非常にくどくどしい韓国の憲法前文

軍人上がりで長年朝鮮日報記者を務めたザ・保守系言論人と言える李度珩(イ・ドヒョン)氏の著書『韓国は消滅への道にある』に韓国の憲法前文への苦言があり、面白かったので紹介しておきます。

自国民にしか通じない「三・一」とか「四・一九」とかの日時の数字がくどくどしく羅列されていて「不義」という字句が多い、他の国では普遍的な「自由とか平和、または民主」ということが高らかに謳われているのに、「普遍的な客観性を欠いた自国民だけに通じる偏狭で主観的な表現ばかりが目立つ」と的確な指摘をしておられます。

 

憲法にも記載されている四・一九学生デモ

大韓民国の憲法前文には、「・・・四・一九民主理念を継承し・・・」とのくだりがある。四・一九とは一九六〇年四月十九日、李承晩大統領の四選のため政府が不正選挙を行なったことに激憤した学生デモ隊が大統領官邸にまで押しかけて、李大統領をして下野を余儀なくさせてしまった事件をさす。韓国では「東学革命」に次ぐ「四・一九革命」とも呼ばれている。しかし、私は個人的にこれも一種の「乱」であって、革命とまでは評価すべきではないと考えている。

なぜならば、革命というものは政治制度を本質的に変革させるとか、王政が共和制に変わるとかでなければ、その言葉本来の意味にならないからである。四・一九学生デモは、権力者をその席から引きずり下ろしたけれども、根本的な政治理念や制度を変えたわけではない。革命といえば、王政を共和制に変えた一七八九年のフランス革命を抜きにしては語れない。しかし、フランスの憲法前文には、革命に関して一言も謳われていない。その代わりに自由、平等、博愛が強調されている。

韓国の憲法前文をもう少し見てみよう。ちなみに、現行憲法は一九八七年のいわゆる「民主化宣言」による第九回目の改正憲法である。

悠久なる歴史と伝統に輝く我等大韓国民は三・一運動によって建立された大韓民国臨時政府の法統と、不義に抗拒する四・一九民主理念を継承し祖国の民主改革と平和的統一の使命に立脚、正義・人道と同胞愛を以て民族の団結を鞏固にし、あらゆる社会的弊習と不義を打破……」

いかにもくどくどしい拙文が延々と続く。どこの国の憲法前文にも見られない三・一とか四・一九とかの日時の数字が羅列されているのもさることながら、「不義」という字句が多く見られる。民主国家の憲法には、おおむね自由とか平和、または民主という字句が見られるものである。それに対して我が韓国の憲法は、「悠久なる歴史」とか、「三・一運動」「四・一九民主理念の継承」など、普遍的な客観性を欠いた自国民だけに通じる偏狭で主観的な表現ばかりが目立つ。

韓国は消滅への道にある』P119-121

言われてみれば確かにそうですね。

だいたい日本側の「反日的だ」で片づけてしまいがちですが、そういうバイアスを除外して客観的に読んでみれば、確かにくどいですし、自国民にしか通じない事件を日付付きで憲法に明記するのは世界的にみて違和感があります。

「不義に抗拒」「正義・人道と同胞愛」「あらゆる社会的弊習と不義を打破」とうフレーズも「正義を執行すべし!」という原理主義的な感じが出ていてちょっと怖い。

著書のご指摘どおり、普通の民主国家は自由とか民主とか平和とか人道とか、お奇麗なお題目を高らかに謳いあげるもんです。

「普遍的な客観性を欠いた自国民だけに通じる偏狭で主観的な表現ばかりが目立つ」と批判したくなるのも当然かもしれません。

普遍的な、誰も否定しがたい文言で、ふわっとした感じで書いた方が、無駄にもめない気がしますね。

あまりに具体的だと、木を見て森を見ず的な、こまかいこだわりの議論が噴出して無駄にもめるだけ。建国大統領の李承晩と、韓国の土台を築いたと言える朴正熙大統領を評価している保守派からしたら、この二人をこき下ろしたい、否定したいという悪意にあふれる憲法前文には納得がいかないでしょう。

そういう過去の政争の結果が、思いっきり憲法に表面化しているのが韓国憲法の最大の問題な気がします。

まぁある意味、脈々と受け継がれている政争・党争の歴史を継承していると言えるかもしれません(笑)

文大統領は、光州事態5.18や、朴槿恵を弾劾したロウソクデモを憲法に入れようと画策するでしょう。

またもめますね。

特に、光州事態5.18はねじ込める可能性大です。映画でせっせと啓蒙活動してますしね。

ロウソクデモも国会で弾劾訴追の可決した日をつけて、「ロウソク革命12.9」なんてフレーズで神格化が始まりそうです。

文大統領の任期中には我田引水過ぎるので憲法には入れれないでしょうが、次の大統領が左派政権から出れば、「ロウソク革命12.9」を憲法前文に入れよう!という運動も始まるかもしれません。

またもめますね。

イデオロギー闘争・政争・党争の勝敗がもろに出てくる韓国の憲法前文。

いい加減、疲れないのかな?と不思議で仕方ないですわ。