北朝鮮政策特別代表スティーブン・ビーガン氏任命の真意とフリーズする朝鮮半島専門家たち

北朝鮮政策特別代表に米自動車大手フォード社副社長のスティーブン・ビーガン氏が任命されました。

みんな思ったはず。

「誰?」

朝鮮半島情勢の専門家でもなく、フォード自動車の副社長。

「え?」

韓国外交部いわく「ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)の上級スタッフや上院議員の安保補佐官などを歴任した」と経歴にふれつつ、「特別代表の任務をしっかり遂行できると期待している」と歓迎の意を表明。

「あ、いちおう政府スタッフとしての経験あるのね」と、ちょっと安心。

でも朝鮮半島情勢の素人ですよね?と心配になります。

ではこの人事の背景と真意とはなんでしょうか?

 

簡単です。北朝鮮の外交交渉に高度な能力なんて必要ないからです。

「非核化しろ、それまで制裁解除はない」
「非核化しろ、これ以上待てない、空爆するぞ」
「非核化しろ、リストとスケジュール出せ、核兵器搬出しろ、さもなくば断首作戦実行だ」

これを言うだけ。外交交渉の経験も、過去の交渉経緯も知る必要なし。必要なのはトランプ大統領への忠誠心のみ。

歴史なんて関係ねぇ!

朝鮮戦争?

米国と戦った?

分断の苦しみ?

それがどうした!!

こういう意思をひしひしと感じますね。

だいたいトランプ大統領に「金正日の時には・・・」「いや、韓国との関係もあるから・・・」「過去の被害想定は・・・」なんて話をしても聞くのは最初だけでしょう。

そんな話タラタラしても、3分もしたらイライラしだして「昔のことなんて知ったこっちゃねぇ!」と一蹴すること間違いなし。

ビクター・チャ氏のような北朝鮮専門家に、あーだこーだと先生面して過去の交渉経緯や北朝鮮外交の注意点をレクチャーされても不機嫌になるだけですよ。

いくら懇切丁寧に説明しても、「でも今まで失敗したじゃないか」で終了です。

これ以上説得力のある反論もない。

トランプからしたら「いままでご立派な肩書もったお偉いさん方が一生懸命取り組んできたけど全部失敗したろ?負け犬に助言もらってもまた失敗するだけだ。俺がうまくやってやるから黙ってろ」ってな感じでしょう。

新たな北朝鮮政策特別代表に必要なのはトランプ大統領への忠誠心のみ。

トランプ大統領から「こう言え」という指令された通りに北朝鮮側に言うだけ。

こんなのに専門知識なんて必要ありません。

これが今回の人事の背景と真意です。

高度な駆け引きとかまったくなしです。

いや、むしろこれこそが高度な駆け引きかもしれませんね。

「言うこと聞け、さもなくばぶん殴る」という覚悟を相手に理かいさせるシンプルな交渉(?)です。

面白いのがこの人事に日本の北朝鮮専門家から分析記事のようなものが出てないことでしょう。

笑ってしまった。

そりゃフリーズするわな。

まさかの素人起用。今までの北朝鮮外交のことなんて知らないでしょう。

意図はなんだ?狙いは!?と予想したところであまり意味がない。

これがビクター・チャ氏のような名の知れた専門家なら色んな意見が出て「こういう展開が期待できる!」とか「今後こう推移する!」とか「この人事から政府の意向はこう推測できる!」みたいな記事が続出してたはず。

しかし、そんなこともなし。

笑うわ。

ながらく空席だった北朝鮮政策特別代表に誰が座るのか注目されていたでしょうが、こんなオチとは(笑)

ですが、こっちの方がうまくいくと思います。

トランプ大統領の頭の中なんてとってもシンプルですから。

もしかしたら「核放棄すれば、すぐ経済制裁が解除されて経済発展もできるのになんでさっさとやらないんだろう?」と無邪気に不思議がっているかもしれません。

「北の核は自国の防衛のために必要なんだ」と北朝鮮側に言われても「一理あるな」なんて思わないでしょう。「そんなことしたら我がアメリカに潰されるから自国の安全保障に逆効果じゃないか。馬鹿だな」くらいに思いそうです。

さて、今後はどう推移するか?

(次のページに続く)