世界中でポピュリスト右翼が台頭しているとメディアは報じています。
右翼がろくでもねぇのはその通りですが、国民の支持を一定数受けている政党を極右呼ばわりするのはいただけません。そのような姿勢では実態を見誤り、己の不見識が露呈して恥をかくだけです。
ポーランドのいわゆる極右政権についての記事があったので紹介しておきます。
なぜ国民から支持を得て盤石な政権運営ができているのかが良く分かります。

ニューズウィーク日本語版 2018/8/7号 P31
記事では、「メディアを締め付け、裁判所の権限を弱め、移民を攻撃し、ユダヤ人やイスラム教徒らマイノリティーに対するヘイトスピーチを扇動」するような政権が、なぜ支持されるのか?という根本的な疑問を問いかけています。
そこで一例と出されているのが、ポーランドのPiS(法と正義)が採用した子供手当です。
子供手当を出したら支持率あがった、だから日本もやろう、という短絡思考的なことを言いたいのではなりません。
注目すべきは、子供手当によって「経済が活性化」したことです。
「ファミリー500+」という政策名で、第2子以降は子供一人につき毎月500ズロチ(約1万5000円)を支給。これはポーランドの最低賃金の約40%に相当する額で、この結果子供の極度の貧困が70%~80%減とほぼ一掃されました。
で、ここからが問題。
この政策に、「バラマキ的な家族手当は労働意欲をそぎ、政府予算を膨れあがらせる」と、リベラル・親欧派の政治家や政策立案者といったエリートたちが批判しました。
しかし、その効果を見る限り、この「ファミリー500+」は経済を活性化し、結果として財政赤字も着実に減らしているとのことです。
「ファミリー500+」実施1年目には貧困世帯が手当のほぼ全額を消費財の購入に充てたため、大きな景気浮揚効果を生み出し、ある靴製造販売企業の売り上げは44%増加、家族向けツアーの売り上げも14%増、親たちは高価な制服代をローンで払わずに済み(利子負担軽減)、低賃金の仕事をやめる女性が増え、店員などの給与は跳ね上がる。
ポーランド国民の多くはようやく庶民のために働く政府を目にして、皮肉なことにリベラル派は、「それは非民主的だと愚痴をこぼす」くらいしかできない体たらく。
これぞリベラルのダメなところ。
政治家の経済オンチは最大級の大罪です。
これではリベラル政党が没落するのも当然。
この構図は日本でも同じです。
日本国民の大半は「右翼の安倍」を支持していません。「経済の安倍」を支持しているわけです。
若い層ほど安倍自民支持なのは、若年雇用が絶好調だからです。
野党はそれを分かっていない。分かっていないから反省しないし、改善もない。
経済政策で対抗できないから安易に「極右」レッテル張りで相手をこき下ろすことに終始し、こき下ろしキャンペーンで政権の支持率が落ちても、それ以上に野党支持率も落ちるという本末転倒な結果になる。
こういうダメなところは世界共通だな、とポーランドの事例でよくわかります。
この記事では最後にこう締めくくっています。
リベラル・民主派はポーランドやハンガリーなどヨーロッパの、そして世界の民主主義の行方を案じるなら、国家の優先課題を推進し、貧困層に配慮し、家族を支援する社会国家というナショナリスト右派のビジョンを多くの有権者が支持している現実を認めるべきだ。外国人嫌いの姿勢には学べなくても、庶民受けする政策について学ぶことはきっとある。
ぜひこういう姿勢を日本の野党にも身に着けてほしいものです。
日本共産党のように「全員正社員にしろ!非正規が増えた!!」とポイントのずれまくったことを主張しているようでは話になりません。
既得権と化した「正規社員」の「特権階級クラブ」である労働組合から支持されても、その他大勢の自営業・非正規社員・パートタイム社員から総スカンされていることからもそのことがよく分かります。
自民党の支持者なんて自営業や農家、零細中小企業のオーナーといった人たちですよ。
野党はよく安倍自民を弱者切り捨てだとレッテル張りをしようとしますが、野党の主張するような政策を実行する方がよほど弱者切り捨てにつながります。
今の文在寅政権みたいになること間違いなし。
日本の野党やリベラルを名乗る方々には、「世界中で排外主義とポピュリズムが蔓延してる~!」と嘆くのではなく、なぜ支持されてるのかを色眼鏡を外して学び、取り入れるべきところは取り入れてほしいですね。
それをやれなければリベラルの復権は未来永劫訪れないでしょう。
ま、私はそもそも安倍政権自体が結構リベラルと思ってますが。