文大統領の北朝鮮に対する秋波が止まりません。
次回のASEAN首脳会議に、北朝鮮の金正恩委員長を呼ぼうと画策しているようです。
インドネシアのジョコ大統領が参加を呼びかけ「それナイスアイデア!」と文大統領が応える形になっています。
文大統領が言い出すと北のスポークスマン呼ばわりされるから、ジョコ大統領に「言い出しっぺ」をお願いしたのでしょうか?怪しいですね。
まぁこれは一概に悪いとは言えません。
「核を保有したままで国際社会の一員として認められてしまうじゃないか!」という批判もあるでしょうが、そんなものは米英仏の拒否権でほぼ解除が不可能な国連制裁が維持される限り、あまり意味がありません。
イランも色んな国際会議に出てますが、アメリカの断固たる制裁によって経済は急激に悪化しています。
イランは国際社会の一員として認められていますが、それが何か?という状態です。
北朝鮮がASEAN首脳会談に出たところで、しょせん同じでしょう。
それよりもほぼ引きこもり状態であった北朝鮮の国家元首を外に引きずり出せる方がメリットがあります。
頻繁に国を空けるほど、クーデターのリスクが高まりますし、暗殺のリスクも高まります。
信頼性の薄い北朝鮮の飛行機で移動し、事故が起きる可能性もあります。
首脳会談となれば国家元首の面子もありますから金もかけて準備する必要もあります。
多国間会議ですから韓国に渡航費用と滞在費用を出してくれなんてことも言えません。
出費はかさむのに、制裁解除を得られる可能性はほぼ皆無。
むしろ非核化をもっと頑張れと周りから言われて圧迫されるのが目に見えています。
下手をしたら人権問題でつるし上げを食らうかもしれません。
そんな場所に「ぜひ来てください!」と秋波を送る文大統領。
北朝鮮からしたらありがた迷惑でしょう。
ロシア人北朝鮮専門家のアンドレイ・ランコフ氏の著書『北朝鮮の核心――そのロジックと国際社会の課題』で、左派のやり方が北朝鮮にとって都合がいいとは限らないと書かれていましたが、その通りだと思います。
他にも金正恩委員長が訪韓したらぜひ漢拏山(ハルラサン)に一緒に上りましょう!とも呼びかけています。
「頂上付近まではヘリで送りまっせ!」とノリノリなことを批判されていましたが、私はとっても良いことだと思います。
ぜひ金正恩が韓国のヘリに乗るのか見てみたい。
韓国を本当に信頼しているのかが分かるでしょう。
私はまず乗らないと思います。
少し前にヘリのプロペラがぶっ飛んで墜落する事故が韓国で起きましたが、同じことが起きたら北朝鮮はお終いです。
ソウルまでは陸路で行けますが、漢拏山のある済州島には飛行機で行くしかありません。
果たして金正恩が韓国の飛行機に乗るのか?
まさかシンガポールのように中国の飛行機を借りるわけにもいきません。
韓国との会談なのに、韓国国内の移動に中国の飛行機を引き入れて移動するなど、外交的には大変非礼です。
かといって北朝鮮の飛行機を持ってくるのも心配。
きっと文大統領は私も一緒に乗るから安心してくれと言うでしょう。
が、それを信用できるのか?
パイロットが安重根義士のように、自爆テロをやるかもしれません。
文大統領もろとも無理心中。
大事件です。
北朝鮮は韓国を責めるでしょうが、韓国も自国の国家元首が一緒に亡くなっているんだから暗殺を企てたと断定もできません。
在韓米国大使のリッパート氏を切りつけた民族主義者がいましたが、同じタイプの反北愛国者の韓国人がいないとも限らない。
何せ最も重要な同盟国である米国大使の警護が、超いい加減だったわけです。
文政権は真摯に金正恩委員長を迎える気だったとしても、韓国人全員がそうとは限らない。
家族を殺された脱北者が漢拏山に潜伏して暗殺を企てないとも限らない。
疑い出したらキリがない。
そういう点で、文政権がミカン送ってソウル訪問をおねだりしたり、色んな国際社会の場で金正恩のイメージアップを図っているのは北朝鮮にとってある意味負担でしょう。
北朝鮮にとって応えることが困難な要求を「善意」で送り続けているわけですから。
ただ、これらのことが韓国にとって良いことだとは思えません。北の独裁者のために駆けずり回る姿を見て、諸外国は「うわ、、、こいつ大丈夫か?」と思うわけですから。
北朝鮮にとっては結構嫌なことを、文政権が「善意」でやっていることが面白いですね。
年内ソウル訪問を目指して金正恩に秋波を送りまくる文大統領。
もはや訪韓したら済州島に移動して、漢拏山(ハルラサン)に登らないわけにはいかない雰囲気も出来上がりつつあります。
果たして金正恩がこの要求に応えるのか?
十中八九、金正恩は訪韓せず、対北朝鮮対話は停滞モードに入ると思っていますが、この予想を裏切ってくれることを期待しています。
今後の展開が楽しみです。