限界にきたEUの難民受け入れ

EUの難民問題。

いよいよ、というかすでに限界でしたが、周囲の目を気にして言葉を選ぶことさえ不可能なまでに限界を超えたようです。

地中海で難民救助しているアクエリアス号という船も、もはや厄介者扱いされています。

地中海に沈む難民の遺体『BS世界のドキュメンタリー選「死の海からの脱出」』より

地中海のそこに無数に横たわる難民の遺体。こういう悲劇を少しでも減らそうと活動しているアクエリアス号も、EU市民の反難民世論とそれに押される政府にはあらがえないようです。

 

この難民問題で分かったことは、人の善意と寛容には限界があるということ。

それを無視して「冷酷だ!」「地中海でどんどん人が死んでいるのに見捨てるのか!」だけ言い続けても、表面的には黙っても選挙で反移民・反難民を掲げる政治家に投票させて、結果的に難民を追い詰めるだけです。

報道では、イタリアやギリシャ、スペイン、ハンガリーなど”EU国境線”沿い国々による反難民意識を否定的に報道しますが、これらの国を責めるのは酷というもの。

ごもっとも!と言いたくなるのが、ハンガリーの「難民割り当て?誰がハンガリーなんてマイナーな国にいたがるんだ!ハンガリー語なんて覚えても意味ないっつーの!みんなドイツ、フランス、イギリスに行てぇんだよ!」という意見。

そりゃそうだ。

ハンガリーやギリシャにいても、現地人さえ失業で苦しんでるのに難民に仕事なんてあるわけない。一生懸命ハンガリー語覚えても、そんなマイナー言語グローバル社会ではなんのプラスにもならない。

そりゃみんなドイツ行きたがるわな。

そう考えればドイツが「ダブリン規則(難民申請は入った国でやる)を守って受け入れ国に返す」というのは本当に無責任。

さんざん難民を歓迎します!と、難民を呼び込む声明を出しておいて、受け入れる国は他のEUの境界国。

そりゃ怒るよ。

ハンガリーが、「どんどんお前のとこに難民右から左に流していいんだぞ?それをやらないってことは、俺がEUを守ってるってことだよ。それがハンガリーの考えるEUの一員としての責任ある行動だ!!」と言って、国境にフェンス築いて難民を徹底排除。

これを冷たい!と責めるのは簡単ですが、自分だけ難民保護を訴えるカッコいい役を演じてマスコミ称えられ、その実他の国に負担を押し付けているようなドイツだって問題です。

欧州で作られた難民・移民問題のドキュメンタリー番組も、ここ2,3年で『BS世界のドキュメンタリー選 「亡国の少女 待ち続けて」』や、『 BS世界のドキュメンタリー「“楽園”に渡った異邦人たち」』や、『BS世界のドキュメンタリー選「難民審査官 決断のとき」』のように、困っている難民を受け入るべき、という意見と、そうはいっても限界はあるという葛藤が描かれるものが増えてきたように思えます。

昔は、難民受け入れは当然、という考え方だったんですけどね。

こうなると「アラブの春」って何だったの?という意見が広がりそうです。

今後は独裁だろうが警察国家だろうが欧米は気にしない。しっかり国境管理してくれ。無秩序な殺し合いと難民拡散が発生するくらいなら、独裁国家の自国民弾圧は無視する(こちらにミサイルが向かない限りは)、という暗黙の了解が広がりそうです。

そうなればシリアのアサドも安泰でしょう。

アサドがシリアを安定化させ、EUや周辺国に散ったシリア難民を帰国させれるわけですから。ひどい内戦で「殺し合いはもうこりごりだ」という感情が蔓延してますから、アサドの監視・抑圧大好きな警察国家体制でもいいやと国民は我慢しそうです。

シリアにいる米軍も「サウジが金だすならまぁいいよ」と、トランプがシリアに残してますが、ロシアと協力してシリアからイラン軍を追い出せたらこの米軍も撤退するでしょう。イスラエルも喜びます。

この結果、めでたく中東はアラブの独裁者の楽園となるでしょう。

難民が大量に来るくらいなら、中東の独裁者が自国民をマイルドに奴隷支配しても知らんぷり。おそらくそうなるでしょう。冷たいもんですよ。

 

それにしてもドイツでも内相が難民問題でキレましたが、イタリアも内相ですね。

やはり警察を指揮して国内の治安を維持する職務を担う人ほど現場の大変さが分かるんでしょう。キレっぷりが清々しい(笑)

無理!無理無理無理!無理ったら無理!!む~~~り~~~!!!って感じです。

今後はEUという国境線を守って、EU域外に難民キャンプを作り、そこで語学教育を受けてもらいながら、職業マッチングが出来た人だけ受け入れる方向になるんじゃないかと思います。もうそれが限界でしょう。完全に見捨てるよりは全然マシです。

面白いことにそういう対応を拡大すればするほど、植民地時代の悪名高き租界に近くなります。

EU連合が、北アフリカや中東のEU境界線沿いにNATOに守られた、EUの法律が適用される場所を作る。資金も投下され、人も集まり、治安も維持され、教育も受けられる。軌道乗ればちょっとした都市になるでしょう。

なんてことはない、昔の欧米による植民地のやり方と一緒。昔もこういうやり方で外の非キリスト文明地域と付き合ってたわけです。

まぁ昔の方が人間扱いしてないので非人道的でしょうが、付き合い方の手法は一緒です。

租界と言っても昔と違って現代版の租界ですから、人権は守られます。

理想を言えば、そこを香港のように成長させて難民を定着させ、教育水準も中学校レベルくらいは全員クリアさせる。そこそこ語学も出来るなれば、EU各国の職業マッチングで該当した人だけをEU市民として受け入れる。

それが現実的でしょうし、その方が結果的に多くの難民を救えるんじゃないかと思います。