在日朝鮮人への扱いを知れば、北朝鮮が韓国をどうしたいかが分かる

「北朝鮮主導の赤化統一など不可能だから、そんなことを心配する必要はない」

現時点ではその通りだろうとは思いますが、あわよくば赤化統一したいと思っているのが北朝鮮の本音でしょう。

「軍事独裁政権時代から血を流して民主化を勝ち取った韓国人が、独裁政権を受け入れるわけがない」という当然の反論もあります。おっしゃる通りかもしれませんが、日本の警察相手や公権力相手に、差別是正や権利向上のためにガンガン闘っていた在日朝鮮人が、北朝鮮では借りてきた猫に変わらざる得なかった実態を知れば、「赤化統一などありえない。仮に赤化統一されても自由と民主主義が血肉となっている韓国人を北朝鮮が統治できるとは思えない」と、のんきに楽観視もできません。

日本で差別と闘った、例えるなら韓国の民主化闘士のような人が、北朝鮮でどう”調教”されたかを紹介します。

 

監視される生活

私たちは栄光の社会主義祖国建設という夢に参加するためではなく、貧しさからの離脱を求め北朝鮮にやって来た。だが、暮らし始めてはっきりしたのは、父ひとりの労働では家族六人が食べていくのはとうてい無理だということだ。食生活だけで言うと、日本のそれより格段に水準は落ちた。

(中略)

私と妹を含め、食べ盛りの子供が四人もいるので、さすがに米だけでは飽きが来た。ある日、父は日本から持って来た自転車や服などを党幹部に売ると、里の外れにある農民市場に出かけた。食糧配給はすべて国家が管轄しているので、個人による販売は基本的には禁じられていたが、農民市場では農場員が家でつくった野菜や卵などを売ることが黙認されていた。ここでは配給券も必要なく買うことができたが、価格は恐ろしく高く、最低でも公定価格の十倍はした。

父は豚と鶏、羊を従えて帰ってきた。私たちはそれらを家の敷地で飼うことにした。テレビもラジオもなく、これといって娯楽のない毎日だった。妹たちはまるで新しい遊び相手ができたかのように豚や鶏を追いかけ回し、はしゃいでいた。妹たちの喜ぶ姿を見るのは久しぶりのことだった。

ところが、どういうわけか午後になると、里の分駐所の安全員が私たちの家にやって来た。私は家の前に突如現れた男が安全員とわかり緊張したが、そのあまりの凶相に思わず目を背けてしまった。できるだけ目を合わせないように豚の餌をこしらえることに没頭した。頬のこけた見るからに酷薄な感じのする男だった。その安全員は勝手に家の敷地に入ってくると、あちらこちらを見て回った。私のつくっていた豚の餌をのぞき込むなり、突然大声で怒鳴りつけた。

「この日本人野郎。豚の餌に人間様の食べる米を入れるとはどういうことだ」

それは昼食の際、土間にこぼしたご飯粒だった。父はその罵声を聞きつけると、家の中から駆けだしてきた。そして日本にいたときと同じような調子で安全員に近づき、胸ぐらをつかむと有無を言わさず殴りつけた。男は倒れ、唸りながらしばらく地面にはいつくばっていた。が、やおら立ち上がると拳銃を抜いた。目がぎらぎらと異様に光っていた。父も修羅場をくぐり抜けてきた男だ。その安全員の顔つきが尋常ではないことに気づき、両手を挙げた。そして「わかったから撃つな」と言うと、背中に拳銃を突きつけられたまま、おとなしく分駐所に行くことに同意した。父は背中越しに「心配するな」と言い残し、連行されていった。

私と母はその夜、まんじりともせず父の帰りを待っていた。深夜になってようやく父は帰宅した。その顔はところどころ赤く腫れていた。

「ここは恐ろしいところだ。おまえたち、注意しないと駄目だぞ。ああ、俺は総連の連中に騙された」

父は怯えた表情でそう話した。私はそれまで父のそんな表情を見たことがなかった。日本では警察であれ、誰であれ文句を言う相手は腕力でねじ伏せていた。朝連の活動で警察に逮捕されようが、意に介していなかった。その父の狼狽ぶりに私は自分たちを取り巻く社会の仕組みが、これまで経験したことのないものであることを理解した。昼間見た安全員の表情は、ためらいもせずに人の命を奪うことを容易に想像させた。それを思うと、私の全身は総毛立った。近隣の住人が密告したのか、農民市場で家畜を買ったという些細なことですら、安全員はその日のうちに知っていた。私たちの一挙手一投足は完全に把握されていた。

北朝鮮大脱出 地獄からの生還 (新潮OH!文庫)』P63-66

「日本では警察であれ、誰であれ文句を言う相手は腕力でねじ伏せていた。朝連の活動で警察に逮捕されようが、意に介していなかった」人が、北朝鮮では借りてきた猫のように大人しくならざる得ない。

これが北朝鮮の実態です。

ちなみに在日陰謀論を扇動するアホな右翼のように「日本では自由に生きれて、北朝鮮では言いなりになるしかないんだから日本にいれることを感謝しろ!」みたいなことを言いたいのではありません。

日本では粋がってたのに、北朝鮮ではあっという間に言いなりですか?情けないですね~、と揶揄したいのでありません。

虫でも殺すように自国民をあっさり殺す独裁体制というものがどれだけ圧倒的な恐ろしさを持つのかを理解してもらいたいというだけです。

私が同じ立場になれば、生き残るために言いなりになります。下手に逆らっても鉛玉を脳天に撃ち込まれて死ぬだけですから。

日本や韓国のように、横暴な国家権力に逆らって死んでも後に続く人を勇気づけ、死んだ自分を英雄に祭り上げてくれるなら、死ぬ覚悟で闘う気にもなるでしょう。

しかし、北朝鮮では文字通り”無駄死に”です。

親族と一緒に収容所送りになり、収容所では「なぜ逆らったんだ!お前のせいでこんなつらい目にあっているんだ!!」と家族から責められ、死んだら墓碑銘もなくただその辺に無数の死体と一緒に埋められるだけ。

世のため人のために闘った記録など一切残されません。最初から存在しなかったように忘れ去られる。

よく韓国の掲示板で、「俺たちも独裁政権と戦って民主化を成し遂げたんだ。北朝鮮人も自分たちで頑張れよ」という書き込みも見かけます。

ふざけた言い分です。

韓国の独裁政権など、北朝鮮の独裁レベルに比べたら子供みたいなものです。「強権的な民主政権」程度が的確な表現でしょう。

民主政権だからこそ、色んな矛盾や不合理を解決しながら経済発展を遂げることができたわけです。

その韓国が北朝鮮相手に「わが民族同士」だのなんだと言って融和的な姿勢に終始する。

まるでかつての「北朝鮮=地上の楽園」と言って、その当時も「どうやら実態は違うぞ」という声があったのに、その声を黙殺していた人たちを見ているようです。

韓国で民主化を勝ち取ったと自画自賛している386世代といわれる現政権の要人たちも、北朝鮮に行けば「借りてきた猫」のように大人しくなることでしょう。

別に韓国の民主化を否定するわけではなく、基本的に韓国を良い方向に導いた運動だとは思っています。

問題は、そういう運動を主導してきた人たちが、北朝鮮に異様に甘いことです。

甘いだけならともかく、北朝鮮に経済支援をして、その暴圧体制の維持に加担する姿を見ると二度と自由だの民主化だの言うなと言いたくなります。

北朝鮮が韓国をどうしたいかは、北送された在日朝鮮人への扱いを知れば分かります。

まず、北朝鮮の政権批判は禁止させたい。これは順調進行中。「敵視するこのは良くない」という言い訳で、北朝鮮の実態を知らせる活動は自粛させています。

あと金を吸い取りたい。北送された在日朝鮮人を人質にして、日本に残る家族から大金をせしめました。技術や情報を含めればその額は計り知れません。韓国に対しても同じでしょう。

経済交流・文化交流の名目であの手この手で韓国から金をせしめようとすること間違いなし。

文化交流・スポーツ交流も、しょせんは形を変えた外貨稼ぎです。

北朝鮮から韓国に来るなら、仮に韓国政府が滞在費など全部負担したとしても、韓国国内で金が回るだけですから北朝鮮にはお金は流れません。

しかし、北朝鮮へ行く場合は、向こうで飲み食いするときにお金を払うわけですから外貨が流れます。

滞在費を全額北朝鮮政府が負担するならともかく、北朝鮮がそんなことをするとも思えない。

「短期祖国訪問」で在日朝鮮人を金づる化する方法と同じです。

文化交流の名目で「観光収入」をゲット。

離散家族再会も南北合同バスケットもその一環です。

韓国がやるべきは北送された在日朝鮮人相手に北朝鮮がやったことをやらせず、嫌がったこと、やらせなかったことをやることです。

つまり、北朝鮮への一方通行の移動ではなく、北朝鮮からどんな名目でも良いので人を出させる。

在日経由で入ってきた情報や物が北朝鮮の体制を揺るがしたことを見習って、北朝鮮に韓国のテレビ視聴を許可させる。

そういったことを対抗手段として取るべきだと思います。

北朝鮮が在日朝鮮人をチュチェ式に調教したやり方をやらせてはいけません。