デンマークの移民政策『ゲットー・プラン』

前々から気になっていましたが、デンマークで「ゲットー」という歴史的にマイナスイメージしかない用語をあえて使って、移民政策の見直しを進めています。

このことを始めて知ったのは2018/7/10の『アメリカ通信』というネット放送。やべぇことになってるなとこの時思いました。

それがとうとう、NKH BS1の「国際報道2018」で特集されていました。

よくこの手の報道を引用して日本の外国人受け入れ政策について、このままいったら日本は将来こうなるぞー!と危機感を煽る輩がいますが、EUの事例なんてまったく参考になりません。

EU難民・移民問題は次元が違いますから。

限界まで一生懸命頑張って、いよいよ瓦解の危機に直面しているEUという側面で理解すべきだろうと思います。

 

まず人口比率。

デンマークの人口579万人に8.6%。一割近くに上ります。

これがEU域内からの移民であれば多分そこまで問題にはならないでしょう。

問題は、文化的にも宗教的にもまったく違う地域から、戦火に焼き出されて来たという点です。生き延びるためであって、望んでデンマークやEUの文化に憧れで来たわけではない。この辺が現地の住民と衝突する根本的な要因でしょう。

紛争から逃れて来た気の毒な人々であることは間違いないですが、誰しも自分の生活が大事なもんです。

人助けも「余裕がある範囲で」というのが人間の限界です。

着の身着のまま、なんの資産もなく逃れてくる人々。母国でいくら先生だったとか医者だったとか、高度な教育を受けていたとしても、言葉が通じなければ全部意味なし。

語学教育から始めて、職を得て地域社会に溶け込めるようになるまでには何年もかかります。

その間、政府は支援することになります。

そこで出てくるのがこの議論。

「福祉にただ乗りしている人々がいる」

その通りなんでしょうけど、そんなもんしょうがない。言葉が通じなきゃ雇いようがないですから。

若ければなんとか頑張れるかもしれませんが、40歳以上とかになるとかなり厳しいでしょう。

あまりに年上だと雇う方も使いづらいですし、雇われる方も若造に言葉が通じないことを小馬鹿にされながら働き続けるのも厳しい。プライドが傷つくと働く気もうせます。

「小馬鹿にしている」というのは正確ではないでしょうが、デンマーク人にそのつもりはなくても「う~ん、言葉通じにくいのは辛いな~、やれやれ」と、ため息一つつかれるだけでも、相手はダメな奴と見下されてると感じてしまうものです。

だからといって、その主張を全面的に受け入れて、働かなくてもしょうがないじゃないか!と福祉でカバーしてたらデンマーク人が作り上げてきた高負担・高福祉という国家モデルが破綻してしまいます。

いよいよ限界だと思ったのが出てきたがこのプラン。

過激ですね~。

「ゲットー」って。

かつてのユダヤ人虐殺を連想させるこのワードをあえて使い、このプランの推進にかける覚悟を示しているのでしょう。

そのくらいデンマークの福祉予算がピンチだということですね。

移民・難民が半数を超え、高失業率の30か所をゲットー呼び、窃盗などの犯罪を他の地域より厳しく取り締まる。社会統合を進めるために1歳になった子供たちは週30時間以上保育園へ行かせ、言葉・男女平等などの価値観を学ばせる。

こう聞くと普通に聞こえます。

ですが日本の事例に置き換えると、こんな感じになります。

戦後財政的余裕のない日本。
朝鮮人部落を「朝鮮ゲットー」と命名。
その地域の人間にだけ特別立法を適用し、犯罪を厳罰化。
社会統合を進めるために小学校入学前に週30時間子供を強制連行。
日本語を学ばせ、日本人の価値観を学ばせる。

こんな感じでしょうか。

まぁ反人道的だと大暴れ間違いなしですよね。

「週30時間以上保育園へ行かせ、言葉・男女平等などの価値観を学ばせる」というのも実質的には脱イスラム教育でしょう。

イスラム教地域なんてガッチガチの家父長制ですし、強烈な男性優位社会。これを持ち込まれると困るから幼少期からきっちり男女平等を教えるわけです。

デンマークの文化の根底にあるキリスト教も教え、キリスト教徒にはせずともキリスト教に由来する文化には染まってもらうということ。それがデンマークで生きていく条件だ、という意思表明ですね。

冒頭の『アメリカ通信』で紹介されていましたが、子供がクリスマスにサンタさんに会いたいと言って親を困らせるそうです。

敬虔なイスラム教徒の親だったら嫌がること間違いなし。

この週30時間の保育園送りも拒否したら難民に支給する補助金カット。

30時間ですから、1日4時間以上。強制で親から引き離してデンマークの国民教育を教え込む。

なかなかの強硬策です。

社会統合とかスムーズに社会に溶け込めるためとマイルドな言い方をしていたも、やっていることは完全な同化政策ですね。

今後、EUの難民・移民政策は入る時点で選別するか、「助けてやるけど徹底した管理を受けてもらうぞ」というデンマーク式に分かれそうですね。

どちらが良いのか、、、。

デンマークの意見も分からんでもない。

ソーセージやハムが特産品なのに、豚肉はダメとかいう人が増えたらたまったもんじゃない。

これを学校の給食で豚肉反対運動なんてされると、いよいよもって中東の難民を受け入れる気持ちはなくなります。

日本で言えば、「米」は教義に触れるので食べない、という宗教の人が大量に移民してくるようなものでしょうか?

稲作農家は気分悪いですよね。

日本酒もダメ、餅もダメ、せんべえもダメ。

こんなん、もめないわけがない。

当然、日本にいたいなら「米、ダメ、ゼッタイ」教を捨てろ、と要求するでしょう。

デンマークがやっているのもそういうことですね。それを宗教の自由を侵害する反人道的な差別政策だというのは当事者の苦労を無視した意見でしょう。

大量のイスラム教徒の難民が受け入れられるとしたら、同じイスラム教徒の国しか無理。

EUでスムーズに受け入れられるとしたら、豚肉禁止・飲酒禁止・ラマダンといった不合理な習慣を捨てたイスラム教徒だけでしょうね。

「だから日本の移民政策も・・・」と言い出す人がいるでしょうけど、EUの事例は参考になりません。

今のように職業マッチングを通じた外国人労働者受け入れと、そこから何年も日本にいて言葉の問題や習慣をクリアした人に永住権が与えられる、という流れで問題ないでしょう。

改善するとしたら、外国人労働者の不当な扱いを是正する法律や、転職をスムーズにできるようにしたり、滞在期間の延長条件を緩和したり、日本語教育の充実や日本語試験に受かると滞在期間が延びるようなインセンティブの設計など、そういう受け入れ体制の拡充でしょう。

日本なんて楽なもんですよ。陸続きで大量の難民がやってきて、住民登録も何もない、政府が管理していない人間がその辺にあふれるEUや米国とは全然違います。

海って素晴らしいですね。

「日本も外国人労働者受け入れ緩和のせいでデンマークのようになる!」なんて意見はありえません。

その手の外国人排外扇動はやめてほしいものです。