昨日の朝鮮中央通信の社説『終戦は誰かが誰かに与えるプレゼントではない』を色んなメディアが一斉にとりあげてました。
「終戦宣言が嫌だっていうならこっちは乞わねぇ」「終戦宣言を先に言い出したのはブッシュだぞ(ほんとか?)」「終戦宣言を出したいのはこっちじゃねぇ、北東アジア諸国のみんなの願いだ」と、大変ご立腹です。
ポンペオ訪朝前に、いいなりにはならねぇぞという交渉術の一つという分析があります。
その通りでしょうが、もはや必死に関係改善を行う動機も薄れてきたという背景もありそうです。中朝貿易が黙認されて制裁に穴が開き、現金もって平壌のホテルを買いに行く外国人が出てくる状態。軍事侵攻も韓国のおかげで可能性はほぼゼロ。
「非核化まで制裁は解除しない」と言っているわけですから、だったら交渉を延々交渉を続けて核保有国として認められる方がマシだと考えるのも当然です。
朝鮮中央通信の社説前文はこちら。
終戦は誰かが誰かに与えるプレゼントではない 朝鮮中央通信社論評
【平壌10月2日発朝鮮中央通信】
最近、米国のいわゆる朝鮮問題専門家の間で米国が終戦宣言に応じる代価として北朝鮮から核プログラムの申告と検証はもちろん、寧辺核施設の廃棄やミサイル施設の廃棄などを受け取らなければならないというきわめて荒唐無稽(こうとうむけい)な詭弁(きべん)が出ている。
終戦は、停戦協定に従ってすでに半世紀前に解決されるべき問題として、米国も公約した新しい朝米関係の樹立と朝鮮半島の平和体制樹立のための最も基礎的で、優先的な工程である。
実際に、終戦問題は10余年前、ブッシュ2世行政府の時期に米国が先に提起したことがあり、2007年10月4日に採択された「北南関係の発展と平和・繁栄のための宣言」と去る4月27日に採択された「朝鮮半島の平和と繁栄、統一のための板門店(パンムンジョム)宣言」に明記されていることで、われわれよりも米国をはじめ他の当事者がもっと熱意を見せた問題である。
朝米双方だけでなく、朝鮮半島の平和を願う北東アジア地域諸国の利害関係に全て合致する終戦は決して、誰かが誰かに与えるプレゼントではなく、特にわれわれの非核化措置と取り換えられる駆け引き物ではない。
朝米が6・12朝米共同声明に従って新しい関係の樹立を志向していく時に、朝米間の交戦関係に終止符を打つのは当然なことであるが、米国が終戦を願わないならわれわれもあえて、それに恋々としないであろう。
寧辺核施設について言うなら、米国をはじめ全世界が認めているように、われわれの核プログラムの心臓部同様の中核施設である。
しかし、われわれは「9月平壌共同宣言」で朝米首脳会談の共同声明を誠実に履行していこうとする確固たる立場から米国が相応の措置を取るなら、寧辺核施設の永久的廃棄のような追加的措置を引き続き講じていく用意があるということを宣明した。
われわれが朝米首脳会談の共同声明の履行のために実質的かつ重大な措置を引き続き取っている反面、米国は旧態依然として対朝鮮制裁・圧迫の強化を念仏のごとく唱えて制裁で誰それを屈服させてみようとしている。
特に、朝鮮問題を専門に扱うという人たちが60余年前にすでに取るべきであった措置について今になって値段をつけながらいわゆる代価を求める茶番劇を演じている。
誰であれ、心から朝鮮半島の核問題の解決に関心があるなら、朝鮮半島核問題発生の歴史的根源とその本質に対する正しい理解を持って問題の解決に臨む方がよかろう。---
もはや完全に非核化するまで制裁解除ななさそうだと確信したのでしょう。
サラミ戦術が通用しないと判断したのか、交渉を急ぐつもりはなくなったようです。
米国も同じく交渉を急ぐつもりはなさそうです。というか米国の興味は中東でしょう。現在進行形で殺し合いしてますから。それに比べたらどうしても北朝鮮の優先順位は下がります。
楽観と悲観がジェットコースターのように入り乱れる北朝鮮情勢。
ポンペオ氏訪朝後に、情勢がどう展開するか?
実態のある非核化措置を取る気がないと判断して制裁強化が再び行われるか、それとも核リストを出して第二回米朝会談へと向かうか?
前者なら韓国が板挟みとなり、後者なら韓国の現政権がお祭り騒ぎになって北の人権問題はますます無視されるようになる。
ポンペオ訪朝後の展開から目が離せませんね。