後回しにされる北朝鮮の人権問題

案の定、北朝鮮の人権は極力触れない形で南北対話、米朝会談が進んでいます。

トランプ大統領に期待しましたが、今では(リップサービスだとしても)金正恩を「とても立派で賢い」と評価し、記者会見で人権問題について質問されれば、「他国でも悪いことをした事例はある」と他も悪いことやってるんだから北朝鮮だけに文句言うなというまるで総連や朝鮮大学の教授のような答弁をする始末。

そうなるだろうとは思っていましたが、自国に脅威が及ばなければ隣国の人々がどれだけ人権蹂躙されてても知ったこっちゃないという国際政治の残酷な一面を見せつけられました。

Newsweek (ニューズウィーク日本版)2018年 6/26 号[米朝会談の勝者]』で、ヒューマンライツウォッチの人の寄稿がとても共感できたので紹介します。北の人権問題についてはこの人の言っているような態度があるべき姿だろうと思います。

 

人権問題の改善は必須事項

金は、北朝鮮の人民が世界と自国のギャップに気付きつつあり、権力を維持するためには豊かさと安全を実現する必要があることを認識しているようだ。だが、豊かで安全な国を造るには、大量破壊兵器の査察を受け入れるだけでは不十分だ。その意味では、既に人権は検討事項に含まれている。

いずれにせよ、今後も米朝の交渉が続くなら、人権問題を避け続けることはできない。オバマ政権時代に施行された北朝鮮制裁政策強化法により、アメリカの大統領は、大量破壊兵器の拡散だけでなく人権面でも改善がなければ、金融取引禁止や資産凍結といった制裁を解除できないことになっているからだ。トランプ政権は今後の協議の成功を急ぐばかりに、金の独裁を黙認してはならない。米朝両国が望むと望まざるとにかかわらず、人権問題は交渉のアジェンダに含まれるのだ。

長年辛酸をなめてきた北朝鮮の人々の苦しみを和らげるためには、金に対して悪びれることなく、しつこいくらい何度も、強力に、公然と、人権問題の改善を要求して、制裁の理由は核開発だけでなく人権問題でもあることをその脳裏にたたき込む必要がある。金との交渉を継続するのは結構だが、やたらと金を称賛したり、パンチを引っ込めたりすることは、無責任であり逆効果をもたらすだろう。

外交面で真の進展を生み出すには、金に大量破壊兵器の拡散をやめる以上の約束をさせなければならないことを、アメリカ側がはっきり認識すべきだ。例えば、人権査察官らに刑務所や強制収容所を公開し、労働改革を行い、国連機関と信頼関係を構築し、人権NGOから受けてきた多くの勧告を実行するよう約束させるべきだ。

そのためには、これまでのようなターゲットを絞った厳しい制裁が必要だ。金は、道徳的な言葉を並べたり、おだてたりしても、人民に対する虐待をやめないだろう。やめるように強制しなければならないのだ。

ジョン・シフトン(ヒューマン・ライツ・ウォッチ アジア・アドボカシー部長)

Newsweek (ニューズウィーク日本版)2018年 6/26 号[米朝会談の勝者]』 P25

深く何度もうなずいてしまう正論です。

「オバマ政権時代に施行された北朝鮮制裁政策強化法により、アメリカの大統領は、大量破壊兵器の拡散だけでなく人権面でも改善がなければ、金融取引禁止や資産凍結といった制裁を解除できないことになっている」点は頼もしいですね。

金正恩は素晴らしい人物だとか、北朝鮮は信頼できるとか、空虚なリップサービスの応酬が飛び交ってますが、「人権面での改善がなければ制裁を解除できない」のが法律で定められているのが現実です。ナイスオバマ!!ですね。

諸外国のやるべき行動にも言及されています。つまり「金に対して悪びれることなく、しつこいくらい何度も、強力に、公然と、人権問題の改善を要求して、制裁の理由は核開発だけでなく人権問題でもあることをその脳裏にたたき込む」ことです。

文在寅大統領のように人権問題に沈黙しているようでは話になりません。

ストレートに言いづらいなら、「自由な言論と自由な移動が実現されることによって、北朝鮮は偉大な国へと変貌するだろう!!」てな感じで褒めちぎりながら人権問題の改善をしれっと要求するくらいのことはしてほしいものです。

「わが民族同士」で南北交流を増やしたところで、金正恩が人権蹂躙をやめることはありえません。

上述のように「金は、道徳的な言葉を並べたり、おだてたりしても、人民に対する虐待をやめないだろう。やめるように強制しなければならないのだ」という指摘通りです。

繰り返しますが、韓国や日本、米国含め諸外国がやるべきことは「悪びれることなく、しつこいくらい何度も、強力に、公然と、人権問題の改善を要求して、制裁の理由は核開発だけでなく人権問題でもあることをその脳裏にたたき込む」ことです。