毒だらけの『板門店 南北共同宣言』

笑顔で握手を交わす文在寅大統領と金正恩。「平和」を最優先課題に掲げ、「人権・自由・民主」といった価値観は全部無視。これが韓国民主化闘士たちの成れの果てです。

色んなところで肯定的に評価されている「4.27 板門店宣言」ですが、内容を見ると今後韓国にとって困ったことになる毒が至る所に紛れ込んでいます。

金正恩を対話の場に引き出したことは文大統領の功績でしょうが、こんな調子の交渉では先が思いやられます。

共同宣言の中から気になるところと、その結果どういった困ったことが発生するかを列挙してみます。

 

朝鮮半島の平和と繁栄、統一のための板門店宣言

【平壌4月28日発朝鮮中央通信】最高指導者金正恩国務委員長が文在寅大統領と共に27日に署名した「朝鮮半島の平和と繁栄、統一のための板門店宣言」の全文は、次の通り。

朝鮮民主主義人民共和国の金正恩国務委員長と大韓民国の文在寅大統領は、平和と繁栄、統一を念願する全同胞の一様な志向を込めて朝鮮半島で歴史的な転換が起きている意義深い時期に、2018年4月27日、板門店の「平和の家」で北南首脳の会談を行った。

北南の両首脳は、朝鮮半島にこれ以上戦争は起こらないし、新しい平和の時代が開かれたということを8千万のわが同胞と全世界に厳かに闡明(せんめい)した。

北南の両首脳は、冷戦の所産である長い分断と対決を一日も早く終息させ、民族の和解と平和・繁栄の新しい時代を果敢に開いていき、北南関係をより積極的に改善し、発展させていかなければならないという確固たる意志を込めて歴史の地、板門店で、次のように宣言した。

1.北と南は、北南関係の全面的で画期的な改善と発展を成し遂げることによって、断ち切られた民族の血脈をつなぎ共同繁栄と自主統一の未来を早めていく。

北南関係を改善し、発展させるのは全同胞の一様な所望であり、これ以上先送りすることのできない時代の差し迫った要求である。

北と南は、わが民族の運命はわれわれ自らが決定するという民族自主の原則を確認し、すでに採択された両北南宣言と全ての合意を徹底的に履行することによって、関係の改善と発展の転換的局面を開いていくことにした。

全体を通して、もはや北の浸透工作ツールでしかない「民族」がえらく強調されます。日米と中国は口出すな、南北で全部決める、という意味でしょうね。遠回しに米軍は出ていけということでしょう。

それにしても自分たちを金日成民族と称している相手と、なぜ同じ民族だと思えるのか謎です。むしろ同族である朝鮮民族を民族浄化した相手のはずなのに、不思議なもんです。

誰か記者会見の時にでも「韓国政府は、韓国人は金日成民族と同族同胞だとお考えでしょうか?」聞いてみてほしいものです。

② 北と南は、高位級会談をはじめ、各分野の対話と協商を早い時日内に開催して首脳会談で合意した問題を実践に移すための積極的な対策を講じていくことにした。

北と南は、当局間の協議を緊密にし、民間の交流と協力を円滑に保障するために、双方当局者が常駐する北南共同連絡事務所を開城地域に設置することにした。

④ 北と南は、民族の和解と団結の雰囲気を高調させていくために、各階層の多面的な協力と交流、往来と接触を活性化することにした。

②~④は一概に悪いとは言えません。しかし、韓国が相当しっかり交渉しないといいように金だけ取られるだけになるでしょう。

本気で北への「関与」を増やして北朝鮮を内部から変え、「普通の国」へと誘導するつもりなのであれば、”北朝鮮から”韓国へ訪問する人を増やすよう交渉するべきでしょう。

もしそれをしないようなら、ただの金づるとなるだけで、北朝鮮を変えることはまず無理です。(参考:こうすれば韓国の”平和攻勢”がうまくいく

内では6・15をはじめ北と南に共に意義のある日々を契機に当局と議会、政党、地方自治団体、民間団体など、各階層が参加する民族共同行事を積極的に推し進めて和解と協力の雰囲気を高調させ、外では2018年アジア競技大会をはじめ国際競技に共同で進出して民族の英知と才能、団結した姿を全世界に誇示することにした。

大変危険な匂いがしますね。

「南北ともに意義のある日」

おそらく日本の敗戦(=韓国の独立)や、いろんな反日行事をせっせと一緒にやることでしょう。

個人的には、3.1独立運動や8.15光復節くらいは、まぁしょうがないかな~と思えますが、おそらく今ホットな徴用工問題や、慰安婦問題、そういったことにも南北協力が大変熱心に取り組まれると思われます。

安重根義士といった、抗日烈士たちの合同行事もこれでもかとやると思います。

済州四・三事件も統一を願った無辜の民衆たちを神格化すべく、南北協力が推進されるでしょう。

光州事件も南北でイベントをやりそうです。

韓国左派の皆さんは大喜びして、LOVE北朝鮮旋風が巻き起こりそうです。

日本の朝鮮学校コミュニティも積極的に連帯すること間違いなし。神戸教育闘争も南北の市民団体の代表団が派遣されて大いに盛り上げてくれそうです。

「歴史見直し」という名のもとに、金大中を支援したことを評価され、朝鮮総連や韓統連などの従北団体が、反国家団体から同族同胞の素晴らしい民族団体へと格上げされるかもしれません。

そして、脱北者問題や、帰還事業で北送され、収容所で殺された在日一世・二世たちはきれいさっぱり忘れ去られることでしょう。

共通の敵がいると体制が違っても短期的に味方になれます。かつての米ソのように。

南北融和を推進するために、日本を共通の敵にしてせっせと南北共同で反日イベントをやりまくって、日本の嫌韓感情を煽りまくってくれそうです。

いくとこまでいけば、めでたく北朝鮮の戦略目標である日韓断交が達成されることでしょう。

⑤ 北と南は、民族分裂によって生じた人道的問題を早急に解決するために努力し、北南赤十字会談を開催して離散家族・親せきの面会をはじめ、諸般の問題を協議、解決していくことにした。

差し当たり、来る8・15を契機に離散家族・親せきの面会を行うことにした

8.15光復節(=日本の敗戦)に離散家族の面会行事をやるそうです。

南北分断や離散家族が生まれたのは日本にも原因がある、という説が乱れ飛ぶこと間違いなしですね。

どう考えても金日成が南侵したのが分断や離散家族発生の原因なのに、すべての罪を日本に擦り付けて、北の罪を矮小化し、南北融和を推し進める心づもりでしょう。

いまからそんな姿が容易に想像できます。

⑥ 北と南は、民族経済の均衡的発展と共同繁栄を成し遂げるために10・4宣言で合意した事業を積極的に推し進め、1次的に東・西海線の鉄道と道路を連結し、近代化して活用するための実践的対策を取っていくことにした

この手の共同開発について、韓国はあくまで非核化が実現されない限り進められない、と言っています。ですが、経済支援をしたくてしたくてたまらないという姿勢を隠そうともしない文政権がどこまで「CVID(検証可能な非核化)まで最大限の圧力を維持する」という合意を守れるか疑問です。

むしろ、米国に対して通商上の国益を売り渡してでも、米国を一生懸命説得して鉄道連結事業や人道支援を推し進めそうです。

米国にはぜひ突っぱねてほしいですが、その結果韓国の反米感情が燃え上がるかもしれません(北朝鮮は間違いなく扇動する)。

きっとネット上では、米国と日本は分断しててほしいんだ、とか、統一して大国化させたくないんだとか、反米・反日感情を扇動するような匿名の色んなSNSコメントが乱舞することでしょう。

世論を動かせれば、政治家を動かせますから。

非核化を実現するまで圧力は維持する!裏切るなよ!!と韓国に圧力をかける米国に対して、あの手この手で韓国国民の対米感情を悪化させるような情報工作をしかけてくるでしょう。

そして、見事に踊らされる姿が目に浮かびます。

何せちょっろ笑顔で抱き合って、過去にもさんざんやったような共同宣言を出しただけで、ここまで対北朝鮮感情が改善するわけですから。

2.北と南は朝鮮半島で先鋭な軍事的緊張状態を緩和し、戦争の危険を実質的に解消するために共同で努力していく。

朝鮮半島の軍事的緊張状態を緩和して戦争の危険を解消するのは、民族の運命に関わる非常に重大な問題であり、わが同胞の平和で安定した生を保障するためのかなめの問題である。

北と南は、地上と海上、空中をはじめ、全ての空間で軍事的緊張と衝突の根源となる相手に対する一切の敵対行為を全面中止することにした。

差し当たり、5月1日から軍事境界線一帯で拡声器放送とビラ散布をはじめ、全ての敵対行為を中止してその手段を撤廃し、今後、非武装地帯を実質的な平和地帯につくっていくことにした。

さぁここが問題です。

「地上と海上、空中をはじめ、全ての空間で軍事的緊張と衝突の根源となる相手に対する一切の敵対行為を全面中止する」と言っていますが、米韓合同軍事演習はどのような扱いになるのでしょう?

どう考えても北朝鮮にとっては敵対的な行為です。

まさか韓国は米韓合同軍事演習をやめるのでしょうか?

やめなければ共同宣言違反でしょう。

北朝鮮は韓米合同軍事演習について「理解する」と容認しているという専門家もいますが、そんなもんはいつでも手のひらかえせます。

理解したのも4月の訓練だけです。

次はどうすんの?って話ですよ。

論理的にはどっからどう読んでも、韓米軍事演習は宣言に違反することになります。文在寅大統領はどういうつもりでこの宣言に合意したのでしょうか?

もちろんこれを逆手にとってソウルを射程に収めた長射砲群を撤去しろなど言えますが、文政権がそんな交渉をしてくれるとも思えません。

韓米軍事演習をするたびに、北朝鮮から共同宣言違反を責められ、「平和定着の流れを止めないために」という理由で韓米軍事演習は取りやめられる可能性が大です。

最初は延期・縮小という言い訳が多用されるでしょうが、そのうち演習自体が行われなくなるでしょう。

韓国国民も一部の保守派を除いて、「平和定着」のために演習停止を容認するでしょう。

② 北と南は、西海の「北方限界線」一帯を平和水域につくって偶発的な軍事的衝突を防止し、安全な漁労活動を保障するための実際の対策を講じていくことにした。

中国のように不法漁民を派遣して韓国を困らせるかもしれませんね。

③ 北と南は、相互協力と交流、往来と接触が活性化されることに伴う各種の軍事的保障対策を講じることにした。

北と南は、双方間に提起される軍事的問題を遅滞なく協議、解決するために人民武力相会談をはじめとする軍事当局者会談を頻りに開催し、5月中にまず将官級軍事会談を開くことにした。

これは良いことだと思います。

ただ北朝鮮側が、芸術的な解釈で韓国を困らせてきそうな文言だな~という気はします。

「相互協力と交流、往来と接触を活性化」させるための「各種の軍事的保障対策」って何なんでしょう?

具体的にどういうことをやるつもりなのか気になります。

3.北と南は、朝鮮半島の恒久的で強固な平和体制の構築のために積極的に協力していく。

朝鮮半島で不正常な現在の停戦状態を終息させ、確固たる平和体制を樹立するのはこれ以上、先送りすることのできない歴史的課題である。

北と南は、いかなる形態の武力も互いに使用しないという不可侵合意を再確認し、厳格に順守していくことにした。

ここ2,30年で、色んな形態の武力を使いまくってるのは北朝鮮だと思うのですが、まぁこれはこういう言い方をして花を持たせているのでしょう。

この宣言で北朝鮮がサイバー攻撃や浸透工作をやめてくれれば良いですが、やめないでしょうね。

仮に、韓国の国情院が北のスパイを捕まえたり、サイバー攻撃の証拠を押さえたりしても、北を忖度して文政権がこっそり闇に葬りそうです。

② 北と南は、軍事的緊張が解消され、互いの軍事的信頼が実質的に構築されるにつれて段階的に軍縮を実現していくことにした。

きっと相手に信頼してもらうために、まず韓国から先に軍縮しよう!と言い出すことでしょう。

ソウルを射程に収めた砲台群の撤去くらいは要求してほしいものです。

③ 北と南は、停戦協定締結65年になる今年に終戦を宣言して停戦協定を平和協定に転換し、恒久的で強固な平和体制構築のための北・南・米の3者、または北・南・中・米の4者会談の開催を積極的に推し進めていくことにした。

4カ国による終戦宣言は実現しそうな気がしてます。

で、終戦宣言したけどなんも変わらないんだけど?となるのがオチかもしれません。

いや、変わらないどころは合同軍事演習は延期・縮小され、在韓米軍は南下するか、縮小・撤退へと向かうこと間違いなしです。

北と南は、完全な非核化を通じて核なき朝鮮半島を実現するという共同の目標を確認した

北と南は、北側が取っている主動的な措置が朝鮮半島の非核化のためにとても有意義で、重大な措置であることに認識を同じくし、今後、それぞれ自分の責任と役割を果たすことにした。

北と南は、朝鮮半島の非核化を目指す国際社会の支持と協力のために積極的に努力していくことにした。

色んな識者が様々な解釈を付け加えている文言です。

半島の非核化となると、米軍が韓国に核兵器を持ち込まない、ということも当然議題にあげられるでしょう。

韓国はのんきに「核を持ち込ませないという条約に調印するから安心してほしい」と言えばそれで済むと思っていそうですが、北朝鮮側からしたら信用できないと言ってくるに決まってます。

「韓米同盟が堅持され、いつでも米軍空母や戦闘機が韓国にやってくる状態で、核を持ち込ませないと言われても信用できませんよ」と北朝鮮は言ってくるでしょう。

私が北朝鮮なら確実にそう言いますし、その主張は正論です。

はっきりは言わなくとも、不安だ不安だと困った態度を示せば、文政権は忖度して色んなことをしてくれることでしょう。

「北朝鮮の信頼を得るため」に、空母や潜水艦の寄港や、爆撃機や輸送機の離発着を禁止するとか言い出しそうです。

仮に韓国国民が平和定着のために、韓米同盟は撤廃しても良いんじゃない?と一時期そんな方向に流れでもしたら、チャンス到来とばかりに文政権は電光石火で韓米同盟破棄を実現しそうです。

もし保守政権なら一時韓国国民がトチ狂って「韓米同盟破棄」に流れても、軽々に判断して良い問題ではないと自省を促して、韓国国民が正気に戻る時間を稼いでくれます。

が、左派政権にそんな理性があるとは思えません。またまたロウソク民心がどうとか言って、素晴らしい勢いで韓米同盟破棄へと突っ走ってくれること間違いなしです。

北南の両首脳は、定期的な会談と直通電話を通じて民族の重大事を随時真摯に論議して信頼を強固にし、北南関係の持続的な発展と朝鮮半島の平和と繁栄、統一に向かう良好な流れをさらに拡大していくために共に努力していくことにした。

差し当たり、文在寅大統領は今年の秋に平壌を訪問することにした

秋までは軍事攻撃される可能性は低下しました。

これからも、何かしらイベントごとがあるたびに、必ず次の予定を入れてくるでしょう。こういうイベントごとを常に入れておけば、米軍も攻撃はしづらくなります。問題があっても、今度誰それが会うからそのときに交渉しよう、となりますから。

まぁ束の間の平和は享受できるかもしれません。

北韓住民を金一族に奴隷として売り払って得られる平和です。

平和と戦争回避のためなら、他人の自由と人権を平気で踏みにじれるのが韓国リベラルの姿です。

それが韓国政府の責務だと言われればそれまでですが、民族を強調するなら北韓同胞の境遇に心を痛めて同情すべきじゃないの?といつも思います。

70年前の日帝の蛮行や、親日清算を糾弾しても北の人権蹂躙にはダンマリ。

これが人権を看板に活動する韓国の市民団体の姿ですよ。情けないと思わないんでしょうかね?

徴用工像や慰安婦少女像を作る暇があるなら、北の政治犯収容者像や、脱北少女像でも作って人権侵害問題の是正を北朝鮮政府に要求しろ!と韓国政府を突き上げてほしいものです。

そういう国民的な運動が起きない限り、北の朝鮮人奴隷支配体制は延々に終わらないでしょう。

あと気になるのは、この南北融和ムードの間に来る脱北者たちの扱いです。

金正恩が犯罪者だから返せと言ったら送還するのでしょうか?

さすがにそこまで狂ってないと思いたいですが、盧武鉉時代には即座に送還してますから、文在寅大統領も同じことをやりそうです。

少なくとも南北融和に水を差すような発言はするなと脱北者に陰に陽に圧力はかけてくるでしょう。

自分たちが朴正煕や全斗煥時代に、外国政府が体制を保障すると言って韓国の軍事独裁政権を経済的に支援し、韓国の人権状況を無視したら激怒するはずなのに、それと同じことを北朝鮮相手に平気でやる。

韓国で民主化を勝ち取った過去の歴史に自ら泥を塗るような真似はやめてほしいものです。ま、しょせん民主化闘士なんて大嘘だったということなのでしょう。

だいたい本物の独裁政権なら民主化運動なんてできませんからね。本物の独裁政権下ではあっという間に公開銃殺で黙らされ、家族丸ごと収容所送りにされますから。

本物の独裁の前には、借りてきた猫のように大人しくなるのが日韓リベラルの困った特徴ですね。いい加減、改めてほしいものです。

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