シリア情勢は、アサド・プーチン連合軍の勝利で終わり、その他は条件交渉で幕引き

ISISの躍進で注目を浴びてきたシリアの政情不安。当初、アサドの退陣が必須条件だと強硬姿勢で臨んだNATOと米軍でしたが、今ではそんなことを言ってた時期もありましたね、という状態。

ISISはほぼ壊滅し、アサド政権がほぼ全域を掌握。徐々に戦後復興も始まっています。

反政府側を支援していた米国やEU諸国も、今では国連のように「双方の戦闘の停止を求める」といった「正論述べるが何もしない」という当事者意識ゼロの責任放棄に行きつきました。

何年も続いた殺し合いの結果、自由や人権より安定が大事だ、という人が増え、アサド政権の統治容認でシリア情勢は幕引きとなりそうです。

アサドの統治を認めつつ、その他の件をどうするかは水面下で条件交渉が進められている模様です。

 

アサドを支える勢力であったイランの革命防衛隊ですが、イスラエル(+米国)がシリアにイラン勢力が浸透することを嫌い、ロシアとも交渉して追い出しへと動いています。

どうやらこれは成功しそうです。

イラン勢力の追い出しをやらないとイスラエルがキレます。

イスラエルがゴネると米国も動きます。

せっかく安定へと向かっているのに、また紛争が激化するようになればロシアは喜びませんし、アサドも嫌がります。

その結果、イスラエルがシリアでイラン勢力の場所をピンポイント空爆で破壊してもロシアもアサドも黙認してます。

米露首脳会談でも、「イスラエルの生存権を認め、イスラエルの安全保障については特別な関心を払うことが合意」されたわけです。

世界中の報道では「ロシア疑惑」のことばかりが報道されていますが、あんなもんはどうでもいい話です。

トランプの「あれは言い間違えでした」という超苦しい言い訳で、さらにメディアの報道がヒステリックになってますが、重要なことは「シリアのアサド政権統治の容認」と「シリア(特にゴラン高原)からイランを追い出す」という2点の合意でしょう。

あとはせっせとシリア政府軍がIS勢力を駆除し、反政府組織を瓦解させれば情勢は安定へと向かいます。

めでたく”安定した独裁政権”の復活です。

シリア版帰還事業も始まってます。(参考:ロシアが爆撃を開始して以降、シリア難民232,806人が帰国、国内避難民1,187,471人が帰還

北朝鮮への北送事業のように悲惨なことにはならないと思いますが、構図としては似たような状況になりそうです。

送りだし側のEU諸国はシリア難民支援の負担が軽減されます。(これは日本で正解保護受給率が高い在日朝鮮人を積極的に帰国事業で送り出す一要因となったのと同じ)

言葉の問題や職業問題で、疎外感を感じるシリア難民。(職業差別に苦しんだ在日朝鮮人と同じ)

メディアもバンバン入っている状態で、北朝鮮のように「地上の楽園」プロパガンダは無理でしょうが、「愛する故郷」という郷愁を誘って帰国を奨励するでしょう。(祖国(北朝鮮)に戻って復興に貢献しよう!というプロパガンダが行われていた)

上手くシリアが戦後復興の軌道に乗れば帰ったシリア難民も幸せになれるでしょうが、力強い戦後復興の成長軌道に乗れない場合は、シリアの独裁体制下で厳しい抑圧を強いられるかもしれません。

経済成長なし⇒食っていけない⇒不満がたまる⇒反政府デモ⇒政府による鎮圧⇒政情不安⇒外国からの投資減⇒最初に戻る。

こういう負のループが繰り返される可能性大です。

壮絶な内戦のせいでシリア人も、もう戦争はこりごりだと思っているでしょうから、アサド政権が強硬にデモを鎮圧しても大半はそれを容認するでしょう。

反政府デモを防止するための監視が強化され、密告が奨励されても従う可能性が高いです。

一度その流れに乗ってしまったら後戻りはかなり厳しい。

めでたく今までと同じ、中東の独裁国家のできあがりです。

そうさせないためには、アサドが嫌いだ、独裁反対だとそっぽを向くのではなく、もうあきらめてアサド政権を認め、欧米日のような先進国がシリアに投資して戦後復興を強力に助けることでしょう。

そして、その中で言論の自由や普通選挙制度を守らせ、密告や監視社会につながるような動きがあれば邪魔をする。これが大事です。

一度監視社会が出来上がってしまうと、崩すのが非常に大変です。

最初が肝心。シリアに多国籍企業が大挙進出し、シリア経済を支えるようになれば、報道を規制したり、国際NGO団体が活動することを妨害したり、自国の反対派の口を封じることも難しくなります。

アサド嫌悪が強くて難しいかもしれませんが、中東の安定と発展、難民の発生を抑制したいのであればやるべきでしょう。

最悪なのは、アサド嫌悪でシリアへの経済制裁を維持し、戦後復興のために投資もせず、だからといって軍事力をチラつかせてアサド打倒にも動かないことでしょう。

こうなるとシリアの経済的困窮は定着してしまい、頼る相手はロシアや中国などの独裁国家となります。これらの国との関係強化は警察国家化には寄与しても、自由・民主主義・人権という価値観からは遠くなるでしょう。

さらに最悪なのは、「アサドけしからん!」と非難しながらロシア主導のシリア難民帰還事業にこれ幸いと協力し、「本人が望んでるんだから」と喜々として送還に協力して、難民を追い出しにかかることです。

躍進著しいEUの極右政党は「もう紛争は終わったんだから帰ってもらえばいいじゃないか!」と主張すること間違いなし。

めでたく”不幸な”シリア版帰還事業の完成です。

そうさせないためには、怒涛の戦後復興のために欧米企業が進出することです。

アサド政権は嫌いだ!と近視眼的にならずに、どうすればシリア人の多数を幸せにできるかという視点でEU諸国には判断してほしいと思います。