北にまんまと利用された横田滋氏と蓮池透氏

もう過去の話しではありますが、北朝鮮が横田滋氏をいいように利用したやり口を振り返ってみたいと思います。

「同じ人間じゃないか」という反論しがたい主張で包摂してくるのが鉄板のやり口です。

さらに家族愛を利用するのも日本に残った在日に対する収奪とやり口は一緒です。

太陽政策でいいように金を搾り取られた韓国も、同じようなことを総括をしています。

 

それでは、われわれの対北認識と対北政策の前提、仮説、方法論は何だったのか。

“われわれが北韓に対して善意、正直、開かれた姿勢、誠心、誠意、包容、物質的な支援を施せば、それに比例して北側もわれわれと同じ人間で血肉だから、いつかは硬直した敵対的な対南姿勢を修正して、徐々に相互收斂の過程を経て、平和-共存-交流-互恵-協力-開放-不可侵-同質化-統一追求の道に出てくるだろう”と設定したのがまさにそれだ。

しかし、この仮説はシベリア北極のオーロラ(蜃気楼)だった。

“米-北平和協定は‘南朝鮮革命’へのトロイの木馬だ”

日韓の従北左翼に共通するメンタルと言えます。

敵対的な態度をやめれば相手も同じ人間だから、こちらが善意を示せば向こうも善意で応えてくる、という主張ですね。

今まで善意のかわりに悪意のお返しをひたすらいただいてきたのに、その事実を全部無視できるのが凄いです。

さて本題です。

横田滋氏が北にいいように利用されてしまったことを指摘してるのが故人の佐藤勝巳氏です。

工作員の影

二〇〇二年末ごろだったと記憶するが、「日本の右翼が日朝正常化に反対しないことを決めた」という話が北朝鮮筋から入ってきた。右翼の運動と関係ないから、聞き流していた。

ところが、同時期にNGOレインボーブリッヂの小坂浩彰氏が、救う会茨城の松尾秀雄会長と同新潟の水野孝吉事務局長(いずれも当時)に北朝鮮利権を与え、それと引き換えに日朝国交正常化に反対しないという話が、新潟の知人から伝わってきた。松尾・水野両氏とも右翼に所属している。

北から入ってきたという話は、実は救う会内部の話であった。別な言い方をすれば、北朝鮮工作員小坂浩彰氏が、救う会の一部に「利権」を餌に分裂のくさびを打ち込んできたのである。

(中略)

同じ二〇〇三年一月、松尾氏から私に、電話があった。「北朝鮮から小坂氏に、金正日の誕生祝いに砂糖二億円分をカンパするよう要請があった。水戸の金持ちから、二億円資金援助の約束が取れた。(小坂氏が事務局長をつとめる)NGOレインボーブリッヂに国から補助金が出ている。それを返済にあてるので、佐藤会長は外務省斎木アジア大洋州局審議官(現外務次官)と懇意のようだから、『補助金が出る』ということを斎木審議官から金主に口添えしてもらえるように頼めないか」という趣旨の話であった。

もちろん即断わったが、小坂・松尾両氏が金正日の誕生祝いに二億円の砂糖を贈るための金策をしている事実を知った。

(中略)

拙稿を書くにあたり、当時を記録した未発表の私の文章を読み直しているうちに、私に金正日誕生祝いの資金調達の手助けを要請してくる感覚からみて、「小坂浩彰氏が、横田滋氏に資金調達を要請しないわけがない。横田滋氏が家族会のカンパを独断で小坂氏に資金提供したため、会計報告を出せないのでは」という疑念が湧いてきた。

松尾氏からの電話の数力月後(○三年六月末)、小坂浩彰氏が帰国している拉致被害者家族の写真を北朝鮮から持ち帰り、日本国内で小坂氏の名が一挙に有名になった。小坂氏の記者会見で、横田滋氏と小坂氏とは三年間の交際があり、しばしば飲食を共にしている事実も初めて知った。

私は、運動の内部情報が横田氏から小坂氏を通じて北に流れている可能性が高いと思って激怒し、横田滋氏を家族会代表から外すべきと主張した。が、西岡・平田両氏は、「そんなことはできない」と頑強に反対した。議連役員にも止められた。

(中略)

自分たちで独自に運動を組織する覚悟があれば、横田滋氏に遠慮する必要はない。万一敵への情報提供していたとすれば、それは運動への裏切りとなる。当時、横田滋氏を糾弾したのは私一人。私と日本社会の間に大きな隔たりがあることを知って、妥協した。

(中略)

横田滋氏は、株も先物取引にも関与していない。銀座の高級クラブを飲み歩いてもいない。若い女性にカネを使っている気配もない。不動産を買っているという噂話もない。カンパで私腹を肥やすために横領しているとは考えにくい。

これは私の推測だが、詐欺師の口車に乗って、救出のためのカンパの一部が、金正日の誕生祝いに二〇〇三年一月ごろ詐取されたという可能性が高い(推測の外れることを願っている)。

二〇〇三年末、横田家族会代表夫妻、中山参与、私、西岡、平田氏などが救う会の事務所で忘年会を行った。

会が始まる前の出来事であるが、中山参与と早紀江さんが、雑談で小坂浩彰氏の話に及んだ。二人とも「信用できない人間」「警戒すべき人物、臭い」、早紀江さんは「最初一回だけ食事しただけで、それ以来付き合いをしていない」と厳しい評価をしていた。当の滋氏がどう反応するか。私の真向かいに座っていたが、うつむいたまま一言も言葉を発しなかった。

小坂浩彰氏が、帰って来た五人の家族の写真を持って来たとき、マスコミは大騒ぎとなった。その直後、家族会、救う会、議連、政府の合同の会議がもたれた。議連平沢勝栄事務局長(当時)が、少し遅れて来た。皆がいる前で意図的に大きな声で「佐藤会長、小坂とは何者か」と質問した。近くにいた横田氏が当然釈明するものと思っていたが、うつむいている。すると議連の西村眞悟議員(当時民主党)が「実は、横田さんに小坂を紹介したのは私です。あんなことをやるとは知らなかった。ご迷惑かけてすみません」と謝った。

しかし横田氏は、ここでも黙秘を通した。

私は10年間の付き合いで、横田氏の囗から小坂浩彰氏の評価を公式・非公式に聞いたことがない。しかし二〇〇〇年八月から、裏ではひそかに小坂氏と飲食を共にすることで洗脳され、北を支援することが、拉致を解決するという確信を持った可能性もある。

核で日本を含む世界を「火の海にする」という狂気の集団に、仮にもカンパが流れていたとすれば、横田滋氏は内外にどう申し開きをするのか。

話を戻す。われわれは、横田氏の訪朝の態度表明時点で、後ろに小坂浩彰氏がいるということを誰も知らなかった。

そのとき、横田氏の後ろに「北の工作の手が伸びている」と直感した。救う会は、家族会に横田滋氏の訪朝絶対反対を文書で申し入れた。一方、中山参与、安倍晋三官房副長官(当時)、中川昭一議連会長(当時)、平沢勝栄議連事務局長(当時)らが横田滋氏に訪朝しないよう個別に説得したが、横田氏は頑強に応じなかった。

われわれは緊急に家族会総会を開催し、早紀江さんと子供二人を含む全員が滋氏の訪朝に反対して、ようやく阻止した。その総会に最も強く反対したのは、蓮池透事務局長(当時)であった。

北が、家族会の代表を懐柔工作のターゲットにしていることが明白になった。

「秘話」で綴る私と朝鮮』 P191-195

看板をターゲットにするのは鉄板のやり口です。

とある北朝鮮関連の団体にいた右翼がそういうことやってましたね。

トップとは緊密に電話で連絡とりながら、周りの人の悪口をトップに吹き込むのですが、悪口ではなく建設的意見のように取り繕っているのがうまい。さらにはハードルの高い理想論ぶつけて組織全体を疲弊させる手腕も見事でしたね。

追い出せたと思ったらまだしつこく所属してるようですが、北朝鮮関連で活動するとこういう右翼が多いんですよね~。

この小坂氏ですが、蓮池透氏の著書、『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』では評価が高かったりします。

お里が知れますね。

横田氏に続き、蓮池透氏もいいように包摂されてるっぽいです。

何せ、『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』では、朝鮮学校の無償化除外をいじめじゃないかと非難しいますから。

どう考えても朝鮮学校の子供たちを北へ渡航させるのを禁止して保護しないことが、朝鮮学校に対する最悪の差別のはずでしょうに。

親の同意があろうがなかろうが、人間を高射砲でひき肉にする公開処刑をやる相手に子供の命を預けるなど正気の沙汰ではありません。

蓮池透氏が、いかにも北の代弁者と言えるのが、「日朝国交がなく「過去の清算」ができていないことが拉致事件の発端となり、かつ問題の解決を遅らせている面がある、そう私は考えている」(『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』 P242)という主張でしょう。

どう考えても「過去の清算」は、北朝鮮労働党が朝鮮人に対してやるべきことです。

なぜ朝鮮人を日帝の100倍残虐に支配している相手と過去の清算をやらねばならんのですか。言っている意味が分からない。

例えるなら、植民地支配している白人相手に、支配されている黒人に対する賠償をするようなものでしょう。

馬鹿も休み休みにしてもらいたいものです。

北の工作の恐ろしさを理解していない人は、コロッと騙されてしまいます。

北朝鮮の対日工作の怖さ

北が、拉致の解決をどうしようとしているのか。その具体例が寺越事件である。

この事件は、一九六三年五月一一日、能登半島沖で漁についていった当時一三歳の寺越武志氏が、大人二人と一緒に行方不明となった事案である。ところが、一九八七年一月二二日、北朝鮮から手紙が届き、生存が判明した。武志氏は拉致されたことを否定、その後父親が武志氏と平壌で同居、母親は、モノやカネを持ってわが子のもとを往来している。

この場合、日本が主権を侵害され、人権蹂躙されたとして損害賠償を北朝鮮に求めないようにするための北の巧妙な罠である。

武志の母親寺越友恵氏の考えは、北の責任を追及する日本政府や救う会・家族会と違うものである。北は、寺越氏のような処理の仕方を望んでいることは間違いない。横田滋氏訪朝には第二の寺越にという狙いが北にあった。そうなれば、責任の追及は免れる。北との天下分け目の戦いであった。

「秘話」で綴る私と朝鮮』 P195-196

ここが北朝鮮の恐ろしいところです。

拉致しておいて、その本人に「自分は望んで北朝鮮に行ったのだ」と手紙を書かせるわけです。そうやって日本側の非難を封殺し、家族にも拉致した我が子の安全を盾にして、日本政府に対して軍事力を行使してでも子供を助けてくれ!という訴えをさせないようにします。

さらには面会をちらつかせて、日本に残った母親には、モノとカネをせっせと北朝鮮に運ばせる奴隷として死ぬまで飼い殺しにするわけです。

大嘘ついて在日朝鮮人の北送し、その後日本に残った親族相手に人質ビジネスとやっているのと同じことを日本人拉致被害者家族にやろうとしているわけですね。

何せ横田さんを利用して、救う会のカンパを北へ流そうとしていたわけですから。

こういうことを平気できる神経が凄まじい。

そしてこういうことをやる相手に対して、信頼と誠意を示せば、相手も返してくれると無邪気に考えられるリベラルの思考回路が信じがたい。

この事件でわかったことは、横田滋氏が、われわれより小坂氏を信じているという事実であった。二〇〇三年六月末、横田滋氏から中山参与に「小坂に会ってほしい」との電話連絡があり、深夜銀座の高級バーで、横田、小坂、中山(参与)、斎木(外務省アジア局審議官)氏の四者会談が開かれた。

小坂氏の要望は、帰国した拉致被害者の子供の写真を各家庭に直接手渡したいので、了解してほしいというものであった。中山参与は、「自分が写真を預かり、明日中に責任をもって家族に渡す」と写真を預かり、小坂氏が五人の家族に直接接触できないようにした。小坂氏の記者会見はその翌日だったように記憶している。マスコミで大騒ぎになった。

北内部で日本人拉致を知っているのは、金正日以下ごく少数者だけだ。トップシークレット中のシークレット。そのシークレットの写真を小坂氏が持って来た。朝鮮労働党から絶大の信頼がある、という証明である。

小坂氏は、間違いなく日本国籍の対日工作員に他ならない。事実、その後「制裁ではなく話し合い」と、彼は北朝鮮を代弁する言動を一貫してとった。

小坂氏は、北朝鮮専門家としてもてはやされた。今まで小坂氏のような専門家の登場の仕方は初めてである。小坂氏にとって横田滋氏は、日本における拉致救出の生情報を提供する大切な商売の元手であったはずだ。北朝鮮にとっては、のどから手が出るほどほしい情報である。横田氏は、小坂氏のルートで娘を取り戻せると考えたのではないか。

小坂氏は、家族会を離れた初代家族会蓮池透事務局長に接触、北にオルグしたようだ。最近では、北朝鮮から日本人の遺骨を返す運動で、総聯、横田滋氏、蓮池氏が同じ集会に参加している。

「秘話」で綴る私と朝鮮』 P196-197

救う会がいかに内部工作を仕掛けられて切り崩されているかがよく分かります。

蓮池透氏のその後の著書、『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』を読めば、『「秘話」で綴る私と朝鮮』との内容の違いに驚かされます。

韓国のありえない従北左翼の存在を隠蔽して、韓国全体が反日カルト集団であるかのように印象操作する手法と同じでしょう。

救う会=右翼!だから悪い奴ら!!という左翼が好きな論理で印象操作し、救う会に対する国民の支持を減退させようとしているわけですね。うまいもんです。

まぁどちらが正しいかは立ち位置や、考えの違いもあるでしょう。

大事なのは、北朝鮮が北送された在日朝鮮人をいかにありえないやり方で殺したかを知っているか知っていいないかだと思います。

蓮池透さんは明らかに知らない。もしくは事実を矮小化して理解しているかのどちらかでしょう。

知っていれば、対話で解決しよう、同じ人間だから誠意をもって話せばわかる、という考えがどれだけズレているかが分かるはずです。

何せこの画像の虐殺を在日コリアンや、一緒に帰った日本人配偶者たちにやったわけですから。

蓮池透氏と横田滋氏は、これを目に焼き付けてよく考えてほしいものです。

ナチスドイツのホロコーストが子供のままがことに思えるくらいにことを自国民にやっているのが北朝鮮労働党であり、金日成・金正日です。

救う会内部の反主流グループに至っては、北朝鮮の対日工作のイロハも知ろうとしない。小坂氏の相棒・茨城の松尾秀雄氏などに操られている人たちだ。私の会長解任(二〇〇六年六月末)は北の指示なのかもしれない。なぜなら、松尾氏は私の知人に「ようやく佐藤の首が斬れた万歳」と電話をしている。

「秘話」で綴る私と朝鮮』 P197

北はかなり佐藤勝巳氏が嫌いなようですね。

従北ちょうちん持ち全開の青木理氏などの著書を読むと良く分かります。

まぁ貶めようとしますね、佐藤勝巳さんを。

青木理さん以外にも、朝鮮学校周辺に寄生している左翼知識人たちも同様の傾向が見受けられます。

昔は北朝鮮に肩入れしまくっていた共産主義者だったが、晩年は右翼になった、という構図で貶めようとしますね。

右翼=悪!というガッチガチの思考回路になっているおバカなリベラルたちが、そういう先入観を与えられるせいで色メガネなしで意見を聞くことができなくなってしまうわけです。

そもそも帰国事業で自分の友人知人である在日朝鮮人が、収容所でありえない殺され方で消されていったわけです。どう考えても北朝鮮に厳しくなるに決まっています。

この事実を突きつけられても北朝鮮を擁護できる日韓のリベラルが本当にありえない。

過去のことだと水に流したくとも北朝鮮が収容所についてまったく反省してないですから、水に流して和解しようにもそんなことは不可能です。むしろそんなことはKCIAのでっち上げだの、脱北者がハナ院で逆洗脳されて言いだした嘘だ!くらいに豪語してきます。

本当に信じがたい連中です。

救う会に入り込んだ愛国右翼の仮面をかぶった従北偽装保守たちが何をやってきたか?

前述の「国民大集会・in 和歌山集会」のとき、松尾秀雄氏は街宣車六台を和歌山に入れて、妨害行動に出た。松尾氏一人の考えや財力(街宣車一台二〇〇万円計一二〇〇万円)では無理だ。多分小坂浩彰氏の考えやカネが入っていると思われる。

つまり、国民大集会が成功して困るのは北朝鮮である。和歌山集会前日まで、松尾氏ら反主流派と署名運動をしていたのが家族会の増元照明氏だ。小坂氏の手は、横田滋、蓮池透、増元照明氏にと伸びている可能性があると私は見ている。

「秘話」で綴る私と朝鮮』 P197

いいように内部崩壊させられています。たいしたもんです。

蓮池透さんも著書、『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』で救う会に群がって来た右翼を批判していますが、その右翼が北の工作員と結託しているとしか思えない点は書いていません。そもそも小坂氏に対する評価が高いわけですしね。

北が自分にとって都合の悪い団体を崩壊させる方法の大原則は、内ゲバを扇動することです。基本中の基本と言えます。韓国なんて国家規模で内ゲバ扇動されてますから。

横田滋、蓮池透、増元照明氏の3者の行動は微妙です。

増元照明氏は、次世代の党から出馬していました。絵に描いたような従北知識人のデヴィ夫人に応援されるような政党から出馬するとはどういうつもりでしょうか?

在日特権だの、いやなら帰ってくださいだの平気で口にするのが次世代の党です。

最近では生活保護も問題にして在日叩きに邁進してますね。

そんなも良いも悪いもない。「しょうがない」の一言で終了です。昔は年金入れなかったんですから。高齢者に死ねとでも言うつもりでしょうか?

従北偽装保守政党の旧次世代の党よりも問題だったのが一昔前の政党でしょう。与党野党問わずに色々ありえないことをしています。

 

どうして拉致問題は解決しないのか

北から見た日本は、唯一、植民地支配の後始末でカネを取れる国である。北朝鮮の公式文献は、オーバーな表現で毎日のように日本糾弾をしている。

時代はさかのぼるが、一九九五年三月、自民党、社会党、さきがけの連立三党の代表が訪朝(団長・渡辺美智雄)した。その団の随員に、自民党の加藤紘一事務所のAという人物がいた。

彼は北朝鮮を対象とする貿易商社の社長であり、親の代で日本国籍を取得していた。当時日朝貿易の大手商社の一つの社長であった彼は、北の権力中枢との結びつきが強く、カニなど一手に輸入する権利を持っていた。加藤紘一氏(政調会長)と結びついた経緯は知らないが、コメ五〇万トン(貸与と無償支援)を出すというので、私は月刊誌「文藝春秋」(同年一二月号)に執筆のため加藤氏を取材した。

そのとき加藤氏は、「Aは、金容淳(当時北の対南・対日責任者・政治局員)に僕の目の前で直接電話できる間柄の人です」と得意そうに大物であることを強調した。つまりAは、工作員としては高位にあるということだ。

加藤氏の紹介で外務省のキャリア組が、月に一回ほどAと「雑談会」と称して情勢の勉強会を行っていた。北の工作員ないしはロビイストが外務省幹部と勉強会を行ったのだ。なぜこのような信じられないことがなされたのか知らない。推測だが、加藤氏は、日本政府が北朝鮮についてあまりにも無知であり、北に詳しいA氏に教育してもらおうと思ったのではないか。そう思いたい。これが一九九五年春ごろの与党自民党の実態だった。

当時の現代コリア研究所は、救う会結成前であり、自民党や連立与党と昼夜戦わざるをえなかった。しかし、衆寡敵せず、五〇万トンのコメは日本から北朝鮮に運ばれた。

「秘話」で綴る私と朝鮮』 P198-199

90年代では現代コリア研究所が孤軍奮闘状態だったようですね。あとは統一日報でしょうか。

北のちょうちんもちジャーナリスト青木理氏との対談が『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』に掲載されています。

そこではこう書かれています。

「共産党からの転向者にしばしばいるパターンですが、彼が率いた現代コリア研究所も、まっとうな北朝鮮ウォッチャーの研究者やジャーナリストのあいだでは、かなり特異で過激な主張を繰り広げる「反北活動家」という目で眺められていました」(『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』 P254)

青木理氏の言う「まっとうな北朝鮮研究者やジャーナリスト」の特徴は、北朝鮮の収容所について目を塞ぐことでしょう。北のありえない収容所の実態を、具体的かつ臨場感あふれる表現で語る人はまずいない。

朝鮮学校卒業生や、その周辺と仲の良い北朝鮮専門家を「まっとうな専門家」と思っているようでは話になりません。

金大中に対する評価がえらく高い点も青木理氏が従北バイアスで思考回路が偏向させられている良い証左と言えるでしょう。

当時の渡辺美智雄、加藤紘一氏の表情は今でも記憶している。なんで、あの金日成や金正日を援助しなければならないのか。今思い出しても悔しい。無念である

また初期の米朝交渉、その後の六力国協議を見れば明らかなように、米、中、韓、日、口が北に核を放棄させる会議だが、北に手玉に取られ、核保有を許した。決して侮ることのできない独裁国家である。

小坂浩彰氏にとって横田滋氏は、北の政治文化、権力構造などの知識はゼロに等しく、娘への愛情を逆手にとって懐柔するのは、赤子の手をひねるより容易なことだ。

横田氏が訪朝すると言い出したとき、「やめてほしい」という説得者に「北も人間だ。話せばわかる」と言っていたが、それならアメリカ、中国などが、なぜだまされたのか。自己過信も甚だしい。あの国を日本的価値観ではかるのはとんでもない誤りだ。寺越友恵氏という生きた証人が目前にいる。北朝鮮を侮ってはならない。(絶筆)

「秘話」で綴る私と朝鮮』 P199

北朝鮮は、「決して侮ることのできない独裁国家」である。

ついつい忘れる大前提です。

金正恩のヘアースタイルを持ち出して笑っているようでは、北に対する警戒感を薄れさせようとする形を変えた従北工作員のようなものでしょう。

人間を当たり前のように機関銃でひき肉にする相手をヘアースタイルが変だからと侮っていいわけがない。

韓流ドラマが平壌で流行っている、だから分かり合える、というのと一緒です。方向性は違えど同じ目的は一緒で、対北警戒感の除去です。

韓国で「反共」が時代遅れの象徴のように言われ、北に対する警戒感を希薄化させる手法と同じです。

こういう人たちの特徴は、いかに北朝鮮がありえないやり方で人間を家畜化して殺してきたかを知らない。もしくはそれを矮小化するか、抽象的に表現して伝わらないようにします。

それを知らないがゆえい、横田滋氏や、蓮池透氏のように「同じ人間だから誠意をもって対話すればなんとかなる」という狂った発想になるわけです。

子供のころからこういう教育を受けて、それが常識になっている人たちと、日本人の常識を持ち込んで交渉してもうまくいくわけがない。

日本人の常識で、北朝鮮を理解しようとしても誤認識するのがオチです。

在日朝鮮人でさえ理解できないわけですから、他民族の日本人に理解できるわけがない。

こういう側面を無視して、佐藤勝巳氏や西岡力氏に対して、「ファナスティック(狂信的)な反北朝鮮主義者」と浅はかなことを書いているのが『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』です。

そう主張する人たちには一度北朝鮮の収容所にぶち込まれてみては?と言いたくなります。

拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』を読むなら、佐藤勝巳氏の遺作と言える『「秘話」で綴る私と朝鮮』も併せて読むことをお勧めします。

まぁどちらも正しい部分があって、どちらも間違っている部分はあるのでしょう。

一つ言えることは、佐藤勝巳氏が死んだ後に出版されたのが『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』です。個人的には、『「秘話」で綴る私と朝鮮』の対抗プロパガンダ本かな~という印象ですね。

ご興味あればぜひご一読を。

 

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