の通商圧力は韓米FTAの見直しの延長でしかありません。

 

「鉄鋼の制裁は米韓FTA見直しのための圧力」

これが識者の見方。

そして、米国も対北朝鮮での韓国との安保協力は「揺るがない」と思っているでしょう。そして揺るがないと思っているからこそ、それはそれ、これはこれと韓米FTAの改定に向けて圧力かけてくるわけです。

問題は韓国側の対応。

韓国がやるべきことは、安保と通商をリンクさせて、通商圧力を和らげることです。

「こういうことをされると韓米同盟の結束が揺らぎ、対北朝鮮・対中国での足並みが乱れるからやめてほしい」

こう言って、なりふり構わず雇用を米国国内に戻し、ラストベルトに工場を作って自分の支持基盤を固めようとしているトランプ大統領に抵抗しなければいけません。

これをうまくやっているのは日本。

対中・対北で米国と足並みを揃えているからこそ、貿易黒字が韓国より多い日本は全方位で展開している米国の貿易圧力から逃れられるわけです。

本来、韓国も同じように「韓米同盟の結束のため」という理由で通商圧力を和らげないといけない。

しかし、それができない。

この交渉をするためには、安保面で米国と方向性が一致していないと説得力がありません。

 

今の状態でも同じように「韓米同盟の結束のために」という理由で交渉できるでしょうが、米国側からしたら「対中・対北政策で真逆じゃないか」と言われてしまいます。

日本以上に米国側に立って国際社会で発言していれば、良好な関係が築けて今回の通商摩擦もかなり穏やかになっていたでしょうが、それももはや手遅れ。

今さら中国の東シナ海の横暴を非難する!と言ったり、北朝鮮の残虐な国家体制を批判したり、米国と100%一致すると言ってももはや効果は薄い。

米国にも安保と通商を分けるツートラック交渉とか言い出してますが、分けて対応したら痛い目を見るのは韓国です。

WTO提訴も結構ですが、結果が出るまで長い時間がかかります。さらに韓国側に有利な裁定が下ったとしても無視されたらお終いです。

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