じわり広がる北朝鮮人権問題への言及

北朝鮮が人権問題に触れられることを嫌がっています。

良い傾向です。この傾向が広がれば人権問題を無視することができなくなります。

別に南北・米朝の対話ムードをぶち壊したいから言っているわけではありません。

いつかぶち当たる超重要な問題なわけです。

非核化と同じで、もし人権改善をやる気がなければ制裁解除もあり得ません。それを北朝鮮側に伝えておく必要があります。

太陽政策論者は「先易後難(簡単なことから、難しいことは後回し)」(『太陽政策―朝鮮半島の平和への道』P25)などと言いますが、難しいことを後回しにしたら交渉決裂が後回しになるだけで、その間に北朝鮮のサラミ戦術にやられて、経済制裁の解除など北朝鮮にとっての重要なことを奪われるだけです。

特に国連制裁などは一度解除したら中露の拒否権で二度と同じ強度の制裁は実現できなくなります。

難しい問題こそ先に争点化しておくべきです。それで交渉が破綻するのであれば、どちらにせよいつか破綻します。どうせ破綻するなら早い方が時間と労力も節約できますし、期待が裏切られてがっかりする精神的ダメージも小さくなります。

ということで、EUと日本が中心になって提出された「北朝鮮人権決議案」に対する北朝鮮の反応を見てみましょう。

 

 

「民主朝鮮」紙 反朝鮮「人権」騒動は破たんを免れない

【平壌10月21日発朝鮮中央通信】

先日、国連駐在欧州連合(EU)代表部のスポークスマンは「北朝鮮人権決議案」を日本と欧州連合が共同作成したし、すでに昨年から決議案共同提案国の間で討議が始まったと明らかにした。

そして、今年の決議案は誰それの「人権問題」自体に焦点を合わせるとでまかせにしゃべった。

21日付の「民主朝鮮」紙は署名入りの論評で、朝鮮の現実をあくまでも否定しようとする不純勢力の反朝鮮「人権」騒動こそ、卑劣でしつこい謀略茶番劇の延長であると糾弾した。

同紙は、「北朝鮮人権決議案」つくり上げ行為はわれわれの社会主義制度を圧殺するための敵対勢力の謀略と犯罪的計略の所産であり、根深い対決悪習の発露であるとし、次のように指摘した。

かつて、国連舞台で敵対勢力によって毎年、謀略的な「北朝鮮人権決議案」なるものが作り出されるたびに、正義と人権を愛する国際社会の強力な反対と糾弾を呼び起こしたのは決して理由なきことではない。

にもかかわらず、不純勢力が誰それの「人権問題」を喧伝して、今回またもや謀略的な「北朝鮮人権決議案」なるものをつくり上げようとするのは彼らがわれわれの神聖な社会主義制度をどうしてでも圧殺しようと反朝鮮「人権」騒動に必死になって執着し続けていることを如実に実証している。

不純勢力の反朝鮮「人権」騒動には、誰それの「人権問題」を口実にわれわれに対する制裁・圧迫の度合いをより高める一方、対話と平和へ向かった現情勢の肯定的流れに障害を醸成しようとする腹黒い下心も敷かれている。

不純勢力がいくら三文の値打ちもない茶番劇を百回、千回演出しても、自分らの汚い政治的野望を実現することができず、反朝鮮「人権」騒動は破たんを免れない。---

北朝鮮の反応は「反朝鮮の謀略」「人権問題を口実に制裁・圧迫を強化したい」「対話と平和への肯定的流れを妨害したい」という陰謀論的な反論。

いつもの「北朝鮮国内に人権問題など存在しない」という反論は見当たりません。

さすがに「存在しない」という言い訳は印象が悪いので控えているのかもしれませんね。

笑えるのは「謀略的な「北朝鮮人権決議案」なるものが作り出されるたびに、正義と人権を愛する国際社会の強力な反対と糾弾を呼び起こした」という部分。

北朝鮮の人権問題を指摘すると「正義と人権を愛する国際社会」なるものが反発するそうです。

世界中に点在する北シンパのごくごくわずかな人々が、北朝鮮にとっての「国際社会」なのでしょう。

こういう反応が北朝鮮からどんどん出るように非核化と同じだけの強度で人権問題改善を国際社会で訴えていくべきですね。

だいたい非核化したところで政治犯収容所・連座制・密告制・公開銃殺などの凶悪な恐怖支配システムをなくしてくれないと怖くて隣人付き合いなどできません。

悲惨な戦争は避けるべきですし、当然平和が良いに決まっています。

しかし、「平和」が北朝鮮国内で管理された虐殺を受ける人々を無視する理由にはなってはいけないはずです。

韓国の民族主義者たちと、世界の平和愛好家の皆さんには、早くそのことを悟ってほしいと思います。