世界三大戦略家の一人、エドワード・ルトワック氏。今後アメリカが南シナ海や、その他の地域で中国とどう対応すべきか意見を書いていました。その内容が、昔のアメリカ人が書いた中国に対する対応方法と同じなのが面白い。
『SAPIO(サピオ) 2017年 02 月号 [雑誌]』 P18-19
要約はこれ。
- トランプ登場で米中関係は一変
- 東アジアでの軍事力を強化する
- 中東とアフガニスタンから撤退を表明
- 欧州でも中東でも関与を減らせば自動的にパワーは東アジアにシフト
- 中国「封じ込め」とは、海洋に新たな島が作られることを眺めることではない抑止のための行動を起こすということ。
- 中国は威嚇的な拡張を続け、なんの代償も払わなかった
- トランプ新政権は中国の冒険主義的な行動を許容しない
- その場合、後退するのは中国
- アメリカは最初から中国と対決を求めてはいない
- 中国が無法に進出してきたときだけ断固として反対するということ
- これが封じ込め戦略
同じことを言っている人が、戦前のアメリカ人でもいました。
中国外交の危険性
セオドア・ルーズベルト大統領は「アメリカの中国化」という言葉をよく使った。中国人の思惑通り、中国人にすぐ同情するアメリカの世論のことを言ったのである。初め「中国のアメリカ化」が生じ、それから「アメリカの中国化」が来るという意味である。
この四半世紀のことを見ていると彼の判断は正しかった。中国人は、いわゆるアメリカ人的考えをまともに受け入れないが、アメリカ人はお涙頂戴の中国人の嘘八百話を、まるで福音書の如く信じているのである。
条約を結んでも何も解決しない国と付き合っているのである。条約は(相手が誰でも)大切に守らなければならないものである。しかし道徳観念や経済事情が異なる国が相手では条約は当てにならない。
アメリカ人の生命財産を守る唯一の手段は明確な政策を示すことである。
我慢の限度を明確にすることである。紙に書いても無駄である。
挑発行為が発生したら、すかさず行動を起こすべきである。
今までは極力、衝突を避け、脅威を与えないような政策を取ってきたが、これからは毅然たる姿勢を示すことは可能である。善意で彼らに接し、多くの慈善事業を提供した。彼らはこれが理解できず、逆に利用し、どんなひどいことをしても構わないと思っている。これはきっぱり止めさせなければならない。
中国外交を支持するのは危険である。これが極東事情を知らない人にはわからない。遠からぬ将来、中口紛争、第二の日清戦争の可能性も否定できない。親中派宣教師の情報にアメリカの世論は踊らされているから、問題が起こったら、アメリカが同盟国として火中の栗を拾ってくれるだろうと期待している。
彼らは近隣と揉め事を起こす天才である。
これを承知の上であくまで火中の栗を拾う役を引き受けるならば、大変である。何の感謝もされない。今までされたこともない。骨折り損のくたびれもうけである。
『暗黒大陸 中国の真実』 P291-292
「挑発行為が発生したら、すかさず行動を起こすべきである」
名言です。エドワード・ルトワック氏が言っていることと同じ。
著書、『中国4.0 暴発する中華帝国 ((文春新書))』でも、中国にはリアクティブ(反応的に)対処すべきと書いてありました。
これをやらずに、誠意を尽くせば変わるとメルヘンなことを思っていたから今みたいな泥沼になってしまったわけです。
おかげさまで南シナ海がカオスになっています。
『暗黒大陸 中国の真実』の著者、ラルフ・タウンゼントは1931年に上海副領事になり、その後極東問題の専門家として活躍していた人です。
この本は本当に名著。
まるで今の中国のことを言っているとしか思えない内容のオンパレードです。
そして、その中国に対する苦言がそのまま北朝鮮にも当てはまります。
良く韓国と北は根が一緒だの、同じ民族だのという意見ありますが、北と根が一緒なのはどっからどう見ても中国でしょう。
「善意で彼らに接し、多くの慈善事業を提供した。」
「彼らはこれが理解できず、逆に利用し、どんなひどいことをしても構わないと思っている。」
という内容なんて、韓国の太陽政策そのまんまです。
韓国はいつまで北にシバかれ続ければ気がすむのか、、、。まぁ日本も人のことは言えませんが。
「セオドア・ルーズベルト大統領は「アメリカの中国化」という言葉をよく使った」
「中国人の思惑通り、中国人にすぐ同情するアメリカの世論のことを言ったのである」
「アメリカ人はお涙頂戴の中国人の嘘八百話を、まるで福音書の如く信じているのである」
他人事とは思えない。慰安婦ハルモニの話しや、戦前の日帝植民地時代の話しを信じてしまうのと同じです。
今の状況にあてはめれば、韓国の「従北化」ですね。
「韓国人はお涙頂戴の従北人士の嘘八百を、まるで福音書の如く信じているのである」、といったところでしょう。
「条約を結んでも何も解決しない国と付き合っているのである」
これなんて本当に名言。中国&北朝鮮にそのまま当てはまります。
やばいのは韓国。北の執拗な瓦解工作に内部分裂させられて、中朝と同レベルにまで落ちていきそうになっています。まさに韓国の従北化の危機です。
SAPIOのエドワード・ルトワック氏のインタビュー記事ですが、もう一つ重要な内容がこれ。
トランプ陣営がもう一つ、強い不満を抱いているのは、中国が北朝鮮への経済制裁を履行せず、結果として北朝鮮の核武装や人権弾圧を助長している実態だ。
中国は北朝鮮と取引する国営企業の利益を北の核武装阻止という目的より優先させている。吉林省や遼寧省の経済利益を優先させているのだ。
その結果、北朝鮮は韓国や日本を一気に破壊できる核兵器の開発へと前進する。トランプ新大統領はそんな中国の行動をもう許容しないだろう。
『SAPIO(サピオ) 2017年 02 月号 [雑誌]』 P18-19
従北さんたちが、トランプが「金正恩とハンバーガーを食べながら核問題について話し合いたい」と言ったことに淡い期待を抱いているようです。
典型的な総連さんブログではこんな書かれ方をしています。
最近の報道を総合すると、オバマ政権が朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮・北朝鮮)へと実施してきた「対朝鮮政策」は、「トランプ政権」が発足すれば見直される、と分析されている。
オバマ政権の「対朝鮮政策」は、「戦略的忍耐」と称された。つまりは、なにもしないでじっと我慢する。打つ手がないので、耐え凌ぐしか手がなかった。
オバマ政権の「戦略的忍耐」は、朝鮮の核兵器能力の向上をもたらし、アメリカの国益を著しく後退させた。
なのでトランプ政権は、「戦略的忍耐」政策を早々に打ち切り、「戦略的関与」政策による朝鮮との接触を積極的に試み、対話を通じた朝鮮との関係改善策を模索するはずだ。
「対話を通じた朝鮮との関係改善を模索」
アホですね。やるわきゃないでしょう。
厳密にいえばできるわけがない。
エドワード・ルトワックいわく「トランプ氏は、中国が押してくれば、必ず押し返すという姿勢なのだ」ということです。
北朝鮮にも当然同じ対応をしてきます。
金正恩と仲良く会話している姿を想像している北朝鮮専門家がいますが、なぜそういう想像ができるのか理解にくるしむ。
キャラ的に水と油としか思えませんけど。
金正恩のような残虐な勘違いの若造と、ドナルド・トランプが笑顔で対談する姿なんてまずありえない。
総連さんブログが、「対話を通じた朝鮮との関係改善策を模索するはずだ」、という淡い期待を抱いているようですが、トランプがやる外交なんて超シンプルでしょう。
- 核を放棄しろ
- 強制収容所はじめ人権弾圧をやめろ
- それを受け入れるなら、米国は北朝鮮と関係改善する用意がある
- やらないなら制裁をどんどん強化し、最終的には軍事侵攻もあり
以上終了です。
高度な駆け引きなどやらないですよ。
条件をのまないならさらなる制裁が加わるだけです。エドワード・ルトワック氏が言うように、中国に本気で対北制裁を履行しろとせまるでしょう。
こういう己の願望がダダ漏れの意見は微妙ですよね。
金正恩同志とオバマ米大統領がにこやかに握手したり、同席するイメージはまったくわかないけど、トランプ氏と金正恩氏が抱き合ったり2人で爆笑する様子はすっごく頭に浮かんでくる今日この頃。
— 高英起(コウ・ヨンギ)YouTubeチャンネル開設! (@dailynkjapan) December 7, 2016
似たもの同士の2人。仲良くなれるかも… pic.twitter.com/iuu4HgoIV1
— 高英起(コウ・ヨンギ)YouTubeチャンネル開設! (@dailynkjapan) December 7, 2016
言ってることが総連さんのブログの内容と一緒。あまり本音もらすと隠れ従北がバレますよ?と心配になります。
それにしても、この辺のメンタルは、朝鮮学校OB・OGの従北教育被害者特有の思考回路ですね。
こういう期待はことごとく裏切られてきたわけですから、いい加減悟ればいいのに。
金大中と廬武鉉という左翼政権時代の南北和解ムードが惜しかったとでも思ってるのでしょう。
合意のすべてを破綻させたのは金正日なのに、そっちを非難せずに韓国保守が悪いんだ!と思ってそうですね。もしそうなら典型的な従北教育被害者の思考回路です。
トランプ氏は、人権問題にそれほど積極的ではないかもしれませんが、「契約の履行」には厳密に対処するでしょう。
違反者には、それ相応の制裁を機械的にやるでしょうね。
契約とはそうやって守らせるものですから。
人権を大事にする人より、そういう相手の方が中国や北は困ります。
結局、米国や韓国のリベラルな大統領たちは、善人だから中国や北との外交で負けるんですよ。
「あまり強硬な制裁をしたら、証拠隠滅のために収容所の人たちが殺されてしまいます!制裁よりも対話と利益を与えましょう!そうすれば人権問題は解決するはずです!」
こういう説得にコロッとだまされてしまうんですよね。
トランプ氏にそういう甘さはないでしょう。
そういう点では、今は米国ではなく韓国が重要と言えます。
個人的に、レーガン登場まで朴正煕が生きていれば南北統一できたと思ってます。
次も朴槿恵路線を継承したセヌリ党の大統領なら南北統一がぐぐっと近づきますが、ギリギリアウトでまた左翼政権になり、太陽政策アゲインで北は延命するかもしれませんね。
そうなったらさすがに日本も米国も見限るしかなくなりますね、、、。ほんと勘弁してほしい、、、。
韓国の大統領選は、韓半島の未来を占う選挙になりそうです。