アメリカの歴史再評価(=歴史修正主義)の大家といえるハーバード・フーバー元大統領の大著を、分かりやすくまとめた渡辺惣樹さんの『誰が第二次世界大戦を起こしたのか: フーバー大統領『裏切られた自由』を読み解く』
歴史修正主義と聞くと、すぐに軍国主義日本の美化だと脊髄反射的に反発する人たちがいますが、違います。
同じ失敗を繰り返さないよう、またより良い未来を選択するための教訓にするよう事実をベースに真実の光をあてて再評価するのが歴史修正主義の本筋です。
これらの本を読めば読むほど、国際政治の一寸先は闇、と思わされます。
日本は白人支配を打破するために戦った!大東亜戦争は聖戦だ!!と思っている人こそ読んだ方が良いでしょう。
だいたい戦死者の半分が餓死や病死ですよ。兵站無視の当時の日本上層部に怒りを覚えます。それを無視して大東亜共栄圏の理想だとか白人支配を打破した聖戦だとか言われても、ろくに補給業務もこなせないくせに大口叩くなアンポンタン!ってなもんです。
では本題。
フランクリン・D・ルーズベルト(以下FDR)のソ連承認から始まったアメリカ外交の失敗が、金大中・廬武鉉の左派政権による対北朝鮮外交とそっくり。
歴史修正主義=日本美化と脊髄反射思考で思考停止に陥らず、こういった歴史の教訓を真摯に学んだ方が良いでしょう。
『誰が第二次世界大戦を起こしたのか: フーバー大統領『裏切られた自由』を読み解く』 P46-48を引用しながら、一つ一つツッコミを入れていきます。
ルーズベルト外交の最初の失敗、ソビエトの国家承認
(中略)
フーバーは、失敗の始まりはルーズベルトによる共産国家ソビエトの承認であったとしている。だからこそフーバーは第一章から第五章でそれを検討した。一九一七年にソビエトが成立してからFDRが政権につくまで、四人の大統領(ウィルソン、ハーディング、クーリッジ、フーバー)と六人の国務長官がいた。誰一人としてソビエトを国家承認しようとしなかった。その理由は、ソビエト共産党が、世界各国に散らばる共産主義者・社会主義者、あるいは共産党員を利用して内治の混乱を仕掛けていたからだった。
アメリカでもそのことは問題になっていた。アメリカ議会は実情を調査する委員会(一九三〇年設置、委員長のハミルトン・フィッシュ議員の名をとって「フィッシュ委員会」と呼ばれた)を設けた。同委員会は共産主義者の活動を明らかにした報告書を出していた。
「韓半島唯一の合法政府は韓国のみ」という憲法を無視して、北朝鮮にお互いの体制を尊重しようと言い出したのと同じですね。
事実上の北朝鮮に対する国家承認。
そちらの体制転覆なんて狙ってませんよ~、だからテロとか軍事挑発しないでね~、対韓工作もしないでね~、というゴマすりすりお願いしたのが韓国。
で、北が工作やめたかと言えばそんなことはない。
KCIAが北の対韓工作に警鐘を鳴らし続けたが、従北左派団体の軍事独裁政権によるでっち上げの大合唱で国民には届かず。
ところが、ルーズベルトは政権を取るとたちまちにソビエトを承認した(一九三三年十一月)。ソビエト代表としてワシントンに現われたマクシム・リトヴィノフ(外務委員)は次のようにルーズベルトに約束した(第1部第1編第2章)。
〈アメリカ合衆国の内政には一切関与しない。アメリカ合衆国の平穏、繁栄、秩序、安全を傷つける行為やアジテーション、プロパガンダを一切しない、そしてさせない。アメリカ合衆国の領土および所有する権利を侵したり、政治的変化をもたらし社会秩序を乱すような行為はしないし、させない。アメリカ政府を転覆させたり、社会秩序を混乱させる目的を持つ団体や組織を作るようなことはしない。〉
フーバーは、リトヴィノフのその後の発言を調べ上げ、ソビエトが対米赤化工作を止めることなど全く考えていなかったことを論証している。リトヴィノフは、自身のなした約束に反発したアメリカ共産党幹部に対して、「心配無用だ。あんな調印文書は紙切れ同然だ。ソビエトとアメリカの外交関係の現実の中ですぐに忘れられる」(同前)と語っていたのである。
本当に笑えない。
韓国は北朝鮮に同じ過ちを犯してます。
金大中と廬武鉉が目立ちがちですが、すでに2代前の盧泰愚政権から失敗の種は撒かれていました。
1992年の南北基本合意書の内容が、アメリカの対ソ外交で失敗した構図と同じ。
第1章 南北和解
第1条 南と北は互いに相手方の体制を認定し尊重する。
第2条 南と北は相手方の内部問題に干渉しない。
第3条 南と北は相手方に対する誹謗中傷をしない。
第4条 南と北は相手方を破壊・転覆する行動をいっさい行なわない。
笑える。
北朝鮮は全部守ってない。
この合意は事実上、破棄されているも同然です。
まったく信用できない北朝鮮に対して、金大中・廬武鉉は親北路線を爆走。
アメリカと国交を結ぶことに成功したスターリンの喜びようは尋常ではなかった。初代駐ソ大使ウィリアムーブリットがモスクワに現われると、スターリンは次のように言って歓迎した(一九三三年十二月)。
〈「ルーズベルト大統領に乾杯! フィッシュ(ハミルトン・フィッシュ)などのうるさい連中の声を黙らせ、ソビエト連邦を承認してくれた大統領に乾杯!」〉
太陽政策で支援をもぎ取った金正日の心境と同じでしょうね。
「金大中大統領に乾杯!国情院や保守反動のようなうるさい連中を黙らせ、私に金品を捧げにくる金大中大統領に完敗!!」
まぁこんな感じでしょう。
アメリカがソビエトを承認したことで、各国がそれに追随した。アメリカ国内にもソビエト政府の公的機関や民間組織が次々に設立された。それがアメリカ国内でのスパイ活動の温床となった。
これが一番笑えない。
南北和解が演出され、メディアにも太陽政策に賛成しろと金大中が国家権力でもってメディアに圧力をかけまくり、防共体制が瓦解。
雨後の竹の子のごとく南北和解や人道支援のお綺麗な看板を掲げた従北団体が登場。
北朝鮮を責めずにひたすら反日&反米活動に邁進。
フーバーが『裏切られた自由』の冒頭の部分でルーズベルトの「ソビエト承認事件」を取り上げたのは、アメリカがこの事件をきっかけに大きく左傾化していったからである。アメリカの左傾化は、ソビエトが国家承認をきっかけにダミーの工作機関を多数設立したことが要因ではあるが、アメリカ国内の知識人の多くが、それ以前に共産主義思想にかぶれていた事実もフーバーは見逃していない。
アメリカがソ連を国家承認した結果、アメリカ全体が大きく左傾化。
こんなところも一緒。
南北和解の演出で、韓国が大きく左傾化。
教科書から同胞殺しまくった北朝鮮の体制を非難・敵視する記述は消えて、残ったのは反日教育。反日どころか日本悪魔化教育にフル旋回してその余波が反米&反李承晩・反朴正熙へと飛び火しまくる。
韓国でダミーの工作機関がどんどん設立されていったのも同じ。
困ったことにそれを支援してきたのは日本の朝鮮総連と韓統連。
金大中は総連から資金提供受けてたし、韓統連なんて金大中がつくったようなもの。
その辺はこの本に詳細に書かれています。
せっせとまき続けてきた韓国を赤化統一する工作の種が朴正熙の死から芽を出し、金大中で大輪の花を咲かせた、といった感じ。
ソ連がアメリカに仕掛けた共産化工作がいかに凄まじかったか。
それを知れば、北朝鮮の赤化工作なんて陰謀論ですよ、などとは言えないはず。
新たな史料が出たなら、感情をまじえず事実をありのままに受け止めて再評価すべきですね。それが本当の歴史修正主義です。
左派が「歴史修正主義者=悪」というレッテル貼りをしてきますが、しょせん修正されると自分たちがとっても困るから既得権を守るために証拠や史料ではなく、イメージ戦略で貶めているだけ。
本当に戦争を無くしたいと思う左派こそ、こういった戦争へ至る過程を詳細に分析した本を読むべきだろうと思います。