朝日新聞系列のWEBRONZAで面白い寄稿があったので紹介します。
怒涛のように押し酔える日本の嫌韓の波に、市民レベルの日韓交流活動で食い止めようと頑張っておられる伊藤順子氏の寄稿『[38]「嫌韓疲れ」と『中くらいの友だち』』に、「親父同士が対立していても、子どもは隣家の友だちと遊びたい」という例えで今の日韓関係について触れていました。
「日韓関係は最悪」と言われて久しいが、それは政治外交の話だ。一般国民の動きとしては、うまく連動していることが多い。隣家の親父同士が対立しても、妻は情報を分け合い、子供同士は仲良く遊んでいいと思う。レーダー照射問題での日韓政府の応酬にしても、まずは“当事者同士”で話し合ってほしい。いきなり世論を巻き込まないでくれと思う。
政府=親父、両国民を妻や子供同士に例えています。
なかなか面白い例えですが、現実は逆です。
現実に即して例えるなら、こうでしょう。
- あるところに子だくさんの日本家と韓国家あり、隣り通しで暮らす。
- 両家の子供同士は一緒に遊んだりして仲は良好。(=両国の一般国民)
- ただし、わがままな末っ子同士がすこぶる仲が悪い。(=両国のネトウヨ)
- 両家の母親はお互い情報交換したり、お茶会をしたりしている。(=両国の政治家、メディア、知識人、市民団体などの交流)
- 父親同士は、自分の経営する会社同士で、色々な分野で協力しており、お互いがお得意様。(=両国の政府や経済界)
- 超仲の悪い末っ子同士が、毎日のように喧嘩し、「あいつが悪い!」と両親に訴える。
- 母親はそのわがままな末っ子を溺愛している。(=両国のネトウヨを支持基盤にした市民団体、政治家、メディア、専門家など)
- 溺愛はしつつも、最初はわがままな末っ子を叱っていた。(=韓国:北に主敵を抱えているのに後ろに新たな敵を作る気か?経済・技術・国防のために日本との協力は必須だ!と反日民族主義者を黙らせる。 日本:植民地支配して苦しめたろ?戦争を起こしたことを反省しないと。共産主義勢力の防波堤になってくれてるだろ?と大和民族主義者を黙らせる)
- 最初は叱って黙らせていたが、末っ子の言い分にも一理あるな、向こうの子はちょっとおかしいんじゃないか?と母親が末っ子に感化されだす。(=両国の議員・メディア・学者・市民団体に悪感情が波及)
- 母親同士の議論に発展。当初は「そうね、そうね」とお互い非を認め合い、譲り合うこともあったが、だんだん感情的な言い争いに発展。(=メディアや専門化、市民団体の代理戦争)
- 母親同士の関係がどんどん悪化。(=メディアや市民団同士で反日・嫌韓感情が炎上)
- 母親の影響で、末っ子以外の子供にも悪感情が波及。(=嫌日・嫌韓感情が一般国民に拡大)
- 母親や子供が、父親にチクチクお隣の家の悪口を吹き込み、「なんとか言ってよ」と繰り返しお願いする。
- 父親同士は「困ったな」という感じで話し合い、「とりあえず仕事には影響しないようにしよう」理性的に話し合う。(=軍隊同士や外交官同士は関係が良好)
- しかし、母子同士の争いはだんだんエスカレートし、隣の家の会社と取引するなと要求し出す。(=日韓断交扇動)
- 日本家の父親が「祖父の時代に、向こうのおじいさんにひどいことしたんだ。そういう感情的なしこりもあるんだから理解してあげなさい」と妻と子供を説得。(=植民地支配への贖罪意識)
- 韓国家の父親が「俺の父親の時代に、向こうの父親に色々支援してもらって今の会社があって、良い生活ができてるんだ。祖父の時代の話を持ち出して、そんなに嫌うな」と妻と子供を説得。(=戦前の日本と戦後の日本は違うという事実をありのまま認めた正論)
- しかし、この母親同士、子供同士の争いはどんどん激化。
- 息子たちからは「お父さんは僕たちのことなんてどうでもいいんだ!」と責められ、娘たちからは「顔も見たくない」と冷たくあしらわれる。
- 妻からは、「私の言うことなんてひとつも聞いてくれない!愛してないのね!」と離婚の危機にまで発展。
- 両国の父親がこのままでは家庭崩壊だ!と危機感を強める。(=このまま世論を無視し続けたら政権崩壊)
- 仕事か家庭崩壊かの二者択一にまで追い詰められる。(=経済への悪影響か政権崩壊か)
今の日韓をご家庭に例えたらこんな感じでしょうか。
冷静なのは父親の方で、感情的なのは妻と子です。
そんな中でも一部の子供同士は仲が良いというだけです。
さらに韓国に限って言えば、家庭内の権力構造が変わって父親が家庭内失脚し、妻が家長にとってかわった、という状態でしょう。(=民主化運動でブイブイいわした運動圏出身者が韓国政府の中枢を掌握)
そして、日本の方では、母親をはじめ過半数の子供が隣の韓国さん家に悪感情を持っている状態です。
そして父親に「なんとか言ってよ!」と日々突き上げてる感じです。(=世論に押される日本政府)
冒頭で紹介した著者は、両国の政府を父親に例えて、父親同士が仲が悪くとも、妻同士は情報交換し、子供同士は仲良く遊びたいと書いていますが、実態は逆です。
むしろ両家の父親(=政府と経済界)は、自分の仕事にも関係するし、厳しいビジネス競争(=国際政治)の中で生き抜くためも、関係悪化は避けたいと思っています。
そして、家長が妻にとってかわられた韓国家から、会社に影響が出るありえない難癖や嫌がらせを受け(=徴用工判決&レーダー照射)、日本家の父親が実害が出るのでいよいよキレた、というのが現状でしょうか。
日韓関係を家庭に例えたらこんな感じでしょうね。
日本は失脚した韓国家の父親に復権してほしい(=政権交代してほしい)でしょうし、韓国は子供たちと妻の意見に従って日本家に対して「あんたのとこの子供の非を認めてうちの子に謝りなさい」という要求を通したいでしょう。
ややこしいことこの上ない。
家族総出でバットもって殴り込み(=戦争)なんてことにはならないでしょうが、道で会っても「フンッ!」とあいさつもせず、会社間の取り引きもどんどん少なくなって疎遠な関係になる可能性は高そうです。
疎遠ならまだマシで、隣に住むという立地の関係上、嫌でも顔を合わすわけで、意図せずに衝突することが繰り返されます。
そしてそのたびに炎上。
今後の日韓関係はこんな感じになりそうです。
このご家庭が今後どうなるかは神のみぞ知るですね。