韓国を北朝鮮と同列化する北の情報工作

良い内容もたくさんあるが、どうも臭いな~と思っていた「韓国人が書いたシリーズ」で本が売れているシンシアリー氏。

本人が工作員なのかは不明ですが、韓国と北を同列化して、北の残虐さを矮小化する、北朝鮮情報工作の基本方針に沿った内容であることは間違いない。

脱北者の証言やロシアからの機密文書公開などに伴って、北朝鮮を賛美することが不可能になったため、韓国を貶めることと、日本を貶めることが工作の核となっています。

まぁだいたい嫌韓ネタで匿名の人が書いた本は基本バックに北がいると疑った方が無難です。

これはある面しょうがないと言えばしょうがない。こういう本の内容を喜ぶ人間が増えてマーケットができたら、そこをターゲットにした本が出てくるのは当然です。

韓国人による北韓論 (扶桑社新書)』から絶妙だな~と思った内容を箇条書きにします。

 

「反共」か「従北」かで韓国を分裂させないために利用される「反日」 P31

そういう側面もあるかもしれないが、反共を矮小化し従北の勢力拡大に「反日」が利用されいてることの方が大きい。その結果、韓国が分裂している。

自分のホームページに「国父朴正煕、逆賊(国賊)金大中」と書いてある韓国の「極右」コラムニスト、氏。

彼は、二〇〇六年七月十三日に「北朝鮮の住民の間には反日感情がない」と主張しました。該当コラムの内容を簡単にまとめると、北朝鮮政権は、併合時代に日本が(朝鮮半島の)住民から財産を略奪していったと喧伝しているものの、実際には北朝鮮政権のほうがより多くのものを略奪し、虐待し、自分勝手に殺戮しているため、住民たちはむしろ併合時代を懐かしんでいるとのことです。

「日本はそれでも道徳を教えてくれたし、字を教えてくれたし、国史と世界史を教えてくれました。日本の下、朝鮮人たちは、粟飯でも腹いっぱい食べることができました。日本人は米を腹いっぱい食べました。(朝鮮人たちは)何で私たちは栗ご飯しか食えないのかと、これは差別だと、贅沢な文句を言っていました。しかし、いまでは粟の飯さえ食べることができません」としながら、コラムは「むしろ日本が懐かしい! 解放がなかったら、日本人の半分程度の暮らしはできたかもしれないのに……そのような情緒が北朝鮮の住民たちにできています」と続き、「反日感情はただ金日成、金正日政権だけが意識化の次元で話しているだけです。反日感情の根が何なのか、私たちももう一度考えなければならないでしょう」と結論づけています。

必要だと判断してまとめた内容を紹介してはいますが、このコラムをすべて真に受けるのはどうかと思います。所どころ、反論したい部分も目立ちます。特に、経済への不満から発生した「併合時代を懐かしむ」エピソードを、「反日感情が弱い」と解釈していいかどうかも疑問です。

しかし、反論したいところも多いし、コラム全体も悲しいかぎり(ここでは引用しませんが、北朝鮮で大勢の人が餓死しているなどの内容もあります)であるにもかかわらず、「北朝鮮で反日感情が弱い」とは、これは意外な主張です。あまりにも意外で、ちょっと面白いとすら感じてしまいます。

韓国人による北韓論 (扶桑社新書)』 P90-92

これまた絶妙です。

大事なのは、「何を書いていないか」、という点です。

「韓国の極右コラムニスト」と池萬元氏を貶めていますが、この人は「慰安婦の中には偽の証言をしている人がいる」と指摘していたり、韓国の従北左翼が神格化している「光州事件」についても、これを扇動したのは北の工作員ではないか?という論文も出しています。

つまり北朝鮮にとってはものすごい都合の悪い人。

こういう人に「極右」レッテル貼りするのは北朝鮮の十八番です。

「北朝鮮の人は併合時代を懐かしんでいる」という記述を紹介することで、左派は池萬元氏の意見に耳をふさぎ、シンシアリー氏の書くことを信頼する保守派には、極右の変な人なんだろうな、と思わさせて注目させない。

こういうマメな情報操作をせっせとやることで、韓国側で別の意見があることに注目させないわけですね。これを何十年もやり続けると、日本で嫌韓本が飛ぶように売れるマーケットができてしまいます。

重要なのは、「反日感情はただ金日成、金正日政権だけが意識化の次元で話しているだけです。反日感情の根が何なのか、私たちももう一度考えなければならないでしょう」と池萬元氏が言っている点でしょう。

韓国の反日感情を見直そうと言っているわけです。

こういうまともな人と応援して、韓国から危険な従北勢力を追い出すことが日本がやるべき対韓外交のはずが、そういう意識にさせないようシンシアリー氏は誘導しています。

微妙ですよね。

「コラム全体も悲しいかぎり(ここでは引用しませんが、北朝鮮で大勢の人が餓死しているなどの内容もあります)であるにもかかわらず」、という記述も微妙。

北朝鮮のありえない人権弾圧を、詳細かつ具体的に書かないのが嫌韓本の特徴です。

日本の左翼も一緒。

北の収容所や餓死者が出たことなどについても、悲しい出来事だと一言いうだけで、慰安婦や日本の植民地支配時代のことのように、具体的かつ情熱的に憎悪を煽るようには絶対書きません。

淡々とした事実の羅列のみです。

北にとって最も都合の悪いことは書かないか、無味無乾燥な書き方をして矮小化し、それに引き換え韓国については欠点を過剰に指摘する。

これが北の対南工作の基本路線です。

そもそも北朝鮮と韓国を比較することが無意味でしょう。もはや完全な異世界と言っても過言ではない。

そして、この著書の脱北者についての記述がかなり微妙。

第一節 「自由に生きて飢えて死ぬ」韓国で差別される「脱北者」

「脱北者三万人」は必ずしも幸せではない

韓国人による北韓論 (扶桑社新書)』 P126

出だしから危険な香りがプンプンします。

そもそも韓国人でさえ全員が全員、自分は幸せだと思ってないのに、異世界から来た脱北者の全員が幸せなわきゃないでしょう。

苦労するのは当然です。

それでも受け入れてくれた韓国に感謝している人が大半ですよ。もちろん色々不満はあります。それを口に出せて、是正していけるところが自由と民主主義の良いところです。

北朝鮮じゃあ文句も言えないですから。

また韓国に来た脱北者の全員が韓国での暮らしに満足しているわけでもありません。

「韓国に来た脱北者」のなかで、二〇一五年時点で居住地不明となっている人は七百九十一人、すでに海外に出国した人が六百六十四人。一部は北朝鮮に帰っており(二〇一五年九月二十八日/聯合ニュース)、脱北者の二十・八%が「再び北朝鮮に帰りたい」と思っています(二〇一二年十一月十五日ソウル新聞)。

韓国人による北韓論 (扶桑社新書)』 P127

この言論、日本で嫌韓扇動の元締めである従北在日の人が読んだら大変喜びます。

「韓国だって北朝鮮人民に冷たいじゃないか、それに比べて自分たちは北にいる親族のためにできるだけのことはやっているぞ!」という言い訳を自分にできます。やってることはただの奴隷なんですけどね。まぁ生き残るためには奴隷になる以外に道がないわけですからあまり責めることもできません。

あと「再び北朝鮮に帰りたい」という脱北者が20.8%いることを引用しています。

これが絶妙。

今のままの北朝鮮に帰りたいか?と問われればほぼ0%でしょう。何せ帰ったら最後、「祖国の懐に抱かれて幸せです!」というプロパガンダに使われ、用済みになったら収容所送りになる可能性大です。誰も帰りたいなんて思いません。

「再び北朝鮮に帰りたい」という真意は、北朝鮮が「独裁を清算して良くなったら帰りたい」ということです。

北朝鮮が自由になり、密告と収容所の恐怖がなくなれば、そりゃ自分の生まれ育った故郷に帰りたいと思うのが当然です。

そういう背景を隠蔽し、韓国は脱北者に冷たく、差別がはびこる悪い国、という言論は印象操作でしょう。

受け入れてくれた韓国に感謝している人が大半ですよ。

もちろん差別や職がなくて貧乏して苦労している人もいます。

だとしても、功罪両方を客観的に見れば、功のほうが圧倒的に多い。

いったい韓国以外のどこの国が、まともな教育も受けず、資産もない万単位の北朝鮮難民を受け入れているのでしょうか?

こういう姿勢は、朴正煕の功績を無視して、軍事独裁一点張りで全否定する韓国の従北左翼と似ています。

脱北の際に資産を持ち出せるわけがないでしょうし、軍事政権時代のように反共教育に関する講演など「稼ぎ」の機会が多いわけでもありません

韓国人による北韓論 (扶桑社新書)』 P128

これも凄い。

脱北者の講演を「反共」教育とすり替えています。

そして「稼ぎ」のために講演していると脱北者を貶めています。

脱北者の講演は、「人権問題」が主力です。「反共」ではありません。

「人権弾圧」を「反共」とすり替え、「稼ぎ」のためだと貶める。

典型的な、従北さんによる情報操作のやり口です。

韓国にとって「良心的日本人」と「脱北者」は使い勝手のいい「道具」

韓国人による北韓論 (扶桑社新書)』 P129

大嘘です。

脱北者支援をしているのは韓国の保守派が主力です。

「良心的日本人」は、北批判、朝鮮学校批判につながるので、脱北者の人権問題には大変不熱心です。もしくは取り組んでいたとしても、朝鮮学校には波及しないように北の人権問題を操作してきます。

ず~っと親北的な言論を展開していた「良心的日本人」は、脱北者の人権問題にはえらく冷淡ですよ。何を言っているんだか。

むしろ日本の脱北者は、日本人拉致問題に取り組んでいる保守派と連携することが多い。

これは韓国も一緒で、左翼よりも保守派の方が脱北者支援に熱心です。

比較していいかちょっと微妙ではありますが、「良心的日本人」と「脱北者」は、ある意味では似ている「道具」です。

私が幼かった頃、軍事政権では、脱北者は全マスコミのスクープ対象で、特に軍人が脱北して韓国側に来ると、「帰順勇士」(反逆心を捨てて韓国に戻って来てくれた勇気ある人という意味)として英雄扱いされました。

韓国では、韓国の歴史観に同調する日本側の人たちを「良心的日本人」と呼び、韓国の歴史観が正しいと主張する根拠とします。それと似たような関係です。北朝鮮から韓国に逃げてきた人たちがいるではないか。これこそが韓国が正しい証明である、と。

再び北朝鮮に帰った脱北者が北朝鮮で「やっぱり韓国はダメだった」と講演するという話も聞きますから、お互い様といえばそれまでですが。

韓国人による北韓論 (扶桑社新書)』 P130

ここが凄い。

完全に北朝鮮の代弁者です。

「韓国の歴史観に同調する人」を「良心的日本人」と定義しています。

絶妙なすり替えです。

民主化前の「反共」の歴史観に同調していたのは、日本の保守派です。良心的日本人と言われる左派は、むしろ北朝鮮と連携して韓国は軍事独裁のファシスト国家だと朝鮮総連と一緒になって盛大に非難していました。

「良心的日本人」は、軍国主義の朴正煕がプロパガンダに利用している!という朝鮮総連の主張に同調していた人たちです。

シンシアリー氏は、北朝鮮にとって都合の良いように歴史の書き換えをしています。

韓国の欠点を指摘することで、信頼できる著者だと思わせながら、北にとって最も都合の悪い核と言える部分は、うま~~~く歴史を書き換えています。

本を売るために、北の情報操作に乗っかって本を書いているのか?それともガチの工作員なのか?

さてさてどうなんでしょう?

まぁネットで有名で、匿名で顔も分からない人が、韓国や在日をネタにしているブログや本を出している場合、北がバックにいると思って懐疑的に読む方が無難です。

情報工作の基本ですが、10のうち9は本当で1が嘘。これがうまいやり方です。

まぁとりあえず韓国と北を同列視する論調は論外でしょう。

どう考えても韓国より北朝鮮の方が100万倍はヤバイです。

少なくとも韓国は数十万単位で自国民を収容所で殺すような真似はしていませんから。

韓国と北朝鮮は同類、という情緒操作は北朝鮮が己の残虐さを矮小化する鉄板のやり口です。

こういう論調には騙されないように気を付けてもらいたいところです。

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