ハノイ首脳会談決裂からどんどん対話ムードが後退中です。
なんだかんだで裏で実務者協議くらいは続くかと思いましたがそれさえも微妙になってきました。
「あ、こりゃもうダメだな」と思ったのは、北朝鮮外務省のクォン・ジョングン米国局長がポンペオ長官代えろと言ったり、崔善姫(チェ・ソンヒ)第1外務次官がボルトンを「愚か者に見える」と言い出したことです。
聞いたこともない北朝鮮の個人や団体と違い、高位級幹部の発言で公然と交代要求を出してきました。交代しなければ交渉しないということでしょう。
そんな要求を米国が飲むわけもなく、めでたく交渉は停滞です。
北朝鮮もミサイル・核実験とは言いがたい「新型戦術誘導武器射撃試験」という微妙なやり方で瀬戸際外交を展開中。
米国から譲歩を引き出そうとしているようですが、北朝鮮への興味はかなり減退してしまっているようで、相当派手なことをやらない限り、米国から前向きなリアクションを引き出すことは困難です。
下手に刺激したら軍事オプションを取られかねませんし、北朝鮮としても打てる手はほぼなし。
北朝鮮は自主経済をかかげて経済制裁受けても頑張るぞ!と貧乏に耐える忍耐モードへ。
米国はビックディール(=完全な非核化措置と制裁解除の取引)に応じろ、さもなくば制裁は維持だ、という姿勢。
これで双方が妥協したりする方が驚きます。
しょせん米国からしたら北朝鮮情勢は数ある世界中の問題の一つでしかありません。
イスラエルがビシバシシリアのイラン軍拠点を空爆し、ベネズエラでは政変が進行中で、スーダンやリビアでは絶賛内戦中。
これに比べたら北朝鮮情勢なんて平和なもんです。
なにせ実際殺し合いしてますから。
米国人も取り返しましたし、特に停滞しても米国は痛くもかゆくもない。
北朝鮮外交が選挙に影響することもありませんから積極的に交渉を進めるモチベーションも起きません。
下手に交渉を進めようと譲歩でもしたら民主党議員からボコボコに批判されること間違いなしの北朝鮮交渉。
これでトランプ政権が北朝鮮外交に積極性を発揮したら驚きます。
別投稿でも書きましたが主戦場は場外乱闘になりそうです。
つまりこの3つ。
今後の主戦場は場外乱闘
場外乱闘。つまり米朝当事者ではなく、その他の当事者による代理戦争的な争いが激化するでしょう。
場外乱闘その1は、制裁逃れと取り締まりのイタチごっこ。
場外乱闘その2は、韓国・文在寅政権を米朝双方が引き寄せようとする争い。
場外乱闘その3は、北朝鮮による中国の支援取り付けと、それをさせまいとする米国の中国圧力との綱引き。
以上、3つが場外乱闘の主戦場となりそうです。
現状の変化点を言えば、その2の韓国を「引き寄せる」争いが、米朝双方とも韓国を「突き放し」、無視されたくなかったらこっち側に立って俺の言うことを代弁せよ、という争いになっていることでしょうか。
あとはその3の中国支援を取り付けようとする動きに、ロシアも加わりそうな点が変化点と言えそうです。
どちらにせよ、米朝直接交渉は当分見込めそうにありませんね。。。まぁ急転直下、180度変わるのが北朝鮮外交ですから何とも言えない部分はありますが。
当分、米朝が遠回しに文句を言いあい、その間を韓国文大統領が右往左往する構図が続くことでしょう。
ここに日本が介入して拉致被害者を取り返すチャンスがあればよいのですが、それも難しそう。
完璧な制裁の履行で崩壊一歩手前まで追い詰められない限り、対北朝鮮外交に大きな変化が出ることはなさそうです。