朝鮮学校もとい、チュチェ学校の教科書を読み込み、そこに込められているイデオロギーや、どういう思考回路を形成させることを狙っているのか、それが分かるようになりました。そして、日本で手に入る翻訳版との親和性に唖然とせざるえません。
扱う時代の配分が、ほぼチュチェ学校と同じです。目次から分析しましょう。
1.わが国の歴史の形成と古代国家 Page 10
2.高麗と朝鮮の成立と発展 Page 44
あっという間に古代から中世が終了です。日本に何々してあげた的な記述は無視して分析することが大事です。大陸の動乱に巻き込まれたり、隣の暴君にひどい目にあわされたことは一切なしです。儒教や、科挙制度や、共通点がたくさんあって、中華は心の友である!くらいのノリです。全体の4分の1程度です。あっという間に終了です。この比率がチュチェ学校ととっても似てます。
3.朝鮮社会の変化と西欧列強の侵略的接近 Page 90
4.東アジアの変化と朝鮮の近代改革運動 Page 120
5.近代国家樹立運動と日本帝国主義の侵略 Page 158
6.日帝の植民地支配と民族運動の展開 Page 210
7.全体主義の台頭と民族運動の発展 Page 258
8.冷戦体制と大韓民国政府の樹立 Page 296
9.大韓民国の発展と国際情勢の変化 Page 338
大部分を占めるのが、3章から9章の近現代史にあたる部分です。朝鮮学校の教科書もだいたいこんな感じの比率です。要は主席様の誕生がすべての始まり、ということですね。
3章があまりにもありえなかったので、フローでまとめてみました。文字びっしりでやだなぁ~と思った方は赤字だけでも見てみてください。興味が出てくると思います。
3.朝鮮社会の変化と西欧列強の侵略的接近
資本主義の発達⇒白人が資本を独占⇒帝国主義が始まる⇒植民地支配開始⇒(植民地支配=帝国主義=資本主義=悪!!という印象操作)
⇒帝国主義にアジア・アフリカの世界人民が立ち上がり、近代化をはかる
⇒近代化には二つの道がある⇒
1.中国の洋務運動のように、固有の制度や文化を維持しながら両洋の技術を受け入れる(我々はこっちだぞ、こっちの方がいいだろ?という印象操作)
2.日本の明治維新のように、西洋の政治制度や文化を積極的に受け入れる
⇒日本の明治維新は、中央集権的近代的国家の建設と資本主義産業化(こっから帝国主義になるんだぞー!という布石)
⇒朝鮮では農業が発達し通貨経済が普及
⇒市場も発達し、中国、日本との貿易も活発
⇒金がたまった中産階級が両班身分を買う
⇒没落して両班から常民になる人も増えた
⇒それを見て民衆が身分差別に反対する運動を展開(堂々と大嘘を言い切るのが朝鮮学校の教科書と一緒)
⇒1860年に東学が流行る
⇒東学が人間の尊厳と平等を打ち出し、社会変革理論が取り入れられた(マジ初耳)
⇒庶民文化が発展してハングルが普及(日帝時代の前からハングルが普及してたと捏造開始)
⇒実学者が西洋科学も取り入れた学問を発展
⇒土地改革をして農村社会の安定を提唱(え?共産主義??)
⇒内乱勃発で農村困窮
⇒両班支配層は無策
⇒農民が暴れる
⇒支配層が弾圧(政府は悪い奴という印象操作)
⇒悪政でさらに農民が困窮
⇒租税が隣近所に及ぶため逃げられない(人民は団結して弾圧に耐えたという神話作りか?)
⇒西洋列強がやってくる
⇒執権層に危機感が広がる
⇒社会改革を断行すべし
⇒大院君が改革断行
⇒党派に関わらず広く人を登用(ほんとか?)
⇒両班と地方土豪が隠していた土地を没収(なんとすでに始まっていた共産主義のやり口)
⇒貧農救済の還穀という制度を社倉制に改革
⇒それを地方有力者に任せる(おぉ、、、人民公社)
⇒国家財政は安定、税負担も減る、不正も減る、農村社会は安定(社会主義最高!という印象操作)
⇒大院君は改革の成功には王室の威厳が必要と判断
⇒宮殿や色んな政府施設や城を再建
⇒王室の権威回復を願った人民が積極的に呼応(どうしよう、金日成主席様が死んだ後のことみたい)
⇒しかし、大規模な土木工事に莫大な費用と人力がかかり状況が変わっていった
⇒負担が大きくなり経済が混乱
⇒両班や民衆の間に怨嗟の声が広がる(これから苦難の行軍が始まるんですね、分かります)
⇒(探求活動という最後のまとめ的なところに書いてある大院君の描写に注目したい)
⇒大院君は土地調査を実施して隠結と地方土豪の脱税を摘発。常民だけが負担していた軍布制度も直す。中間で横領していた地方役人を摘発。暗行御史を八道に派遣。民を苦しめる士族は処罰して財産を没収。地方の土豪は息をひそめ、悪事を働けなくなる。国民は勇気を得て大院君を称賛する声が地を揺さぶる(マジ主席様そのもの)
⇒ロシア南下を防ぐためフランスを利用
⇒カトリックは1801年から信者を増やしていた
⇒しかし、性理学的な秩序から外れるカトリックを認めるのは政治的にきつかった(キリストはNO!という主張)
⇒通商修交に反対する世論は支配層を中心に強くなった
⇒北京陥落でさらに要求が強くなる
⇒フランスとの交渉もうまくいかなかったので、朝鮮政府は1866年の春、西洋の通商要求を拒否してカトリックを大々的に弾圧(なんてことを!!と思わせて、ここからが印象操作の神髄)
⇒フランスはこれを口実に7隻の軍艦と1000人の兵士を送る
⇒フランス軍は「朝鮮が宣教師9人を虐殺したため朝鮮人9,000人を殺す」という強烈な「報復」姿勢を見せた
⇒しかし朝鮮軍の頑強な抵抗で撃退
⇒フランスは撤退時に多くの金・銀と外奎章閣に保管されていた書籍を略奪(米帝の孤立圧殺政策がー!と、己のことを棚にあげる北の暴君と全く一緒)
⇒お次はアメリカ登場(きっと米帝が何かやってくれると期待感を隠せない)
⇒アメリカは朝鮮との通商修交に最も積極的
⇒アメリカ商船が大同江を逆上してきて通商を要求
⇒西洋の船舶の来航と通商要求は国法違反なので拒否
⇒でも食糧と燃料は提供したよ、えらいでしょ?
⇒アメリカは威嚇的に通商を要求
⇒役人を監禁
⇒銃をぶっぱなしながら上陸
⇒民家に押し入り略奪(見事期待に応えてくれた米帝に感動)
⇒怒った平壌の軍民が反撃して船を沈める(さすが我らが人民軍は最強)
⇒アメリカは賠償と通商条約の締結の軍隊派遣を決定
⇒でもフランスが共同派兵拒否で棚上げ
⇒当然アメリカはあきらめず、ドイツ商人オッペルトを全面に出して通商を要求
⇒中国駐在アメリカ公使から資金を出して支援
⇒拒否されたオッペルトは南延君の墓を暴こうとした(ファッ!?急な展開についていけない)
⇒フランス人の宣教師と朝鮮人カトリック信者の言葉に従い南延君の遺体をエサに要求を通そうとした(う、嘘くせぇ)
⇒地域住民の強い反発によって追い出される
⇒しつこく通商を要求するも拒否される
⇒盗掘事件は墓を神聖視する朝鮮人に大きな衝撃を与えた
⇒西洋人は蛮夷だという認識が広がる
⇒西洋列強の侵略に対する警戒心も高まる
⇒朝鮮政府はカトリックの弾圧と通商修交拒否政策をいっそう強化(お前らが悪いからカトリック弾圧して通商拒否すんだよと自己正当化)
⇒アメリカは軍艦5隻と兵士約1200名で侵略(さすが米帝、まだまだ圧殺してきます)
⇒色んなとこ砲撃される
⇒色んなとこ陥落する
⇒色んなとこ占領される
⇒激戦を繰り広げる
⇒頑張る人民軍
⇒断固たる通商拒否の意思を知ってアメリカ撤退
⇒アメリカとフランス撃退した我らが朝鮮軍民は偉大
⇒記念に斥和碑をたてよう
⇒西洋と通商修交は絶対しないと誓う(主席様列伝とドンかぶりで笑う)
これが韓国で使われている教科書6冊中の1冊です。現場の教師が執筆、というのが恐ろしい点です。どんだけ「この教科書使え」と政府が指定しても、現場で反抗されたらこの教科書のコピー配って授業したりするはずです。なにせ「今日のために今日を生きるのではなく、明日のための今日を生きよう」という金日成の格言を教室に掲げていた教師がいるくらいです。それが2012年です。いや本当に、衝撃です。震えますね。
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