『最後の「天朝」』北朝鮮と手を切ろうという学派

中国と北朝鮮は「血で結ばれた同盟」というステレオタイプの理解を神話だと一刀両断している本『最後の「天朝」――毛沢東・金日成時代の中国と北朝鮮(上)』『最後の「天朝」――毛沢東・金日成時代の中国と北朝鮮(下)』。

自由な言論がない中国でこういう意見が堂々と出ているということは、さすがの中国も北朝鮮の面倒を見切れないと悲鳴をあげている良い証拠と言えます。

 

つい先日骨抜きにされた国連安保理制裁決議にも、葛藤が良く出ています。

米国の要求通りなら即座に北朝鮮が破綻するので、それは避けたい中露が一生懸命マイルドな制裁に修正。

それでも北朝鮮はバンバンミサイル発射して、核実験もやる。

私が中国の立場ならテーブルひっくり返してとっくの昔に見捨ててます。

ろくでもない味方を持つと本当に大変。

『最後の「天朝」』では、1920年代以降からはじまる中国と朝鮮の共産党関係史からはじまり、ソ連崩壊で機密文書が解禁されたことや中国側の公文書などを使って、北朝鮮や中国の歴史を新たな側面から見直している大著です。

北朝鮮がソ連と中国を天秤にかけて両者から最大限利益を得てきた歴史が詳細に語られていて、一言で言えば「中国だって北朝鮮にひどい目にあわされてんだぜ、ちょっとは同情してくれよ!」という気持ちが良く分かる内容でした。

毛沢東から白頭山(中国名:長白山)の最高峰と天池の大半を朝鮮側に割譲させた外交手腕なんかも北朝鮮の体制はともかく、大したものだと感心してしまいます。

チベットやウイグル、南モンゴルからはじまり、中印国境紛争や南シナ海、尖閣の領有権争いなど、中国は領土紛争に一切妥協しないというイメージがありますが、こと北朝鮮に関しては、譲歩につぐ譲歩、ず~っと言う事聞かされてきたんだと意外に思いました。

まぁそうやってソ連と中国天秤にかけて利益せしめてきたやり方も、旧ソ連崩壊でバーター取引やめて、中国が改革・開放で躍進した結果、できなくなりましたが。

あえて中国を抜いて、このブログで北朝鮮被害トップ3は、韓国・在日・日本だと再三書いてますが、何気に中国の北朝鮮被害が一番大きいかもしれません。

 

『最後の「天朝」』は、そういう中国の悲鳴がよく分かる大著です。

最後の「天朝」――毛沢東・金日成時代の中国と北朝鮮(上)

最後の「天朝」――毛沢東・金日成時代の中国と北朝鮮(上)

最後の「天朝」――毛沢東・金日成時代の中国と北朝鮮(下)

最後の「天朝」――毛沢東・金日成時代の中国と北朝鮮(下)