予言通りに進む対北朝鮮情勢『NHKスペシャル キム・ジョンウンの野望 第1集』より

4/15、21、22に『NHKスペシャル シリーズ 金正恩の野望』というドキュメンタリーが放送されました。

非常によくできた番組でした。

特に第一集の冒頭の入りがまさに今を予言していて驚きます。

 

「キム・ジョンウンは戦争をも辞さない狂気を持った人間だと思わせておいて」

「突然180度方向を変えて平和を実現したいと」

「一歩でてきたとしたらいったいどうなるか」

「世界はその深えんな戦略の渦に巻き込まれていくだろう」

まさに巻き込まれてますね。

叔父を高射砲でひき肉にして焼却処分にし、兄を暗殺し、政治犯収容所で自国民を虐殺し、サイバー空間で堂々と銀行強盗を行う。そんな人間であり集団である北朝鮮から平和を成し遂げましょうと呼びかけられて世界は大喜びしております。

連続殺人鬼が俺は人殺しなんか本当はしたくないんだ、みんなと仲良くしたいんだと言って握手を求めてきたら、普通は警戒するでしょう。

国家相手だとなぜか「平和」と「現実主義」という二大看板の前に、犯罪行為に目をつぶります。

「平和」のためには「自由と人権」は後回しでも良いということですね。

それが現実主義だと言われればその通りですが、そういう人たちには二度と人権がどうとかほざかないでくださいと言いたくなります。

核と人権問題の二つで交渉すべきなのになぜ後者は無視するのか?

核を放棄したところで、自国民の自由を奪い、徹底した思想教育を行い、政治犯収容所と密告と連座制で恐怖支配している体制が改善しない限り、国際社会の一員として仲良くできるわけがありません。

そんな相手と笑顔で握手をし、抱擁を交わすのが文在寅大統領です。

もうちょっとビジネスライクにやれば良いのに、大変暑苦しい友情友好の大アピールでゲンナリされられました。

金大中、盧武鉉に続いてこの絵面の写真が登場。遅くとも来年教科書に載りそうです。

熱く抱擁を交わし

プロジェクタマッピングで流される南北会談の映像をお手てをつないで笑顔で鑑賞。

恋人のように手をつなぐ金正恩と文在寅

文化の違いでしょうから、男同士で手をつなぐことを一方的に否定できませんがだいぶ気持ち悪い。

テレビ報道でも、「市民の反応は?」というインタビューに総じて肯定的な反応ばかりが紹介されます。

反対意見も取り上げてよさそうなのに、反対派は平和を邪魔する右翼の強硬派扱い。

メディアのバイアスもなかなかです。

「自由を!さもなくば死を!」と叫んで韓国の軍事政権と戦って民主化を達成した先人たちは嘆いていることでしょう。

文政権やその周辺の民主化闘士の経歴を持つ面々のやっていることは、韓国の軍事政権相手に「平和」を全面に出して握手し、スパイ容疑で収監されている韓国の若者を無視するような行為です。

仮に米国や日本がそんなことをやったら、これでもかと批判するはずなのに、北朝鮮相手だとそういう暴挙が当然かのように認められてしまいます。

そういうことを平気でやるのが現在政治権力を握る、かつて民主化闘争した人々の情けない姿です。

しょうがないと言えばしょうがないんでしょうが、平和と友好のフレーズになんて弱いんだろうとがっかりさせられます。

収容所・密告制・連座制と言った北朝鮮人民を奴隷化する恐怖システムを崩そうとする気概を持ったリベラルがなんと少ないことか。

まぁもちろん始まったばかりですから、まだ結論は出せないでしょう。

しかし、人権の”じ”の字も出ない交渉に何か意味があるのでしょうか?

「人権」と言っても高尚なものでもなんでもありません。

「自分に逆らったというだけで人を殺してはいけません」

これをお願いしているだけです。

こんな最低限のこともできない集団とどうやって平和を築くのでしょうか?

そんな相手との平和は、「北韓住民を奴隷支配することを容認する代わりに、こちらを威嚇することをやめてください」という隣人を奴隷として売り払って成し遂げられる「平和」でしょう。

「関与」を増やして北朝鮮を普通の国へ変えるという人もいますが、そんな主張は中国相手にもさんざん聞きました。

「経済成長すれば、中国は民主化するだろう」というよく聞くフレーズ。今は完全に否定されています。

北朝鮮も同じことになること間違いなしです。

北朝鮮が普通の国になるとすれば、住民が街頭に出て自由を叫び、銅像が引き倒され、朝鮮人を奴隷支配していた独裁者が朝鮮人の手によって追い出されれるか牢獄送りにされたときです。

国際社会による「北朝鮮の体制を認める」という意味は、普通の国になる道をふさぐことでしかありません。

今後の交渉で、北の人権蹂躙の停止や閉鎖性を崩す条件を入れることができるか?

非核化と経済援助だけしか語られないとすれば、北に抑留されている日本・韓国・米国の国民が帰ってきたとしても、朝鮮人奴隷支配体制を維持されることでしょう。

米朝会談や今後の南北会談でどれだけ脱北者問題などの人権問題に触れられるか。そしてその問題が改善されるまで経済制裁を継続できるか。

それが奴隷支配の継続を打破できるかどうかの分水嶺になると思います。

「平和、新たな始まり」というスローガンが「北韓住民奴隷売買契約書」にならないことを祈るばかりです。