『北朝鮮 絶望収容所』 肉片で裸女を釣る

画像は『図説 北朝鮮強制収容所』から引用しています。実際に写真があれば一発でありえなさが伝わるのですが、、、。絵でしか伝えられないのが歯がゆいです。

北朝鮮を語る上で、絶対に読まなければならない本です。これを日本全体で共有しない限り、日朝国交正常化はありえません。

これが北朝鮮という国家が主導して行っている、悪逆非道の犯罪行為です。これが日本のメディアでまったく注目されていないことに戦慄を覚えます。

 

肉片で裸女を釣る

談話室に上がってみると静かだった。窓はすべてカーテンがかけられて中が見えない。もしかすると保衛員が情報員を呼び情報を聞いているのかもしれないと思い、煙草を一本つけて待つことにした。
すると中から保衛員の、

「ひ、ひ」

という変な声と、

「もっと跳ねろ、もっと」

と、おどけた声がした。戸の隙間から何とか覗いてみようとしたが、見えなかった。保衛員の気がおかしくなったのかと心配になって談話室に入ってみると……私は開いた囗が塞がらなかった。

保衛員は、棒の先につけた紐に豚肉の塊を結わえて、ふらりふらりと揺らしていたのだ。それに合わせて全裸の統計員・咸福順が四つん這いになってカエルのように跳ね、保衛員は釣り竿を上げたり下げたりしながらそれを見て喜んでいた。

保衛員は人間釣りをして遊んでいたのだ。女を裸にして、それも真っ昼間に。

私は茫然自失のていで数秒のあいだそこに立ちつくしたが、はっと我に返り、あわてて談話室を飛び出した。咸福順が困惑した顔で振り返ったのを、私の視線がわずかにとらえた。

保衛員の韓宣哲少佐が中から叫んだ。

「何しに来た?」

私は大声で、

「燃料が切れたのでまいりました。また寄ります」

と言ってから下に降りていった。

肉の塊ひと切れを食べようと全裸でひざまずいている統計員の咸福順と、肉の塊で人を犬のようにからかう韓宣哲少佐の姿が、残像となって目の前にちらついた。

あとで再び立ち寄ったときは、保衛員が一人座って通報資料に目を通していた。私が入っていくと、彼は先ほどの破廉恥を目撃されたせいか、いつもの様子とは違っていた。

「明哲君、ご苦労だったな、スイカをあげようか、それともウリにしようか?」
「結構です。煙草があったらいただきたいと思います」
「煙草はいつでも統計員にもらってくれ。君だけは特別待遇だからね」
「はっ、ありがとうございます」

保衛員は電話をとりあげると、統計員に煙草二袋とウリとスイカを一籠持ってくるよう指示しすると、私のほうに顔を向けて、

「君のところの警備隊、注意しなければならんぞ。こいつらの動向はよくないから」

と通報資料の一枚を取り出して私に見せてくれた。それは警備隊に該当するものだけを編纂した九二年十月の一週間分の資料 -四乙地区作業1班政治犯たちの思想動向資料- であった。そこには、情報員が聴取した政治犯たちのあらゆる反逆的会話が書かれていた。

「警備隊のやつら、銃を担いでのさばっているけど、必ず復讐してやるぞ」
「警備隊の連中の銃を取り上げて、保衛員と警備隊員を皆殺しにしてから逃亡するぞ」
「今は秋だからどこに逃げても行く先々に食べ物がある。鉄条網を飛び越えさえすればいいんだ」
「警備隊員に身を任すふりをしながら武器を取り上げて逃げよう」
「鉄条網のところに立っている兵隊はみんなカカシだ。歩哨だというのにいつも居眠りばかりしている」
「警備隊の戦士をうまい言葉でおびき寄せ、人のいない場所に連れ出して殺し、取り上げた服に着替えて警備隊になりすませばいい。あとは鉄条網さえ越えるだけ。簡単に脱出できるさ」

・・・・・・

読むだけで、政治犯たちが日ごろ胸に隠し持っている凶暴さがかいま見え、恐ろしいほどだった。政治犯たちはいつでも逃走の機会をうかがっていることが瞬時にわかった。もし夜中に哨所ヘ行く途中に車が故障したり、それでなくても速度の遅い木炭車を運転していたら、いつ後ろから鎌で首をかき切られるかわからないと思うと、心底ぞっとした。

「明哲、宗派の奴らはつねに復讐心を抱いている。君も注意したまえ」
「体が震えますよ」
「大丈夫、こいつらはもう黄泉路におもむいたから心配せんでもよい」

それを聞いて私は「あっ」とうなってしまった。

保衛一課の輸送隊車「咸北十七 ― 六一八号(俗に「風車」と呼ばれる、テントを張って外から中が覗くことのできない車)」と四乙地区ですれ違ったのを思い出した。あれがその不穏な連中を捕まえ、拘留所に連行していく途中だったのだ。また多くの死人が出るのか、と暗い気持ちになっていると、咸福順が戸を叩いて入ってきた。私に恥ずべき場面を見られたので、彼女はいくぶん伏し目がちであった。

「先生様、このスイカを召し上がってください。いちばん大きくて美味しいのを選んできました」

(中略)

韓宣哲少佐が勧めた。こんなことで私の口を封じようとしているのかと思いながら、

「指導員同志のことは口外しませんから、心配しないでください」
と言った。

(中略)

保衛員はさておいても、犬のような真似をしてまで、どんな屈辱的な行為を強要されても生きようとする咸福順を見ていると、なおさらそう思った。

「先生様、ほんとうにありがとうございます」

咸福順が何度も礼を言った。

「おい、言葉ではなく誠意は体で示してあげなさい」

なんと保衛員同志は彼女に服を脱ぐように目配せしたのだ。咸福順はすでにそう打ち合わせてあったかのように上着をとっていた。

「やめてください。私はそんなことしたくありませんから」

(中略)

「あの野郎、どこまで腐ったやつなんだ。そこまでしなくても咸福順が可哀想だから、誰にも喋りやしないさ」

とつぶやきながら哨所をあとにした。

 『北朝鮮 絶望収容所 (ワニ文庫)』 P310~315

 

これが北朝鮮の政治犯収容所の現実です。肉で人間釣りを楽しむような連中が支配しています。政治犯収容所の囚人は人間扱いされていません。

女性の人権を叫ぶ日本のリベラルは、この北朝鮮の次元の違う、本当にありえないくらい次元の違う事実に、一切騒ぎません。このことに戦慄を覚えます。

特に朝鮮学校の子供たちの学ぶ権利を守れ!と叫ぶ人たちが、こういうありえないことをやる国に子供を渡航させ、命を危険にさらしていることに怒りの声を一切上げないことが信じがたいです。

朝鮮学校を襲撃する右翼とは喜々として戦うのに、北送された在日同胞数万人を残虐非道な方法で虐殺した相手には借りてきた猫のように大人しくなります。彼らの言う子供の権利とはいったいなんなのか考えさせられます。

話しはこれで終わりではありません。この人間釣りをさせられていた、女性に対する同情が霧散する場面を目撃します。

しかし、咸福順に同情し、哀れんだのは間違いだった。

(中略)

作業班の事務室の前に政治犯五十余名が集まっていた。口汚い罵り声が聞こえるので何ごとかと車を降りると、遠目に一人の女が男たちを叩きのめしているのが見える。

近寄ってみて驚いた。なんと咸福順が男子五名をひざまずかせ、鉄の杖でその男たちを情け容赦なく打ちのめしていたのだ。

女が男を俸で叩きまくる姿など私には想像もできないことだった。成福順はひとしきり叩き終えると腕が疲れたのか、

「おい、5分組長、こいつらに目にもの見せてやれ」

と、三十歳くらいの分組長の男に代わって、再び男たちを打たせた。自分は保衛員にでもなったかのように椅子にふんぞり返り、集まった政治犯たちを全員座らせ、

「お前たちは討論会の準備をしていろ」
と奇声を張り上げている。

思想討論会がはじまるのであった。座らせた政治犯たちの前に、さんざん打ちのめした五人を立たせ、咸福順は、

「これからこのトンムたちに対する思想討論会をはじめます。今日はとことん話し合います。討論に参加してください」

と、もっともらしく宣言した。
三十代半ばの2分組長の女性が立ち上がり、さっそく批判をはじめた。

「英徹トンムはほんとうに悪い人です。トウモロコシの苗を踏み倒しました。しかも五本もですよ。このトンムがトウモロコシを踏みつけたのは故意的だと思います。いまだに悪い思想を捨てきっていません。以前にもトウモロコシの肥料を撒くとき、一株に十粒ずつ撤くことになっているのに十五粒ずつも撒いたことがあります。これは農業を駄目にしようとする悪徳行為です」

英徹という政治犯は三十代の男であった。彼は納得がいかないのか、

「肥料を多く撒けば、それだけ早く育つよう気がしたからです。今日トウモロコシの苗を踏んだのはわざとそうしたのではありません。貧血を起こし、うっかり踏んでしまっただけです」

と、貧血の仕草を再現までして抗弁した。貧血が起きてトウモロコシを踏むようになったと聞くと、同じ境遇の政治犯たちには返す言葉がない。自分たちも常に飢えており、貧血を起こすことが多いからだ。

2分組長が口ごもって、何も言えずにそのまま座ると、咸福順がさっと立ち上がり、

「この犬畜生めが、まだ減らず口をたたいてるのか!」

と、鉄の杖をふり回して英徹の口を激しく叩いた。歯が砕かれて、彼は口を手で押さえながらぶっ倒れた。咸福順はマムシのような三角形にひきつった目をして英徹の髪の毛を握りしめ、さらに鉄杖で殴りつけようとした。

うつ伏せになっていると叩かれると思った英徹は、両手で囗を覆いながら立ち上がった。咸福順はそんな彼に毒づくのをやめない。

「この犬畜生め、お前、私のことを毒蛇のような女だと悪口を言ってたろ? お前のようなやつの囗はつぶして二度とそんなことが言えないようにしてやる」

彼女は額に青筋を立てて怒鳴った。
私は咸福順の毒蛇のような目をもう一度見た。
保衛員の前ではおべっかを使い、肉の脂身のひと塊でも食べようと全裸で犬のように跳ねるくせに、同僚である政治犯たちの前では恐ろしく凶暴な女に変身する。咸福順こそまさしく毒蛇と呼ぶにふさわしい女ではないか。

(中略)

咸福順の前では、他の政治犯たちは無抵抗同然だった。それは咸福順が統計員であり、保衛員の情婦であることを知っているからだ。咸福順が怖いのではなく、その後ろにいる保衛員が怖いから、されるまま、言われるままに従っているのである。

収容所の作業班長、統計員、確認員、人民班長、分組長、管理委員会(九〇年までは協議委員会)、炭鉱事務、坑長、五人組長のような幹部級政治犯たちは、保衛員の手足となって動いていた。保衛員は政治犯を管理統制する手段として彼ら彼女らを利用し、彼ら彼女らは保衛員たちが後ろ盾になっているので同僚の政治犯に対して、ときには保衛員よりも居丈高になり、悪質な行為をすることもあった。

実におぞましい ”システム” である。弱者が強者になるために、自分の下にさらなる弱者をつくり出していく……。そして同じ弱者のあいだでは、批判する者とされる者とで力関係が形づくられる……。

いま振り返れば、この思想討論会は収容所の管理システムの縮図であり、収容所は「北」の統冶システムの縮図なのだとも思う。私は静かにその縮図の現場をあとにした。

 『北朝鮮 絶望収容所 (ワニ文庫)』 P315~320

 

図説 北朝鮮強制収容所』からイメージ図を引用します。

北朝鮮統治システムの縮図

 

これが、北の管理システムの醜悪さです。こうやって団結して暴君に対抗すべき人達同士の関係を破壊し、お互いを憎み合うように仕向けます。

政治犯の、警備員に対する悪口もすべてこういった内部の情報員によってもたらされます。その結果、ある日輸送車に乗せられて山奥で「処理」されます。

その事実が認識できれば、もはや何も言えなくなるでしょう。一緒に苦しんでいるもの同士、政治犯の間で友情が育つことさえ許されません。

そのシステムが、この思想討論会であり、北朝鮮社会で広く行われている生活総和と言う名の、互非難合戦というシステムなわけです。

当然、朝鮮学校でもこれが行われています。これをどう擁護しているか、『「語られないもの」としての朝鮮学校――在日民族教育とアイデンティティ・ポリティクス』宋基燦著 から引用します。

「ある初級学校で生徒たちが自主的に作った「日本語のごみ箱」だ。生徒はお互いの言語実践を監視し、会話の中で日本語の使用を指摘する。指摘を受けたときに使われた日本語は紙に書かれ「ゴミ箱」に入れられるのである。

(中略)

子供たちにとっては、自分が学校外の日常で使用する言語を「ゴミ」として否定しなければならない「困難」に遭遇してしまう。ここで日常的母語としての日本語は、「ゴミ箱にいれるべき悪いもの」と「家族友人との会話に使う良きもの」に分裂する。

このような日常言語の価値分裂は、子どもたちの認識と実践の価値世界も二分する。しかし二分された両方とも日常的実践が行われるリアルな世界であるために、そのどちらかを完全に否定するわけにはいかない。

朝鮮学校の生徒たちは、この矛盾を克服することを試みるのではなく、矛盾と共に歩む道を選ぶ。その道とは、他でもなく「演技」をすることであった。

朝鮮学校の中で行われている日常的実践を「演劇的」と把握すると、互いに厳しく指摘しあったり、反省会のときに互いに激しく批判しあったりしながらも、仲の良い友達関係が維持されることや、生徒たちが校門を出るや否や即座に日本語使用モードに切り替えることなどの、彼らのいっけん「奇妙な」行動を理解することができる。

舞台の上で互いに敵を演じた俳優だから、舞台の裏でも憎みあうことはないし、舞台から降りてからも演技し続ける必要はない。

しかし、「演劇的」と言っても、朝鮮学校における日常的実践が本物の演劇と違う点は、生の実在性にある。生徒たちは朝鮮学校のなかで「演技」をしながら学習し、人間関係を築き、笑い、泣き、感じ、成長していく。

朝鮮学校は舞台の上の仮想の世界ではなくて、手で触ることができる「リアリティ」に満ちた生の空間でもある。だからこそ、その空間のなかで「演劇的」に学習された朝鮮語能力も実在性と実用性を備えているのである。」

「語られないもの」としての朝鮮学校――在日民族教育とアイデンティティ・ポリティクス』 P207~208

正直何を言っているのかまったく理解できません。

そもそも日本語を使い、それを指摘されたときに日本語を書いた紙をゴミ箱に入れる意味が分かりません。言語を学ぶ上で日本語を禁止することは効果的だと思いますが、何もゴミ箱に捨てなくてもやり方はいくらでもあるでしょう。

それが価値観の分裂を起こすというならさっさとやめればいい話です。意味不明の理論をこねくり回して擁護していることが、まったく理解不能です。

こうやって相互に非難させて、日本への親近感を破壊するわけです。おぞましい行為を何も知らない子供にやらせています。

さらに、演劇的と解釈して、互いに厳しく指摘しあったり、反省会のときに互いには激しく批判しあいながらも、仲の良い友達関係が維持されるのだと、擁護するに至ってはあきれ返ります。

そもそも友達関係が壊れる可能性のあることをやらなければいい話でしょう。なぜそこまでしてこの相互批判システムを維持したいのかが理解できません。

北朝鮮の思想討論会と結びつけるな!一緒じゃないだろう!!という反論には、ガス室で実際に殺してないからといって、「ホロコーストごっこ」をして良いとは言えないですよね?と言い返したいと思います。

朝鮮学校はいつまでこんなことを続けるつもりでしょうか?民族教育のために尽力した在日一世に対して申し訳ないと思わないのでしょうか?北の強制収容所で虐殺された、数万人の在日同胞にあの世でどう申し開きするつもりでしょうか?

許しがたいのはこの学校の問題点を知っていながら黙っている日本人でしょう。本当に朝鮮学校に通う子供を大事に思っているのか本当に疑わしいです。きっと「子供を守ってる自分て素敵!!」と気持ち良くなりたいだけの偽善者に思えます。

最大の被害者は、この学校に通っている子供達です。決して朝鮮学校を潰したいのではありません。朝鮮学校には、主体民族教育をやめ、真の朝鮮民族の教育をする学校に生まれ変わってほしいです。

このような教育を続けていてどうやって先祖に顔向けできるのでしょうか?

朝鮮学校建設に尽力し、帰国事業で北送され、その後無実の罪で収容所に入れられ、拷問の末に殺された在日同胞数万人にあの世でなんと言うつもりでしょう?

自分たちは民族教育を守ったと胸を張れるのでしょうか?

朝鮮学校の存続を願う人たちは己の胸に手を当ててよく考えてほしいです。

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