北朝鮮レストラン 集団脱北女性の送還問題

2016年に中国の北朝鮮レストランの従業員13人が集団脱北した事件で、北朝鮮に送還すべきだという意見が韓国で出ています。

韓国の国情院が選挙のために企画し、脱北を望まない人も含めて脱北させた、ゆえに拉致だと韓国の弁護士団体が国情院を告発したとのことです。

ちょうどソウルにいたのでこの件を1000人越えの脱北を手引きした牧師さんに聞いたところ、「脱北を望まない人も含まれていた」「たださすがに大問題になるため送還はしないだろう」とのことでした。

そりゃそうだろうとその時は思っていましたが、その後の放送を見ると文在寅政権なら送還しかねないなと思えます。

 

この件を取りあげた朝鮮日報の記事はこちら、弁護士団体「従業員集団脱北は韓国国情院による拉致劇」 要約すると、次のようになります。

  • 集団脱北は総選挙で勝利するために、国情院が企画したものだったと、国の弁護士団体が当時の国家情報院長ら4人を検察に告発
  • 当初、統一部は従業員は自分の意思で来たと説明
  • 今月10日のテレビ番組で支配人H氏が「従業員たちも皆連れてくるのなら脱北を保障する」と言われたと告発
  • テレビ放送後、事実関係を確認すると「従業員は自分の意思で来た」と説明していた姿勢が変化
  • 総連の機関紙「朝鮮新報」は「(2年前)政治を悪用しようとして仕組まれた集団誘引・拉致事件の被害者たち(脱北した従業員)も祖国に今すぐ帰すべきだ」と主張(さすが総連)
  • 「自由と人権のための脱北民連帯」のキム・テヒ代表は「北朝鮮から迫害されて脱北した北朝鮮の住民を韓国に連れてくることがなぜ問題になるのか分からない。人権弁護士だという民弁の弁護士たちは、脱北者らの人権は眼中にないのか」と主張(当たり前の意見)

これはなかなか難しい問題になりそうです。

事実関係は確認中とのことですが、本当に「騙されて連れてこられた。帰りたい」という証言をする人がいれば、送還を拒否するのも難しい。だからと言って脱北に失敗した人たちや、中国から送還された北朝鮮住民をどのように扱っているのかが分かっているのに送還するのは人道的な非難を避けられません。

なにせ脱北に失敗した人を収容所送りにして、中国人の子供を身ごもっていたら強制堕胎のうえ、母親の目の前で嬰児を殺すような残虐な行為しているわけです。(参考投稿:北朝鮮 隠された強制収容所

例え望まない脱北だったとしても、北朝鮮へ送還した後にどのような目に合うか分かったもんじゃありません。

最初はプロパガンダ放送に利用されるでしょう。国情院に拉致された!と涙ながらに語る映像が放送されること間違いなし。

しかし、忘れられたころにどのような扱いを受けるかは未知数です。少なくとも韓国へ逃げ、そこで一定期間過ごした過去を持つ限り、北朝鮮の階級制度に照らせば敵対階層になることは間違いない。

ここまでなら送還はありえないでしょうが、やっかいなのは北朝鮮に抑留中の韓国人6人との交換条件になりそうな点です。

自国民保護が国家の使命です。「騙されて連れてこられた、北朝鮮に帰りたい」と証言する脱北女性と、人権など皆無の北朝鮮に抑留されている韓国人の交換を持ちかけられたら拒否するのはなかなか難しい。

「自分は拉致された、北朝鮮へ帰せ」と言う人を帰すことに何の問題があるのか!?人権侵害だ!!と進歩系の団体が文句を言うでしょうし、帰りたい北朝鮮女性を帰して韓国人を取り返すことに何の問題があるのか!?と韓国国民の命を守れないのか!!と保守系団体も文句を言いそうです。

唯一反対するのは文政権下でどんどん力を失っている脱北者支援団体くらいでしょう。

 

もし、「騙されて連れてこられた」「北朝鮮に帰りたい」という人が出てきたら、おそらく北朝鮮に送還されると思います。

その代わりに韓国人が帰ってくる。

メディアは帰ってきた韓国人を大いに報道して、北朝鮮女性の送還に対する人道上の問題は無視することでしょう。

せめて北朝鮮で不利益を被らないよう、送還した人たちの安否確認を毎年行うくらいの条件を付けてほしいですが、どうでしょうね。

北のご機嫌を損ねるような真似を文政権がするとも思えない。

送還されない唯一の条件は、本人たちが拒否すること。

とにかく南北融和ムードを演出したい、文政権の本音を忖度して誘導尋問的に「帰りたい」と言わせるような真似だけはしてくれるなと願うばかりです。送還するにしても定期的な安否確認はしてほしいですね。

集団脱北してきた人たちには、慣れるまで大変でしょうが韓国で生きることを選んでほしいと思います。