米軍のシリア撤退 完全撤退から10分の1縮小で手打ち

中東が混乱しても知ったこっちゃねぇと容赦なくシリアから完全撤退するかに思えた米軍が、縮小・駐留することに決まったようです。

さすがにいきなり完全撤退は無理だったのでしょう。

だとしてもたったの200人規模です。

2000人から一気に十分の一です。

200人となると戦闘力的には微妙です。

微妙ですが、抑止力としては機能するでしょう。

 

ただし、抑止する相手はトルコやイランであって、テロリストではありません。

トルコやイラン、シリアのアサド政権に対して、今まで支援してきたクルド人部隊に手を出したら「米軍の大部隊がやってくるぞ!」「強烈な経済制裁をくらわすぞ!」という脅しです。

クルド人のことなんざ見捨ててとっとと撤退するかと思いましたが、周りの人間の必死の抑止が功を奏したようです。

こういうところはさすが米国ですね。案外義理堅い。

議会やメディア、イスラエルやクルド人、国防省からも「やめてくれ!」と泣きつかれて思いとどまったようです。

200人規模の駐留を続け、トルコとイランに睨みをきかせるようです。

妥当な線ですね。

戦闘力として周囲に脅威を与えない規模で駐留し、情報収集は行う。

実質、諜報部隊でしょう。

懸念としては、イスラム原理主義者による米兵を的にしたテロ。

抑止できるのはあくまでイランやトルコといった国家相手です。

テロリストからしたら米兵なんてまっさきに狙うターゲットです。

テロ攻撃で米兵が死んだら、報復のためにさらなる米軍を派遣するより、「残るからこんな悲劇が起きるんだ!」と完全撤退の方に動くでしょう。

そうなったらシリア情勢は一気に不安定化します。

そうさせないためにも、残留する米軍兵士をクルド人部隊が必死に守るでしょう。

クルド人が支配する地域ならある程度米兵を的にしたテロ攻撃も防げるはず。

どちらにせよ、いつ崩壊してもおかしくない微妙なバランスの上での安定が実現されそうです。

真の安定は、シリアの戦後復興が勢いよく行われるかどうかにかかているかもしれません。

以前のような独裁権力はあきらめて、民主化を保障し、その約束をテコにEU各国からの支援を取り付けられればシリアも力強い経済復興のもと、安定するかもしれません。

まぁ、その可能性は低いでしょうね。悲しいことですが。

一番可能性の高いのは、イスラエル+サウジをはじめとしたアラブ湾岸諸国連合と、イラン+シリアのアサド+ロシアの勢力争いでしょう。

そこにトルコも入って敵味方がコロコロ変わる、3つどもえの争いになりそうです。

カオスこそが、安定した(常態化した)中東なのかもしれません。

殺し合いを停止すべく、いろんな外交交渉が行われていますが、しょせんは小休止でしょう。

紛争はまだまだ続きそうです。