韓国の左派系新聞、ハンギョレあたりが北朝鮮が「核施設・保有核リスト」の提出をして、米国が「終戦宣言」を出す取引が実現しそうだと期待感満載の記事を連発しています。
個人的にはいくつかの条件が折り合えば別に「終戦宣言」を出しても構わないとは思っています。
その条件とは何か?
- 「核施設・保有核リスト」の正確性を検証するために査察を受け入れる。
- 南北米中の4カ国で終戦宣言に署名。ただし、「核施設・保有核リスト」に嘘があったり、核開発の継続疑惑が判明したら、中国は石油パイプラインを停止し、すべての人的往来・物流を即時完全停止すること、という条件を中国に飲ませる。
- 在韓米軍も維持。
- 韓米同盟も堅持。
- THAADもどんどん増強。
- リストが正確だろうが終戦宣言を出そうが、完全な非核化まで最高強度の制裁は継続。
これらの条件が入るならまぁ別に終戦宣言くらいやれば?という感じ。
ポイントは2ですね。中国が「終戦宣言を!」と言ってきてるわけですから、足元見てこれくらいの条件は飲ませるべきでしょう。そうでなければやる意味ないです。
きっと、2の「核開発疑惑=即時人・物・金の完全停止」は中国や北朝鮮が嫌がるでしょう。
仮に2の条件が抜けて終戦宣言が出されたとしても、2以外の条件は普通に実施されるはず。
要はなんも変わらんということです。
つまり、制裁は維持されるわけですから、南北鉄道の接続もできませんし、金剛山観光もダメ、開城工業団地の再開もNGですし、DMZを経済特区にするのも不可能。
要は、終戦宣言を出したところで、文大統領が大風呂敷広げた南北経済交流は全部実現不可能ということです。
文大統領が一生懸命米国側に北のポチと化して「終戦宣言」を出そうと呼びかけてますが、「終戦宣言」出したら制裁が解除されるとでも思っているのでしょうか?
その可能性は非常に低いです。
「完全な非核化まで制裁維持」は、再三再四、米国政府高官が繰り返し言及していることです。
文大統領は、「終戦宣言」を出せば南北経済交流が進むかのような印象をふりまいてますが、仮に出せたとして、米国が「は?完全な非核化まで制裁は維持ですよ?何言ってんの??」と言われたどうするんでしょうか?
おそらく、「南北和解・共存共栄は米国のせいで進まない!」という反米さんたちが韓国内で勢いを増すこと間違いなし。
そういう世論が広がって困るの韓国政府です。
「先非核化、後制裁解除にこだわって民族的使命である統一を遅らせるな!国連制裁なんて無視しちゃえYO!」と、繰り返し韓国へ言い続けているのが北朝鮮です。
米朝の板挟みにあって右往左往すること間違いなし。
それとも韓国国内で「南北統一を米国が邪魔している!」という声が広がり、米国を無視して北朝鮮との交流拡大(=外貨を送り込む)へ突っ走っても支持率が落ちないようになることを狙っているのでしょうか?
その可能性はありそうです。
それも狙ってというより、無自覚にそういう方向にもっていこうとしてそうなのが恐ろしい。
これが民族意識か!と思えてしまう。
南北の鉄道連結も、開城工業団地再開も、金剛山観光も、「それらは非核化されてから考えましょう」と言って放置し、国内の経済問題に集中すればいいのに、経済政策の大失敗をごまかすのに南北ネタをフル活用。
経済制裁解除されたらすぐ動けるように準備しよう!と鼻息荒く、事前調査だ連絡事務所開設だとフライング気味に突っ走る始末。
大風呂敷広げれば広げるほど、実行には金正恩の協力が必要になって、ますます北の言いなりになるしかなくなる。
「非核化せよ、さもなくば制裁は強化される!」と、ピシャリと突き放せば良いのに、拉北者は失踪者にしましょうとか一生懸命ご機嫌取りをする始末。
共産主義の魔の手から大韓民国を守った先人たちがあの世で泣いてますよ。
個人的に、終戦宣言が出る可能性はあると思います。ですが、宣言が出たときに大盛り上がりするだけで、何も変わらないから「結局あの宣言って何だったの?」で終わるでしょう。
米朝会談と一緒です。
「米朝の首脳が初めて会談した!」と、大騒ぎしてたのが2か月前。
何か変わったんでしたっけ?
「対話が再開された」という以外、これといった変化はなし。
お互いの立場をぶつけ合う平行線交渉が延々と続いているだけ。
「終戦宣言」を出しても、結局は「非核化しろ」vs「制裁解除しろ」の平行線交渉に戻るだけでしょう。
せいぜい、対立する文言が、米国「終戦宣言出した(韓米が軍事侵攻する名分はなくなった)んだから非核化しろ」vs 北朝鮮「終戦宣言出したんだから経済制裁しろ」にUpdateされるくらいでしょうか。
元の文章に”終戦宣言出したんだから”がそれぞれ追加されただけ。
アホくさ。
「終戦宣言」の成果なんてこの程度になるのがオチです。
成果はこの程度なのに、「終戦宣言」出したのに「制裁維持に固執する米国はけしからん」という世論が広がることは確実。
韓国内でトランプより金正恩の好感度が高くなる日も近づきそうです。
韓国政府がそのくらいの計算をしているならともかくその可能性は低そう。
最低賃金UP⇒所得増加⇒購買力UP⇒景気改善⇒雇用増⇒みんな幸せ!、という超短絡思考を悔い改めないダメっぷりを見ても、終戦宣言出せば平和が定着して、北も核放棄して、経済交流も増え、平和定着・共存共栄が実現!みんな幸せ!くらいには思ってそうです。
南北対話で、ぐっと期待値を下げる発言をしているならまだ安心して見てられますが、やたらとバラ色の未来を語る。
この政権は大丈夫か?
不安で仕方ない。
南北対話の再開以外、特に自慢できる功績がなくなってきた文政権。
やめときゃいいのに、どんどん南北外交にのめり込む。
このままずんずん支持率が下がればその傾向は一層強まりそうです。