ディア・ピョンヤンを見て


 北朝鮮と朝鮮総連の関係が分かるDVDです。1:12分ごろのナレーションが、葛藤を表しています。
 
「私の両親はお金と物を送り続ける。北に渡った家族や友人たちは、それに支えられて生きている。でも、その全てのことが、ここでは祖国のために、祖国の配慮のもと、という言葉に置き換えられてしまう。祖国とはなんだろう。私は答えを探せなかった。」
 
 祖国への希望を託して、何万、何十万の人間を北朝鮮に送り、返ってきたのは絶望です。祖国とは何なのか?そう思ってしまうのも当然でしょう。
 
 次は、総連幹部であった監督の父が、ピョンヤンで75歳を祝うパーティでの挨拶を引用したいと思います。日本にいる人でさえ、このように挨拶するのが当たり前だったようです。北朝鮮にいる人は、それこそ子供の頃からこの100億倍は発言を強制され、思考を強制されているのでしょう。怒りを禁じ得ません。
 

1:13分ごろ
「私が偉大なる首領キム・イルソン元帥様の愛と、尽きることのない配慮のもとで、1946年8月からこの仕事に就くことになりました。それ以来、今年で55年になるのですが、言葉で55年というのは簡単です。しかし、その過程は決して平坦なものではありませんでした。紆余曲折も困難も多くありました。そして、私は今、自分の人生を、思想的に、組織的に総括しております。
 
本当に首領様に忠実であったろうか?
本当に将軍様に忠誠を尽くしてきただろうか?
 
こう振り返った時、よく出来た点もあれば、至らなかった点も多かったと考えております。これからは至らなかった点を改め、教訓を生かして頑張ろうと思います。ところが、そう思う今、気づけば75歳にもなっていました。75歳にもなれば力もありません。大した仕事も出来なくなってしまいました。そこで色々と考えまして、、、
私の息子3人はピョンヤンにおります。また娘もおります。嫁たちも居りますし、孫たちもたくさんいます。従兄弟や他の親戚を合わせると、40~50人以上になると思います。
 
私はこの若い人たちを、どうやって熱烈なキム・イルソン主義者に!
いかにして! 熱烈なキム・イルソン主義者に!
育てることこそが、一番重要ではないかと
そのような人材に、彼らを育てた時はじめて
将軍様に忠誠を尽くす道で、大きく前進できると考える次第です。
 
そういう面で私は、仕事に励むことをお約束し、挨拶とさせていただきます。」
 
 これが、朝鮮総連幹部であった人の言葉です。北朝鮮の実態を知るにつれ、きっと葛藤もあったはずでしょう。しかし、3人の息子を送り、祖国を信じる以外救われる道がない、そういう背景を知れば、単純にこんなことを言うなんてダメな人だ!と断罪する気にもなれません。
 
 この人の娘である監督のナレーションがこの後に入ります。
 
「まだ忠誠心を尽くしたりないという父の言葉に、私は混乱した。自分の息子や孫たちを、革命家に育てることが彼の仕事だと言ったとき、その場から逃げ出したくなった。」
 
 きついですね。これこそが在日のアイデンティティの葛藤の源なのかもしれません。北朝鮮批判をしようもんなら、祖国を裏切る気か!なぜ自分の民族を貶めるようなことをするのか!!と批判されます。祖国のため、祖国のため、と言って、祖国をダメにしているのは祖国にいる支配者なわけです。そして彼らを批判することは許されない。そうやって自分のルーツである民族に誇りを持てなくなってしまう。これこそが在日コミュニティが消えていく根本原因かもしれません。
 
 全ての元凶であるクサレ暴君のせいで、何の罪もない人々の心が引き裂かれ続けています。怒りに震えます。
 

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