北朝鮮の政権が変わってこそ人権問題は解決する

私と同僚たちが自らを革命家と自任し、北朝鮮を変化させるうえで「革命的な方法」を主張するので、私たちのことをとても過激な人間と見なしたり、あるいは夢想家と非難したりする人々までいるが、決してそうではない。産業革命や情報通信革命という用語からも分かる通り、革命とは人の「運命」を「変える(革)」ことである。何らかの変化によって人生のパラダイムが変わったならば、それは革命である。政治的な領域でも同様だ。昨日まで奴隷だった人が今日解放されたなら、昨日の圧政者が、今日権力の座から降りたなら、それは革命である。社会的な立場が根本的に変わる、あっという間の変化だ。

今日、北朝鮮の住民は明らかにそれを要求しているではないか。

私たちが北朝鮮の問題を解決しようと、オブラートに包んだ「改革」や「開放」などという用語を前面に立てず、あえて「革命」を隠さずに話している理由も、ただそれだけが北朝鮮を改革開放の道に導いて、住民の人権を改善することができる「唯一の」方法だからである。

改革開放が行われてこそ政権が変わるのではなく、政権が変わってこそ改革開放を達成することができる。

そして改革開放が行われるならば、北朝鮮住民の運命と生活が根本的に変わることになる。それが革命である。このような革命的な方法を地道に追求しているにも関わらず、自身を革命家と紹介できないのなら、それもまた正直でない態度である。

韓国民主化から北朝鮮民主化へ―ある韓国人革命家の告白』P175-176

  • 昨日まで奴隷だった人が今日解放されたなら、昨日の圧政者が、今日権力の座から降りたなら、それは革命。
  • 北朝鮮の住民は明らかにそれを要求している。
  • 政権交代という革命なくして、改革開放もありえない。
  • それだけが北朝鮮住民の人権問題を改善する唯一の道。
  • 改革開放が行われてこそ政権が変わるのではなく、政権が変わってこそ改革開放を達成することができる。

いちいちごもっともです。

こうハッキリ言う人が実に少ない。

「戦争はダメだ、粘り強い対話を!」と主張する人たちが多いですが、対話で北朝鮮の政権交代が成し遂げられるならとっくに独裁体制は崩壊しています。

もちろん対話そのものが問題というわけではありません。

「独裁体制を崩壊・変革へと導く対話」ではなく、「独裁体制の維持に貢献する対話」だから問題なわけです。

日朝国交正常化も、何の条件もなくお互いが大使館置いて、日本からだけでなく北朝鮮からも住民が自由に行き来できるようになるならすぐにでも国交正常化できます。

ですがそうではならず、植民地支配の清算だのなんだのと理由をつけて、北朝鮮が金を引っ張ろうとするから国交正常化できないわけです。

北の独裁政権が崩壊するなり変革するなりしない限り、人権問題の解決もありえない。

しかし、そういう意見に拒否感を示す人たちがいます。

人権問題と関連した国際会議で他国の人権活動家に会うと、人権運動に民主化や政権交代のような政治的性格を結びつけることに抵抗感を持つ人がいる。人権はそれ自体が純粋(?)でなければならないという考えである。しかし、北朝鮮の状況は一般的な国家のそれとまったく違う。

北朝鮮では、どんなに些細な人権問題も、それを改善するための最小限の行動すら実行できない。

現在のような体制下では、漸進的な人権の改善を通じて市民社会の領域を拡大し、それによって最終的に政権を変えようという改良的な方法の政治運動も、またいっさい不可能である。それが可能であるという見方自体が、北朝鮮内部の実態を正確に知らず、自国の人権運動の経験が北朝鮮にもそのまま当てはまると錯覚している、一方的な物差しである。

もちろん、北朝鮮の人権問題に対する国際社会の問題提起は絶え間なく行われなければならない。それによって北朝鮮政権を圧迫し、住民には希望のメッセージを絶えず伝えなければならない。しかし、私たちの考えははっきりしている。最終的に北朝鮮政権を変えなければ、改革開放も人権改善も、北朝鮮内部のいかなる意味のある変化も、すべて不可能な望みに過ぎないのだ。私たちが脱北者にずっと会い続け、北朝鮮の自生的な革命家や革命組織との接触を試みながら、民主化を支援するための活動を、主に中国で進めていた理由がまさにここにあるのだ。

韓国民主化から北朝鮮民主化へ―ある韓国人革命家の告白』P176

「人権はそれ自体が純粋でなければならない」

困った理想主義者です。現実はそんなに甘くない。

そもそも「まともな政府があるからこそ人権が守られる」という発想がないのでしょう。困ったことに「国家は国民を弾圧するもの」だと本気で思っている人もいますからね。そういう人は無政府主義者になります。そしてとにかく政府のやることにケチをつける。まぁほっとくと政府も腐敗しがちですからそういう人もいた方が良いと思ってますが。

北朝鮮の人権問題に関わる人たちは、金永煥氏の言うように「北朝鮮政権を変えなければ、改革開放も人権改善も、北朝鮮内部のいかなる意味のある変化も、すべて不可能な望みに過ぎない」ということを肝に銘じるべきでしょう。

北朝鮮の体制変革なくして人権問題の解決もありえません。