リベラル教の異端審問にかけられたハンガリー

EU議会で、ハンガリーへの議決権停止に向けた制裁手続きが可決された模様です。

ポーランドの反対はほぼ確実ですから、実際に議決権が停止されることはないのでしょうが、EU議会の悪者をつるし上げて悦に浸る姿はちょっと怖いなと思わされました。

かつてのキリスト教の異端審問に見えます。

 

そもそも自由と民主主義を掲げているくせに、圧倒的多数で今のハンガリー首相が選出されていることは完全無視です。

開票率99%の段階の選管発表によると、国会(一院制、定数199)でフィデスと連立相手のキリスト教民主国民党の議席数は計134となって3分の2を超え、前回と同水準となった。オルバン政権は幅広い人気を維持して2010年から連続3期目に入る。

ハンガリー総選挙、与党が圧勝 反移民、反EU訴え支持 朝日新聞

選挙の内訳もこれまた凄くて、左派の凋落がえらいことになってます。

選挙結果

投票は現地時間の午後7時に締め切られたものの、いくつかの投票所では長い行列のため、投票が延長された。投票率は69%と史上最高水準で、これがオルバン首相に不利になるとの見方もあった。

しかし第2党となった極右ヨッビクの得票率は20%、第3党の社会党は12%にとどまった。左派の新しい政治の形は7%だった。

ハンガリー総選挙 反移民のオルバン首相が3期目へ BBC NEWS JAPAN

第二党も右翼です。それも極右ですから。

第二党も併せたら90%が右派です。

来るとこまで来た感が凄い。

EU各国のメディアでもこのハンガリー首相つるし上げの件を報道しています。

ドイツでハンガリーにイエローカードが出た!と報道され、

フランスでは「平手打ちをくらわせた」と報道。

「最終兵器」を持ち出したとなかなか刺激的な内容です。

ハンガリー国民はさぞかしムカついたでしょうね。ハンガリーの報道を見てみたいです。

中国や韓国が「国際社会で安倍総理を歴史認識問題で平手打ち」なんて報道をしたら日本の右翼は当然キレるでしょう。

ハンガリーは右派政党に投票した人が9割です。

ハンガリーでの反EU気運はこれで大いに盛り上がること間違いなし。

EU議会で、悪者オルバンをつるし上げるEU議会の議員が「我々は正義の代弁者だ」と脳内麻薬がドバドバ出てそうなテンションでつるし上げをしていました。

ハンガリーが「自由」と「平等」を脅かしているとのこと。

EU議会の言う自由と平等は、難民割り当てを自由に押し付け、それを各国に平等に割り当てることなのでしょう。

だいたい難民だってハンガリーみたいな国に行きたがるわけもない。ハンガリー語なんてマニアックな言語を一生懸命勉強しても、将来性があるとも思えない。

難民はみんなドイツやフランス、社会福祉の充実した北欧諸国に行きたいんですよ。当たり前です。

それを難民の意思を無視して「平等」に割り当てるから、各国はそれを受け入れるべし、というのがEUの意思です。

そりゃキレるわ。

「え~、、、フランスやドイツに行けると思ったのに、、、」と嫌々来る難民を、なぜハンガリー国民の血税を使って手厚い保護をかけて面倒見なきゃいけないのか?

ダブリン規約の「難民はEUの中で最初に入った国で難民申請を出さなければならない」というルールもひどい話です。

そんなもんEUとの境界沿いの国が一番大変になるのは当然。陸続きでもなければ、ボートで渡れるくらいお互いの海岸が近くもないドイツやフランス、イギリスや北欧諸国が楽に決まってる。

そういう点を無視して、自分たちは高邁な理想を掲げて、ハンガリー国民の圧倒的支持を受けている首相をつるし上げて制裁を加える。

この「正義執行」には科学的に快楽を伴うことが証明されているようです。

名著をビシバシ出している橘玲氏の著書でこう書かれています。

「正義依存症」のひとびと

ネトウヨは白分たちの言動が「正義」だと確信している。ところで、正義とはそもそもなんだろうか。古来、あまたの思想家・哲学者がいろんなことを語ってきたが、現代の脳科学はこれを1行で定義する。

「正義は快楽である」。これだけだ。

復讐はもっとも純粋な正義の行使で、仇討ちの物語はあらゆる社会で古来語り伝えられてきた。脳の画像を撮影すると、復讐や報復を考えるときに活性化する部位は、快楽を感じる部位ときわめて近い。道徳的な不正を働いた者をバッシングすることは、セックスと同じような快楽をもたらすのだ。

ドーパミンはヘロインやコカインの中毒症状の原因となることで知られており、ラットは(ドーパミンを放出する)脳の報酬系に電気的な刺激を与える装置のボタンを餓死するまで押しつづける。

同様に道徳に反した者を罰すると、それを見ただけで脳からドーパミンが放出される。こうした傾向は男性にとくに顕著で、ネトウヨがアルコール依存症やギャンブル依存症、ドラッグ中毒と同じ、インターネット社会が生み出した病理現象=正義依存症であることを示している。

正義依存症はもちろんネトウヨだけではない。「反安倍」や「反原発」でえんえんと呪詛の言葉を書き連ねるのも同じだし、女性タレントの不倫から男性ミュージシャンの不倫を暴いた週刊誌まで、匿名の「正義」を振りかざす機会をさがしてネットを徘徊するのも同類だ。

朝日ぎらい よりよい世界のためのリベラル進化論 (朝日新書)P89-90

「正義は快楽である」

正義執行にはセックスと同じような快楽をもたらすそうです。

怖っ。

マジか。

だから高邁な理想と正義を掲げた権力がいくとこまで行って全体主義化するのかもしれません。

実験用ラットが「ドーパミンを放出する脳の報酬系に電気的な刺激を与える装置のボタンを餓死するまで押しつづける」のと同じ状態です。

集団自殺としか思えない全体主義体制構築が止まらなくなるのは、「正義執行」という快楽が出まくっているせいなのでしょう。

労働者から搾取する悪辣な資本家から資産を強奪して、貧民にばらまいて喜んでもらう。この「正義執行」による脳内麻薬ゲットが共産主義の推進力なのかと納得させられました。

それにしても、大多数のハンガリー国民が選んだ首相をつるし上げ、その結果「EUの掲げる理想を理解していないハンガリー国民はけしからん!」というハンガリー人ヘイトをやっていることに気付いていないのは問題です。

やっかいな難民問題を最前線の国に押し付けておいて、正義を掲げてEU議会でつるし上げ。

そりゃ分裂するわ。

難民の流入も減っていっているそうですが、大方の難民が言葉を覚えて職を見つけて自立するまでは、EUを分裂させるネタとして難民問題は尾を引きそうです。