反米のために韓国を利用する左派 『日中韓はひとつになれない』より

●東アジアヘの敬意はあるか

ついでに付け加えておけば、前者の東アジア共同体反対論者の中には、かつて優れた地域研究者だった人が多いのである。東アジアの実態について並々ならぬ関心を持ちつづけ、文献やフィールドから具体的な知見を得、自分なりの東アジア像や東アジア認識を構築しようと努力し、しかも大きな成果を挙げた研究者の中にむしろ東アジア共同体反対論者が多いのである。

このことは私も地域研究者のはしくれとして痛いほどよくわかるメンタリティの変化だといえる。知れば知るほど、わかればわかるほど、叙述すれば叙述するほど、東アジアに対して幻滅し、危機感を感じ、相対化しようとし、そこから離脱しようとする、その心境はよくわかるのである。

むしろ東アジアにさしたる関心がなく、実態とは異なるイメージや錯視による東アジアのみを見、それを政治的なアンチ概念として(たとえば反米という目的のために)利用しようとする人びとのほうが、東アジアにプラスの価値を与える傾向が強いのである。

しかしこれはどうひいき目に見ても、東アジアに対する敬意をもった態度とはいえないはずだ。それはむしろ東アジアに対する蔑視ではないかと私なら問うだろう。あなたは本当に東アジアを知ろうとしているのか? それならどうして東アジアのことに、欧米に対する数分の一でも関心を払おうとしないのか。どうしてあなたは東アジアのことを知ったりそれについて語ったりするときに、英語だけを使おうとするのか? 英語という道具によって、本当に東アジアのことを知ったり、東アジアの人びとのことを理解できたりするとでも思っているのだろうか?

もしそう思っているのであれば、それは大いなる欺瞞である。

日中韓はひとつになれない (角川oneテーマ21)』 P165-166

韓国に宥和的な良心的知識人の最大の問題点でしょう。

韓国に宥和的に見えて、敬意を払っていない。

軍事独裁の朴正煕時代を暗黒時代だったと韓国左派の意見をそのまま垂れ流していることからもそのことが分かります。

学生運動をテコにした民主化も、漢江の軌跡も両方とも韓国の誇るべき歴史です。

そういう点を無視して朴正煕時代を全否定するようなリベラルたちが異様に多い。

そしてほぼ例外なく北朝鮮にえらく甘い。特にここが理解しがたい。韓国の軍事独裁には怒るのに北の軍事独裁にはダンマリとはどういうことなのか?

スパイ容疑で在日韓国人の学生が捕まった時にえらく熱心に活動していた人々がいますが、その人たちが同じだけの情熱で北朝鮮の収容所に入れられている帰国事業で北送された在日朝鮮人たちを釈放しろと叫ぶ姿をぜひ見てみたいものです。

慰安婦問題も同じ。

中国国内で人身売買され、文字通り性奴隷にされている脱北女性のために熱心に活動するような人は、慰安婦問題で活動している人たちの中からまず出てこない。

チマチョゴリを着て慰安婦問題を訴える人たちがやっていることは、北朝鮮の市民団体(そんなもの存在しないから国営団体)と共同声明を出して一緒に日本を糾弾し、南北統一の先鞭をつけたと自画自賛するような行為ばかり。

もちろん排外主義者や、「殺せ」などともはやヘイトスピーチどころかただの殺人脅迫でしかないロクデナシ右翼は問題でしょう。

それはそれ、これはこれです。

相手を対等に見て、間違っていたら間違っているとはっきり言う方があるべき隣人関係のはずです。

嫌いな右翼を叩くために利用できるなら仲良くし、そうじゃなければ無視。

無視するだけならともかく、右翼の味方をする相手には正しいことを言っていてもレイシスト呼ばわりして人格攻撃を加えて黙らせる。こういう真似はいい加減やめるべきでしょう。(まぁ右派にも同じことが言えますが)

まっとうなリベラルの人たちも、こういうロクデナシ極左は積極的に排除するよう行動してほしいと思います。

最後に、『日中韓はひとつになれない (角川oneテーマ21)』という本ですが、タイトルだけ見るとネトウヨ本だと思う人もいるかもしれませんが、そうではないです。

互いの違いを認めて対等に付き合おうという当たり前のことを言っているだけで「共同体」の「同」を「異」に置き換えて「東アジア共異体」という概念を主張している本です。

まぁ基本同意なのですが、韓国はともかく中国は厳しいでしょうね。

個人的には日韓台の3国で結束し、中国にはビジネスライクに付き合う方が良い(というかそれ以外できない)と思っています。

10年前の本ですから、中国の南シナ海のクレイジーな領海主張と島の埋め立て・尖閣諸島付近での無法・怒涛の軍拡、などなどそういった状況変化はまだ分からない時でした。

「東アジア共異体」という基本路線は同じでしょうが、大幅な調整は必要だろうと思います。

ある意味、日中関係改善を進める安倍政権が一番この路線を着実に進めているように思えます。日米関係を緊密にしつつ、沖縄の南西諸島や奄美大島に自衛隊を配備し、インドやオーストラリアとの連携を深め、その上で中国との関係改善に乗り出す。

素晴らしい外交です。

別に安倍信者ではないですが、経済も好調ですしかなり順調に思えます。

安倍政権を歴代最悪だと評する青木理氏のような人が本当に理解できない。どういう思考回路しているのか本当に謎です。

難しいかもしれませんが、中国の対外膨張を抑えつつ、それをうまくコントロールして「東アジア共異体」が実現できよう国際政治が動いてくれることを祈りたいと思います。