本物の独裁にはすこぶる弱いかつての韓国民主化運動家たち

南北首脳会談はまぁ予想通り。笑顔で握手&抱擁して「しゃんしゃん会談」で終了。合意も検証可能な形で実際に実行されるかが一番大事。北にとって合意文書なんて都合悪くなればいつでも無視できるものです。

それにしても民主化闘争の経歴を自慢する現政権の民主化闘士たちは、プライドを売り払ったとしか思えないですね。自由と民主と人権のために戦った情熱は消え失せ、北の同胞を独裁者に奴隷売買する契約を喜々として結ぶとは困ったものです。

まぁ今後、ちゃんと人権問題に言及するかどうかで、「南北共同宣言」が「北韓同胞奴隷売買契約書」になるかが分かるでしょう。

一昔前の、70年代、80年代の韓国民主化運動で、韓国の自由と民主化を勝ち取るために頑張った面々の本を読めば読むほど、今の北朝鮮に対する態度は不可解極まりない。

特に現在の北朝鮮に対する態度と、韓国政府への態度の二重基準が醜悪の一言です。あんたらの誇りはどこに消えたのか?と問いたくなります。

「在日韓国人政治犯を救援する家族・僑胞の会」という韓国で抑留された在日韓国人政治犯を救出する活動をしていた団体が翻訳・編著した『ああ、民主よ!統一よ!』の前書きにツッコむ形で、いかにひどい二重基準をやっているかを紹介したいと思います。

 

ああ、民主よ!統一よ!』P2-4

刊行にあたって

一人の学生の死によって韓国社会は年初から大きく揺れ動いている。ソウル大生・朴鍾哲君が今年一月一四日に。治安本部対共分室で二名の捜査官によって殴打、水拷問、電気拷問を加えられたあげく死亡した。同一六日に東亜日報をはじめ各紙が一斉に朴君の拷問死を大きく報道するや、韓国全土が怒りと悲しみに包まれた。その日から東亜目報社には、問い合わせや怒りの声、あるいは自分も拷問を受けたと告発する市民からの電話が殺到した。

北韓で同族同胞がこれ以上に残虐なことを、何万倍もの規模で行われているのに、「怒りと悲しみに包まれ」ることもなく、大変冷淡なのが韓国人と在日コリアンです。そして帰還事業で北送された日本配偶者たちも収容所送りになって同じ目にあっているのに、まったく無関心なのが日本人です。

政治犯家族の救援組織である民主化実践家族運動協議会が一六日に、治安本部に抗議行動を行なったのを機に、新旧キリスト教団体、学生、労働団体などの民主団体も次々と抗議声明を発表し追悼集会・抗議行動を行なう一方、責任者の処罰と拷問の根絶を政府に迫った。こうした国民の怒りに抗し切れず、政権側は事件発覚の四日後に内務部長官と治安本部長を更迭し、全斗煥大統領自らも謝罪表明を行なった。しかし、韓国民は怒りを鎮めるどころか、朴君の拷問死を契機に「拷問のない社会を!」のスローガンを掲げ、拷問根絶のため一大国民運動を開始した。大韓弁護士協会も「拷問追放運動は究極的には民主化運動であり、正統な権力をしっかりと樹立するための〝第二の建国運動である〟として「拷問追放のための汎国民運動」を宗教界、在野民主団体、国民とともにくりひろげることを決定した。朴君の死を機に今、韓国社会は拷問社会から拷問のない社会、軍部独裁をくつがえし民主主義社会実現のための闘いへと、大きく踏みだそうとしている。

本物の民主化闘士なら、南北会談を機に「拷問のない社会を!」のスローガンを掲げて、文在寅政権に北朝鮮政府に対して「拷問追放運動は究極的には民主化運動であり、南北統一を成し遂げるための〝第二の建国運動である〟」と言え!と要求するでしょうね。

まぁそんな人は皆無です。むしろそういう声を上げる脱北者や支援団体関係者の口を封じようとするのが実態です。

顧みれば、韓国現代史は人権を踏みにじる者とそれを守ろうとする者との凄惨な闘いの歴史であり、血ぬられた歴史である。民主主義と民族統一を求める韓国民衆は、一人の人間の死をも無駄にすることなくかれらの遺志を受け継ぎ、独裁の圧政をはねのけ一歩一歩前進してきたといえる。

ぜひ同じことを北朝鮮政府に対してもやってもらいたい。「韓国現代史は人権を踏みにじる者とそれを守ろうとする者との凄惨な闘いの歴史」という割には、北韓政府とはまず闘わない。

民主主義と”民族統一”を求めているわりには、北の圧政下で死んでいった人たちに対して「一人の人間の死をも無駄にすることなくかれらの遺志を受け継ぎ、独裁の圧政をはねのけ一歩一歩前進」しようとは言わない。

ひたすら「平和共存・共同繁栄」です。

仮に、この当時の韓国政府を日本が経済支援し、弾圧に目をつみり、日韓友好を掲げて「平和共存・共同繁栄」を掲げて、文化交流だの芸術団の交換だのスポーツ交流だのをやったとしましょう。

相当怒りますよね?

独裁者を助けて一緒になって民衆弾圧をするようなものだ!と言いますよね?

あんたらが金正恩相手にやってるのはそういうことですよ?わかりませんかね?

収容所でいつ殺されるか恐怖におびえている人の横で、笑顔で握手してうまいもん食って、一緒にお歌を歌っているわけです。虐げられている人たちからしたらおぞましいことこの上ないですよ。せめて自分たちを収容所から出してくれるよう要求してくれ!と思うはずです。

が、それもしないでしょう。なぜなら融和ムードが崩れるから。

この最悪な行いを”民主化闘争”をやってきた世代がやるんですから、本当に笑えません。

一九六〇年の四・一九革命は、金朱烈君という一高校生の虐殺によって火ぶたを切った。七〇年一一月に労働三権の保障を求めて自ら灯油をかぶり「労働者たちを酷使するな」と叫びながら炎に身を包まれて死んでいった全泰壹(=全泰壱:チョン・テイル)青年の死は、朴独裁政権下であえぐ労働者の無権利、被搾取の実態を暴くとともに、後の民主労働運動の始発点ともなった。全泰壹氏は「韓国のキリスト」と呼ばれ、人びとの心の中に生き続け語り継がれている。七九年夏のYH貿易の女子労働者・金景淑さんの死は、朴大統領射殺という形で独裁政権の崩壊へとつながった。そして八〇年の光州民衆蜂起で虐殺された二〇〇〇余名の英魂は、民衆の胸の中で育まれ、民主化・民族統一をめざす闘いの炎となって生きつづけている。

朴君拷問虐殺事件は、全斗煥政権の人権弾圧・民衆抑圧を示す氷山の一角にすぎない。口では民主主義を唱えながらも、実際は分断体制を維持するために「反共」を国是にかかげ、人権よりも安保を優先させている。こうした政府の下で、国民の民主主義的諸権利は圧殺され、当局によって数多くの政治的弾圧事件、政治犯が生み出されてきた。不法連行、拷問は日常茶飯事である。民主化実践家族運動協議会によれば、昨年一年間だけでも三四〇〇人もの政治犯が獄につながれている。当局の苛酷な拷問によって虐殺された人びとも多い。

ここまで来たらもはやギャグですね。まんま北朝鮮の金正恩に置き換えられるのに、この”体制を保障”して「平和共存・共同繁栄」ですよ。

弾圧は黙認して、弾圧をやっている加害者と「平和共存・共同繁栄」しようと言うわけです。被害者無視も甚だしい。

全斗煥を「口では民主主義を唱えながらも、実際は分断体制を維持するために「反共」を国是にかかげ、人権よりも安保を優先させている」と批判してますが、これもまんま北朝鮮のことでしょう。

「口では民主主義を唱え」て実態は独裁ですし、「北の暴圧体制」こそが分断を維持している根本原因です。「金日成・金正日主義」を国是にかかげて、「人権よりも安保を優先させている」のもまさに北朝鮮。

同じように批判するならともかく、全斗煥がやったら独裁で、金正恩がやったら「米国の敵視政策が悪くて自己防衛のために仕方ない」となる。

意味が分からない。

「昨年一年間だけでも三四〇〇人もの政治犯が獄につながれている。当局の苛酷な拷問によって虐殺された人びとも多い」とありますが、北朝鮮はこの100倍は人数いると思いますよ。

でも「平和共存・共同繁栄」ですからね。

自分たちがやられたら激高することを北朝鮮住民に対してやる。韓国民主化闘争を頑張った闘士たちは狂ってしまったんでしょうか?

取り調べ室や獄中で、あるいは軍隊に強制的に送られ殺された学生たち。また、民主主義のために焼身・服毒などの方法で自ら生命を絶った人たち。こうした人びとは何を思い、何故に死を選ばなければならなかったのか。亡くなった人たちの生きざまと考えを少しでも明らかにし、そうすることによってかれらの死を無駄にしたくない、という思いで本書を刊行するにいたった。

脱北者は、捕まったらすぐ服毒自殺できるよう毒もって豆満江渡るんですよ。「亡くなった人たちの生きざまと考えを少しでも明らかにし、そうすることによってかれらの死を無駄にしたくない」という精神で、無数にある韓国民主化運動関連の書籍並みに、脱北者の証言や北の人権問題の本を刊行してもらいたいものです。

最近、日本の一部マスコミのかたよった韓国報道姿勢――焼身学生に「過激派」というレッテルをはりつけたり、八八年ソウルオリンピックに向けて全斗煥政権が民主化のために努力しているかのように報道するなど――が目立つなかで、民主化と民族統一のためにねばりづよく闘い抜いている韓国民衆の人間性・尊厳性・気概を事実に即して伝えなければならない、と考えた。

北朝鮮の民主化と民族統一のために最も闘っているのは脱北者だと思えますが、南北会談や融和ムードに水を差すからと口封じしてきますよね、文在寅政権は。

「民主化と民族統一のためにねばりづよく闘い抜いている脱北者たちの人間性・尊厳性・気概を事実に即して伝えなければならない」と言いたくなります。

まさにこの本で書かれているような素晴らしい”民主化活動”を繰り広げてきた人々が、文在寅政権の中枢にいるはずなんですがそんな動きは微塵もない。不思議なもんですね。

抗議の自殺をした人びとは、絶望の末、悲嘆して死を選んだわけではない。人権弾圧のない社会をつくるために、これ以上の犠牲者を出さないために、生命と人間性の尊厳を訴えるために死を選んだのだ。「私の死を無駄にするな」「生きたい。でも死んでも後悔しない」という最後の叫びは、かれらのそうした願いを物語っている。

昔は生きるために、最近では自由を求めて北朝鮮から死と隣り合わせで脱北する人々がいます。

こういう人たちの”物語”に興味がないのが朝鮮学校の特徴です。

いやはや不思議ですね。「在日韓国人政治犯を救援する家族・僑胞の会」では熱心に活動するのに、相手が北朝鮮になると途端にトーンダウン。それで人権語る資格あるんでしょうかね?

しょせんはバックに従北団体の韓統連や朝鮮総連がいるということなんでしょうかね?それ以外説明がつかない気がしますが、どうなんでしょうね?

本書では多くの犠牲者のうち一一人の学生、労働者を紹介することにした。これは私たちが執筆・翻訳するに足る資料をそろえることができたのが一一人分であるという事情による。執筆・訳出に際しては、韓国からもたらされた書籍や雑誌、追悼文、声明文、ビラなどの文献を丹念に調べ、正確を期すように最大限努力した。

執筆・翻訳作業は、当会事務局関係者をはじめ会員ならびに在日同胞の方々が協力してあたった。本書は、こうした在日同胞による共同作業の努力の賜であることをとくに記しておきたい。本書の刊行にあたってはまた、三一書房編集部の三角忠氏にひとかたならない御尽力をいただいた。心からお礼を申しあげたい。

韓国民主化と統一のために犠牲となった人びとの冥福を祈りつつ……。

一九八七年五月
在日韓国人政治犯を救援する家族・僑胞の会

大学とかにいる在日知識人で熱心に北朝鮮の収容所のことについて執筆・翻訳作業をしている人を寡聞にして知りません。済州四・三事件や光州事件なんかはうじゃうじゃいるんですけどね。なんでなんでしょうね。

それにしても「叙君兄弟を救う会」や「在日韓国人政治犯を救援する家族・僑胞の会」のような団体で活動していた人々が、北朝鮮に対して同じ以上に、怒ったり救出のための行動をしないことには驚かされます。

両方に取り組んでいたのはNO FENCEの小川晴久先生くらいじゃないでしょうか?他は全部ベトナム戦争や慰安婦問題、植民地支配糾弾運動に流れました。

ま、しょせんこれらの団体のバックにいるのが従北団体の韓統連や朝鮮総連だったということでしょう。お里が知れます。そうじゃなければこの二重基準は説明できませんから。

南北融和ムードに水を差すなという在日知識人がいます。(参考:南北分断の悲劇、在日の叫び 詩人・金時鐘さん「融和の動き、そしらないで」

この手の人たちに聞きたい。

仮に、上述したような政治犯収容所に収監されている韓国の若者を無視して、全斗煥と日本の総理が笑顔で握手し、「平和共存・共同繁栄」を合言葉に文化交流だの経済協力などやったら激高しますよね?それとも日韓融和だと喜ぶんでしょうか?

”分断の悲劇”どうこう言って、日本にも責任があるとか米ソ冷戦が悪いとか他国に責任転嫁して北朝鮮の罪を矮小化しますが、同じ理由で全斗煥や朴正煕政権の人権侵害を擁護することはないですよね?

だから日韓でリベラルはうさんくさいと言われるんですよ。

金時鐘氏の詩人としての功績は素晴らしいものだと思いますが、この手の在日知識人たちの不可解なところは、韓国の軍事独裁政権と相対した時の情熱を北朝鮮の超ウルトラ極悪独裁政権に発揮しないところでしょう。

分断を終わらせて統一したいなら、あの暴圧体制をなんとかしないといけないのに、そこには目を向けず、ナイーブに「ひき裂かれた同胞同士が融和しようとしているのに、どうして冷ややかに見るのか。隣人として、せめて、そしるようなことはやめて欲しい」なんて言ってる場合じゃありません。

融和する相手はあなたの同胞殺しまくってるんですよ?融和する対象がおかしいでしょうに。どうやって同胞大量虐殺している相手と「ひき裂かれた同胞同士が融和」できると思えるのでしょうか?

こういう思考回路がこの世代の限界なのかもしれませんね。三つ子の魂百まで。北朝鮮=地上の楽園、韓国=地上の地獄、というプロパガンダがバンバン飛び交っていた時代に情緒形成されるとこうなるんでしょう。

こういう思考回路の人たちが「思想としての朝鮮籍」とか「南でも北でもない第三の道」とか馬鹿なことを言い出すんですよ。

とっくに民主化されて、韓流ブーム定着した世代の人間からしたら、韓国支持以外に選択肢なんてあんの?ってなもんですよ。

南北会談がどういう行為かを分かりやすく説明するなら、収容所に入れられ、自由と民主を求めて焼身自殺したり、光州で殺された韓国の若者を無視して、全斗煥と握手して「あなたの政治体制を保証します」と言っているようなもの。

米国に対しては、光州事件を黙認したと批判をしまくっていたのに、同じことをする韓国政府には批判するどころはよくやっていると声援を送る。

意味が分からない。

日本も人のことは言えませんが、本物の独裁政権の前ではなぜこうも弱腰なのか理解に苦しみます。

ま、しょせん”職業”民主活動家なのでしょう。あっという間に公開銃殺で殺す独裁政権とは闘わずに、”体制保障”です。民主化闘士が聞いてあきれます。

北朝鮮民主化のために命を張れとは言いませんが、せめて北の収容所・連座制・密告制・拷問の停止を南北会談に入れろ!と韓国や日本の政治家を突き上げるべきでしょう。

それをせずに「自分たちは韓国民主化のために闘った」などとは恥ずかしくて言えないはずです。