盧武鉉政権の過ちから学んでいる文政権 政治的には正しいが国益的には地獄への道

朝鮮日報に盧武鉉大統領を再評価する声が聞こえてくる、という記事がUPされていました。(参考記事:【コラム】盧武鉉政権の名誉を回復した文在寅政権

左派界隈でよく言われているのがこの二点。

  • 韓米自由貿易協定(FTA)締結。
  • イラク派兵

「盧武鉉は反米だと言うが、本当に反米なら韓米FTAやイラク派兵などしない」とというのが盧武鉉擁護派の意見です。

実際その通りでしょう。

韓国の国益のために、それは正しい決断だったと思います。

まぁFTAはともかく、最初から親米の立場を鮮明にしておけば、米国との関係を改善するためにガッツリとイラクへ韓国兵士を送り込むこともなかったようにも思えますが。

それはそれとして、自分や支持者たちのイデオロギーより、政治家として国家全体の利益を優先した判断をした面も盧武鉉大統領にはあったでしょう。

その点は記事でも触れられています。

 

盧元大統領は自らの支持者たちがFTAに反対すると「この国は進歩勢力だけの国ではない」と述べ、済州海軍基地に反対する声には「平和は武装することによって守られる」とはっきり反論した。盧元大統領は交通の大混乱が予想された李明博(イ・ミョンバク)ソウル市長(当時)による清渓川復元事業、あるいは自らが掲げる「地域均衡発展」に反する孫鶴圭(ソン・ハッキュ)京畿道知事(当時)による坡州LCD(液晶ディスプレー)工場建設なども快く受け入れた。国の発展にプラスになると考えたからだ。スタッフや側近たちは「野党の次のライバルを後押しする必要はない」などと反対したが、このようなけちな声に盧元大統領は全くぶれなかった。

【コラム】盧武鉉政権の名誉を回復した文在寅政権 朝鮮日報  2019/04/21 05:07

これだけ見ると「偉いぞ!盧武鉉大統領!!」と思えるのですが、国益的に正しくとも、それが政治的に正しい(=選挙に勝てる)とは限りません。

イラク派兵で一気に支持率が急落し、以後10%代の低空飛行。

完全にレームダック化しました。

保革真っ二つの韓国政治では、相手陣営の有権者が喜ぶような政策を実行しても、その人たちが自分に投票してくれるようにはなりません。

堅固な韓米同盟を維持するためにイラク派兵を決定しても、保守層が盧武鉉政権と左派党へ投票するわけもなく、そして反米的な左派党支持者は支持をやめてしまう。

結果、韓国の国益としては正しい行動でも、政治基盤的には脆弱になり、レームダック化を招き、政権を失うことにつながります。

それが無能扱いされた盧武鉉政権の負のスパイラルでしょう。

その点をよく学んでいるのが現在の文政権です。

特に当初のバブル的な支持率がはじけ、もともとの保守党支持者は保守党支持へ戻り、革新党支持者はそのまま革新党支持を維持し、元の真っ二つ支持率に戻ってからは、いよいよ同じ過ちは犯せなくなりました。

文大統領は必死に米朝の対話ムードを維持しようと奔走していますが、完全に決裂して米朝どちらを選ぶか?という踏み絵を迫られた場合、国益的には米国を選択すべきだとしても政治的(=支持率維持)には、北朝鮮を選択することが正解になります。

北朝鮮を見限り、米国を選択して対北政策を圧迫路線に180度切り替えては、現在の支持者が離れてしまいます。

そして、米国を選択したところで保守層が自分たちを支持してくれるはずもありません。

選挙に負けては、盧武鉉大統領のごとく、政権交代後にけちょんけちょんにこき下ろされてしまうでしょう。

自分たちの権力を維持するためには、北朝鮮を優先して米国からフェードアウトするしかない。

米国と北朝鮮の関係が良好ならともかく、関係が悪化すればするほど国家全体の利益を売り払って、自分たちの権力基盤を維持する以外方法がなくなる。

これが韓国左派政党の深刻な病巣といえます。

見事に自縄自縛。

せめて経済政策がまともなら希望が持てますが、それもびっくりするような経済政策でむしろ自己破壊を進める始末。

国益を棄損して自己の支持層に忠実であれば、盧武鉉政権のように支持率が超低空飛行になることはないでしょうが、韓国経済は再起不能になるまで痛めつけられるかもしれません。

韓国の崩壊を望みませんが(というかもっとしっかりしてほしいのですが)、「通貨危機ふたたび!」くらいのシャレにならないシナリオをある程度覚悟しなければいけないかもしれません。