ナショナルジオグラフィック『新 潜入!北朝鮮』より、これぞ個人崇拝式独裁国家の姿だとげんなりさせられるやりとりがあったので紹介。
全体主義国家を描いた小説『一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)』の世界がそのままこの世に存在することに驚きます。
失明して一番困ることは、「将軍様の顔が見えないこと」だそうです。
外国人向けに演出されているとはいえ、脊髄反射のようにこの答えが出てくることにゲンナリさせられます。
そして、この回答にごくごく素朴な疑問をぶつけます。
なぜそんなに金総書記の顔を見たいんですか?
笑うわ。
そりゃそう思うわな。
もちろん回答は用意されています。
将軍様のおかげで今生きていられる。だから失明して顔を見れなくなることが一番困る。常に肖像画に向かって感謝したいんだ。
その老女の答えに、周りが感動の涙を流す。
恐ろしいことに本気で言っているように見えます。
おそらく本気なのでしょう。本気でそう思い込むことが自分の命を守る最大の防御手段ですから。
潜入取材をしているナショナルジオグラフィック社のアメリカ人が、これまた素朴な疑問を疑問をぶつけます。
「金総書記が間違いを犯すことは?」
なんて不遜な質問を(笑)
通訳の人の反応がにぶく、しばらく間があいて、、、
「はい?」
よく聞き取れないようです(笑)
再度問う。
「間違うことはない?」「常に正しいと思うか?」
通訳「質問の意味が・・・」
(笑)
北朝鮮の通訳員は、「金総書記が間違うことはないのか?」という質問を訳すことができなかったようです。
脳が受け付けない模様。
通訳の案内員は「金総書記の権威を疑うなどありえない。だから質問の意味が分からなかったんだろう」との結論。
三角関数を知らない人間に、サイン・コサイン・タンジェントを訳せと言っても翻訳はできません。
それと同じです。
これぞ全体主義国家。
滑稽ですが笑うに笑えない、ぞっとする映像でした。