金大中・盧武鉉・文在寅 三代続く南北共同宣言で得られたものはいつも一方通行

韓国の議員団が、10.4共同宣言を記念してお祝いのために大挙して訪朝中です。

「訪朝をエンジョイしてますけど、あんたらのすぐ隣で独裁統治に苦しむ同胞がいるんですよ?そっちはスルーですか?」と聞いてみたいものです。

まぁ交渉を継続させるにはそんなことも言えないでしょうが、無邪気にマスゲームや沿道に大量動員される人々を見て「素晴らしかった」とほざく無神経さはなんとかしてほしいものです。

さて、金大中大統領の6.15南北共同宣言、盧武鉉大統領の10.4南北首脳宣言、文在寅大統領の4.27板門店共同宣言と9.19平壌共同宣言と左派政権三代で繰り返し出される共同宣言、2000年6月15日の共同宣言から18年経つわけですが、大した進展はなく、成し遂げられたのは北朝鮮の核武装のみ。

いかに南北交渉が失敗してきたかがよく分かります。

長く続く対北朝鮮外交交渉ですが、反省点が米国と韓国では対照的です。

米国はオバマ時代の「戦略的忍耐」という「放置プレイ」を反省し、強力な圧力と経済制裁の徹底化が功を奏したと評価。二次制裁も厳格化して、中国企業にも被害が及ぶようにしたのは大きかったと言えます。

かわりに韓国は、金大中から始まる太陽政策が根本的に間違っていた、という反省ではなく、「信頼構築が不十分」で「もっと北朝鮮に歩み寄る(=譲歩)すべきだった」という考えのようです。厳密にいうと韓国左派の考えでしょうが、現政権要人の発言を聞く限り、そう思っていることは間違いなさそうです。

 

金大中・盧武鉉・文在寅と三代続く左派政権が南北共同宣言を出してきたわけですが、基本的に内容は似たり寄ったり。

出だしは「お互い挑発は控えて平和を定着させよう」「吸収統一は望まない」「お互いの国家体制を尊重する」という趣旨の宣言がトップに来る。

次はだいたい「統一について、これこれこういう方法で進めていきましょう」という内容。

金大中は連邦制で、盧武鉉は「お互い内部の問題には干渉せず」に和解と協力を進めましょうという相互非干渉。文在寅は平和と経済に力点を置いた平和共存・共利共栄。

もはや統一というスローガンはほぼ消えてます。

まぁその方が良いでしょう。現実的に不可能ですから。北朝鮮が自由・人権・民主主義という価値観を大事にしない限り統一など不可能です。

共同宣言もここまではまぁ別に文句はないのですが、このあとの内容がいつも問題になります。いや、問題になるというより「問題にならないことが問題」と言えます。

まず金大中時代の6.15南北共同宣言。「南と北は、今年の8.15の頃に、離れ離れになった家族、親戚の訪問団を交換し、非転向長期囚問題を解決するなど、人道的問題を早急に解決していくことにした」とあります。

日本に相談もなく、日本人を拉致した北朝鮮スパイの辛光洙(シン・グヮンス)も金大中があっさり釈放し、「非転向長期囚」として北朝鮮に返還されました。その後、北朝鮮では、英雄としてこの人の記念切手が販売される始末。

そんな英雄扱いされる人間を含め、韓国に抑留されていた非転向長期囚は解放され、北朝鮮へと返したわけです。ですが、北朝鮮に抑留されている朝鮮戦争時の韓国軍捕虜や、拉致された漁民などは一切解放されていません。

いつもこうです。

いつも一方通行。

信頼を得るために北朝鮮の要求を聞いて、その結果得られるものはなし。

拉北者(北朝鮮に拉致された韓国人)を奪還する運動も完全に黙殺・無視で、南北共同宣言で触れる「人道」は離散家族再会事業と、北朝鮮への支援のみ。

南北共同宣言のたびに、何かしら進展があるならともかく、まったく進展なし。ないどころか後退していっているようにしか見えません。

9月の平壌共同宣言で「民族経済を均衡的に発展させる」とありますが、これも金大中時代の6.15南北共同宣言に「南と北は経済協力を通じ、民族経済を均衡的に発展させ」とあり、これを継承しただけで変わりなし。

そしていつも必ず登場する「多様な分野の協力と交流を積極的に推進していく」という宣言。

いつも韓国から親北的な人たちが北朝鮮が指定した場所や、北朝鮮が企画したイベントに参加する形。

これまた一方通行。

いっつもこれです。

金剛山観光も結構ですが、「韓国から金を出すのでぜひソウル観光にいらしてください。各都市の人民委員会のトップを家族含めて招待します!」くらい言えないものか?

文化交流を名目にして、北朝鮮から外に出すという働きかけがいつもない。

他にも守られていない大きな問題は「北朝鮮側要人のソウル訪問」でしょう。

金大中の6.15南北共同宣言では「金大中大統領は金正日国防委員長がソウルを訪問するよう丁重に招請し、金正日国防委員長は今後、適切な時期にソウルを訪問することにした」は見事に守られていません。

いつも韓国のトップが平壌へ訪問する形です。

金正恩がソウルへ訪韓すると言っていますがどこまで本気か怪しいもの。

経済制裁を解除したり緩和したりしない限り、金正恩が訪韓するのは良いことだとは思っています。もしソウルに来たら「案外本気で非核化やる気かも?」とちょっとは信じてみようという気にもなります。まぁそこで出す「ソウル南北共同宣言」の内容次第ですが。

文大統領をはじめ政権幹部が「今回は違う」「金委員長は本気で非核化する気だ」と発言していますが、聞けば聞くほど金大中が「北朝鮮は核を放棄する。私が保証する」と豪語していたことを思い出します。

議員団が訪朝するのは大いに結構ですが、ちゃんと返礼をもらってくるべきでしょう。

つまり、北朝鮮議員団のソウル訪問です。

毎度毎度当たり前のように繰り返される一方通行交流はいい加減終わらせるべきです。

もしそれをやらずに、マスゲームと歓迎の公演を見て「素晴らしかった!」で終わるなら、ただの観光ですし、平壌という都市を舞台にしたオルグ装置にまんまとハマってきただけになります。

そういうアホな結果にならないことを祈りますが、果たしてどうなるか、、、。

個人的に第二回米朝会談よりも、金正恩がソウル訪問をするかどうかが重要だろうと思っています。

ソウルに来て韓国議会で演説し、自分の言葉で非核化を宣言する。

そして記者会見を開き外国人記者も含めた記者団からの質問に答える。

もしこれが出来たなら、北朝鮮を信用して制裁の部分的解除もありかもしれません。

まぁ可能性はほぼゼロでしょうけど、、、。