北朝鮮の政権が変わってこそ人権問題は解決する

北朝鮮が良くなるための意見は色んな人が述べていますが、個人的に大きな違いだと思っているのが「政権が変わること」を前提とするかどうか。

これを大前提とせず、今の北朝鮮の体制を保障した上での国交正常化をすることが、北朝鮮の人権問題の解決につながるという意見は百害あって一利なしと思います。

むしろ善意で人権蹂躙に加担する、ロクデナシだと言っても過言ではない。

だいたいヨーロッパや第三諸国などと北朝鮮はだいぶ前から国交結んでいるわけです。それでも自国民に対する人権蹂躙は止まっていません。

自分の兄貴を暗殺するテロを平然とやる。

サイバー空間で銀行強盗もする。

ミサイルも飛ばすし核実験もやる。

口汚く周辺諸国を脅迫する。

幹部を高射砲で粉々にし、肉片にガソリンかけて燃やす。

今でこそ制裁の一環で大使館閉鎖したりする国が増えてますが、数年前まで北朝鮮が国交を結んでいる国は最も多かったわけです。それでも数々のテロ犯罪、人権蹂躙は続けられていました。

国交正常化してこそ北朝鮮のすべての問題が解決するという幻想を抱いている人は、いい加減考えを改めるべきでしょう。

北朝鮮民主化運動を長年続けてきた金永煥氏も著書の中でこう述べています。

 

私たちが行った様々な活動の究極的な目標は、結局、北朝鮮社会を改革開放に導こうというものであった。意外に思う人もいるだろうが、私たちの目標は改革開放だった。改革開放すれば、北朝鮮住民の経済生活が改善され、自主的な生存権が保障され、政治的な分野を含むあらゆる領域で人権を改善することができる。改革開放が中国式であれベトナム式であれ、あるいは北朝鮮式の第三、第四の道であろうが、また、他のいかなる呼称と形態を有するものであっても構わない。北朝鮮が改革開放するならば、私たちはそれに対し何の拒否感も持っていない。

私も同感です。どんな形にせよ、ガッチガチの鎖国体制が瓦解し、国が開かれるならウェルカムです。

が、色々な要因からそれが難しいから困っています。

しかし、北朝鮮問題に集中的な関心を持って、二〇年近くの問民主化活動を行い、北朝鮮内外の事情を絶えず分析して来たが、中国のような変化や発展が、今の北朝鮮で可能であるかについては、深い疑問を持たざるを得ない。中国と北朝鮮は多くの部分であまりにも異なっている。非常に単純な事実を指摘すれば、中国が改革開放の道に入った七〇年代後半にそれが可能であった理由は、それまで迫害を受けてきて新たに政権を勝ち取った勢力が、変化の主体として前面に出て改革の名分を作り出したことにある。鄧小平、胡耀邦、趙紫陽など、中国の改革開放の先駆者たちは、すべて文化大革命の時期に権力を失い、追放され、死の危機まで迎える迫害にあった人々である。彼らが復帰して推進した政策が改革開放であり、彼ら自身が新しい社会を建設するのだという意志が高く、人民も大きな期待を抱いて支持した。

一方、北朝鮮はどうか? もし金正恩政権が改革開放に進むというなら、私たちも支持することになるだろうが、改革の「対象」であるその政権が、自ら改革の「主体」になることができないのは、あまりにも自明である。

三代にわたり世襲を行い、世界の歴史に類例がないほどに人民を奴隷化し、「鉄拳統治」を続ける金氏王朝が、どんな資格と面の皮をもって改革開放政策を断行できるというのか? あらゆる想像力を動員しても可能性がないことである。

韓国民主化から北朝鮮民主化へ―ある韓国人革命家の告白』P174-175

まったくもって同感です。改革されるべき対象が、改革の主体になれるわけがない。

北朝鮮専門家のアンドレイ・ランコフ氏が著書『北朝鮮の核心――そのロジックと国際社会の課題』で述べていましたが、北朝鮮政府に改革開放を要求するのは政治的自殺をお願いするのに等しい。

北朝鮮政府に対して中国のような改革開放を要求するのは「あなたが良くなるために、あなたが死んでください」と言っているようなもの。これで北朝鮮労働党が主体となって改革開放などやれるわけがない。それを分かっていない人が実に多い。

その点、本当に命がけで北朝鮮民主化活動をやってきた人は、ごまかしはないですね。人権問題の解決には政権交代が必要だとハッキリ言います。

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