『北朝鮮脱出 地獄の政治犯収容所』 肉親の死を悼むことさえ許されない

北朝鮮脱出(上) 地獄の政治犯収容所

 この本は、強制収容所から脱出した方の手記です。ここでは、強制収容所内での子供達がどれだけ残酷な目にあっているかが書かれています。この強制収容所の実態を知らずに、北朝鮮は語れないでしょう。

北朝鮮脱出〈上〉地獄の政治犯収容所 (文春文庫)』 単行本版 P168-169


 ある日突然、黄英洙が学校へ出てこなくなった。
 「そこの席が空いているな。さぼったやつは誰だ?」
 イノシシこと崔成根教員は、欠席したのが英洙であることを確認すると、
 「姜哲煥、襄正澈、おまえたち二人は英洙を捕えてこい」
 と言った。
 黄英洙の家の近くまでくると痛哭する声が聞こえ、何人かの人が集まっていた。
 「おばさん、何かあったの」
 「英洙のお母さんが亡くなったんだよ」
 それを聞いて、私は突然のことで言葉が出なかった。英洙のお母さんが病気なのは前から知っていたが、昨晩も会った人が死んだなど、とても信じられなかった。私はあまりに泣いてわれを忘れている英洙をぼうっと見ていたが、あきらめて学校へ帰った。
崔教員に英洙の母が亡くなったことを報告した。すると彼は、
 「母親が死んだからといって足が折れたわけじゃないだろう。学校へ来て報告しなくてはならんではないか」
 と怒鳴った。私の血が逆流した。
〈この野郎。人が死んだというのに何を言っているのか! それでも人間か〉
 子供心にも猛烈な怒りがこみあげて、両手がぶるぶる震えた。
 二日経って英洙が学校へやってきた。英洙はまるで別人のようになっていた。私たちともまったく話をせず、しょっちゅう涙を流して沈痛な表情を浮かべていた。そのたびに教員は足で英洙の腹を蹴った。
 「泣き虫めが。母親が死んだのは死んだものとして、おまえはしっかりしなくてはならないだろうが、そうだろ?」
 そうでなくてもひ弱かった英洙は、担任の足蹴を一回受けただけで、わらたばのように倒しまった。
 「あいつは人間じゃない。ケダモノだ、ケダモノ。いつか俺の手であいつを殺してやる」
襄正澈は崔教員を見ると憤りを押えることができなかった。英洙は泣いてばかりいた。どんなに叱られても泣いた。
 「この反動の犬コロめ、革命精神とはどういうものか教えてやる!」
 崔教員は、まるで良心とか同情心といったものは生まれる前に置き忘れてきたかのようであった。か細い英洙はたっぷり殴られた上に、何時間も運動場に立たされる罰も受けた。親友にもかかわらず、何の手助けをしてやれず、なぐさめることもできない自分がとても辛かった。
 数日後、英洙と山へたき木を取りに行った。英洙が、
 「あれがお母さんの墓だよ」
 と指さした。そう言われると地面が少し盛りあがっているのがわかった。知らない人が見ればただ小さな土盛りと思う程度であった。



 これが、北へ帰った在日同胞に与えられた、「敬愛する将軍様」の配慮です。これを教えずに何を朝鮮学校で教えるのでしょうか?母親が死んだのに、それを嘆くことさえ許されません。容赦ない暴力を加えられます。人としての良心が欠落しているとしか思えません。これが教師です。この人の悲劇を、まるで存在しないかのようにまったく教えない。それではまるで、強制収容所で死んだ者をただ埋めて、忘れ去ろうとするこの連中と同じではないでしょうか?

 朝鮮学校は狂っているとしか思えません。本当に残酷な教育を子供にしています。この悪逆非道を容赦なく在日同胞に加えた首班を、「敬愛する将軍様」と書いて褒めたたえている教科書を使って授業をする。これほど子供の未来を踏みにじる教育はないでしょう。北の大地で残酷に殺された人達に、胸を張って在日同胞のウリハッキョ(我々の学校)だと、誇りを持って言える教育にしてほしい、そう願ってやみません。

 

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