KOREA TODAY 2015/11月論壇より ~「朝鮮労働党70年、彼らは何をしたか」~

「朝鮮労働党70年、彼らは何をしたか」
金烈洙(誠信女子大学国際政治学専攻教授)

 まず、北朝鮮の朝鮮労働党の歴史を見ると次の通りである。朝鮮労働党は、一九四五年十月十日に朝鮮共産党の北朝鮮分局として初めて設立された。続いて一九四六年六月に北朝鮮共産党に改名し、ソウルの朝鮮共産党から独立した。同年八月には、平壌の朝鮮新民党と合党し、北朝鮮労働党(北労党)に党名を変えた。しかし、大韓民国建国直後である一九四八年十二月に国家保安法が制定されて韓国内での活動が困難になると南朝鮮労働党(南労党)党員が北朝鮮に渡ったので、金日成はこれをきっかけに一九四九年六月、南労党と北労党を統合して朝鮮労働党を立ち上げた。即ち、朝鮮労働党は実際には一九四九年六月に創設されたが、北朝鮮は、朝鮮共産党の北朝鮮分局が設置された一九四五年十月十日を党創建日として記念してきた。

 このような歴史を持った朝鮮共産党が数日後には創建70周年を迎える。平壌近辺の美林(ミリン)飛行場では、数力月前から人民軍三万人が集まって軍事パレードを練習したり、大同江ではサッカー競技場並の構造物が建てられたりして公演や花火などを準備している。当日には人民軍列兵式と共に平壌市の群衆大会が大々的に開かれる予定であり、新型兵器も披露される。また、北朝鮮指導部は国際社会の反対にも拘らず、創建日を前後して長距離ミサイル発射と四度目の核実験カードを使おうとしている。

 北朝鮮住民はこのような行事を歓迎していない。その理由は、金正恩第一書記が今年の新年辞で「祖国解放70周年と党創建70周年を高い政治的熱意と努力的成果で迎えなさい」と指示したことで、北朝鮮の全住民が今年初めから動員されているからである。このような理由で党創建日までにダムや発電所など、大型建設事業や塩辛工場及び養鶏場建設を終えなければならないので、住民らは「スピード戦」を強いられている。行事の当日に炬火行進に参加する住民も毎日、訓練に動員されている。

 住民をもっと憤らせているのは、これらの動員が差別的に行われていることである。70周年行事にお金を寄付する人や幹部は免除されて、力のない住民だけが「スピード戦」に動員されている。また、北朝鮮のお金五〇〇〇円だけ出せば、一日間、炬火行進訓練を免除してもらえるので、お金のない人だけが動員されていることになる。住民をもっと苦しめているのは、党創建70周年を口実にして住民らに「忠誠の贈り物」を強要していることにある。金日成の誕生日である四月十五目には四一五万匹のスズメの頸羽で布団を作って捧げたり、金正日の誕生日である二月十六日にはニ一六万ドル相当の金字塔を捧げたのが過去の例である。苦難の行軍時代に消えた忠誠の贈り物運動が今回の党創建記念日を契機によみがえっている。党創建記念口を口実にして住民の膏血まで搾り出している。

 事実上、朝鮮労働党はたった一度も北朝鮮住民の安全と福祉のために献身したことがない。ただ、金日成一家の永生不滅のために奉仕してきただけである。二〇一二年四月に改定された党規約に明示されたように、朝鮮労働党は人民のための党ではなくて「偉大なる金日成同志と金正日同志の党」であり、「偉大なる金日成-金正日主義を唯一の指導思想として」仰ぐ党であるからである。また、「朝鮮民主主義人民共和国は朝鮮労働党の領導の下ですべての活動を進める(憲法第11条)」ように定めているので、朝鮮労働党が北朝鮮を統治しているのである。

 朝鮮労働党は金日成一家のために個人崇拝作業を繰り広げている一方、反体制言行を行う人々の家族全体を収容所に送っている。しかも、北朝鮮住民を出身成分によって3大階層45個部類に分類して日常生活を監視している。北朝鮮住民の二八%にしか及ばない核心階層を除いた四五%の基本階層(動揺)と二七%の複雑階層(敵対)の一挙手一投足が監視対象である。

 労働党創建日は労働党と労働党員の名節であるべきだ。それにも拘らず党幹部は身動きせずに一般住民にスピード戦や訓練だけを急かしている。労働者や農民のためと言う「高貴な精神」は消えつつ、むしろ、彼らを踏みにじる「動物農場」の豚になりつつある。彼らが民草(北朝鮮住民)の面倒を見る日が来るだろうか。

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