北朝鮮の体制維持 × 韓国並みの経済発展 = 世界の脅威

米朝会談に向けて色々な観測が出ています。

連日専門家があーでもないこーでもないと激論を交わしていますが、非核化に応じれば、北朝鮮の体制を保証し、韓国並みの経済発展が成し遂げられるとトランプ大統領が超無責任なリップサービスを繰り広げています。

そもそも、現在の凶悪な北朝鮮の体制が維持された状態で、韓国並みの経済発展を成し遂げたら、韓国はシャレにならない脅威を受けることになります。もちろん日本にとっても脅威ですが、韓国の方がはるかに被害が大きい。その辺、文在寅大統領は分かってるのかとっても不安です。

 

仮に非核化”だけ”で、怒涛の経済援助を始めたとしましょう。「漢江の奇跡」もビックリな経済発展を成し遂げ、めでたく韓国並みに経済成長をした暁には、通常兵器も立派なものに刷新されます。

やろうと思えば、核や化学兵器、ICBMの再配備も余裕です。何せ韓国並みに発展してるわけですから。

そして、北朝鮮の体制を保障しているわけですから、国民教育や制度などは現状維持です。

つまり、怒涛の経済成長とともに、金一族万歳教育は維持され、こういう人々が韓国並みの経済規模と科学水準の兵器で武装するわけです。

経済発展の過程で、自由化・民主化するはず、という意見もあるでしょうが、そんなことは分からないわけです。

少なくともGDP世界二位の中国は、一党独裁体制で政府批判をする中国国民を陰に陽に弾圧しています。中国の人権派弁護士は不当に拘束されたり、家族を脅されたり、弁護士資格をはく奪されたりしています。

経済発展の過程で、多少抑圧がマイルドになるかもしれませんが、北朝鮮の体制保障=個人崇拝&一党独裁が維持される限り、どんなに頑張っても中国より輪をかけて抑圧や情報統制が厳しい国になることは間違いない。

南シナ海で海軍基地を建設し、台湾には武力統一を露骨にチラつかせて脅迫し、巨大マーケットを武器に外国企業の参入をコントロールして他国に政治力を行使するのが共産党一党独裁の中国です。

仮に北朝鮮が現体制のまま韓国並みに経済発展したら、中国のように国際社会に軋轢をまき散らすことは間違ない。

そして一番の被害を受ける韓国であることも間違いない。

よく韓国の軍事独裁時代を取り上げて、北朝鮮も同じような道をたどり、経済成長と歩調を合わせて自由化・民主化するというような論調も見受けられます。

もちろんその可能性を否定する気はありませんが、少なくとも同じような主張で中国を見ていた専門家たちはことごとく間違っていたわけです。

北朝鮮が同じ道をたどらないとは断言できないわけです。いや、むしろ同じような結果になる可能性が高いでしょう。

経済発展は大いに結構ですが、その過程で中国以上のネット規制と、中国以上の監視カメラ数と、徹底した通話チェックシステムが構築されることは間違いない。

指導者や国民全体で、言論の自由などの人権意識が希薄な状態で、ITテクノロジーが発展するような場合は、むしろ全体主義体制を強固にします。

人海戦術で監視するより、巨大サーバーによるAIでの監視の方がよほど低コストかつ徹底して監視体制を構築できます。

北朝鮮の優秀なサイバー部隊の力が、国民監視に向けられるでしょう。

実際中国はそうなってます。

韓国の事例は、北朝鮮に対してはまったく参考になりません。

李承晩が金日成並みの独裁者だという意見(妄言)もありますが、しょせん四捨五入改憲などというしょぼい方法でしか権力を維持できなかったわけです。最後は市民デモで国外逃亡です。これが独裁者など笑わせます。

賄賂などで票を買ったりしていましたが、韓国はちゃんと普通選挙が行われていました。今の北朝鮮もビックリな超絶貧困国家でしたが、一党独裁という国家システムではなかった。デモだってバンバンやってました。

共産スパイの濡れ衣でしょっぴかれてボコボコにされたとしても、街頭で警察に投石したり、火炎瓶投げたり、その様子を海外メディアが報道したりしていたわけです。

一党独裁ではなく、普通選挙が行われる民主主義に基づいた政党政治体制だったわけです。

だからこそ、経済成長とともに自由や人権といった価値観が広まり、今の発展した韓国となったわけです。

困窮しているから民主化できないなど嘘っぱちです。

かつての韓国は凄まじい貧困国家でしたが、普通選挙が行われる国でした。

そこが北朝鮮と違います。

韓国と同じ道を辿りたいのであれば、少なくとも金一族個人崇拝と一党独裁は解体され、普通選挙が行われていないと韓国と同じ条件にはなりません。

何もレベルの高い普通選挙でなくても構いません。

かつての韓国と同じように賄賂で票が買われたり、嫌がらせや選挙妨害、開票の不正があっても構いません。

大事なのは、誰でも立候補できることと、自由かつ誰が誰に入れたか分からない無記名投票ができることです。

このスタートラインに立てない限り、北朝鮮が良くなることはありえません。個人崇拝と一党独裁が維持される限り、多少政治犯収容所が閉鎖されたり、連座制や密告制が緩められても本質は変わりません。

むしろこの状態で「良くなる=経済発展する」と周辺国に脅威がまき散らされます。

平和のために、北朝鮮の体制保障と経済発展を後押ししたはずなのに、結果的に戦争を呼び込むことになりかねません。

結局、「北朝鮮の体制保障」と「韓国並みの経済発展」は成り立ちません。

どこかで無理がきます。

経済成長とともに北朝鮮国内で自由を求める声が高まれば、まず間違いなく北朝鮮労働党はその声を弾圧します。

韓国や日本、米国はそれを批判するでしょう。

北朝鮮は主権侵害だと反論するでしょう。

めでたく関係悪化です。

今のように脆弱な北朝鮮ならともかく、その時の北朝鮮はそこそこ経済発展していてそれなりの軍事力があり、グローバルマーケットにも深くつながっていて制裁がしづらい状態かもしれません。

非核化も大事ですが、世襲と金一族崇拝教育の廃止は出だしでやっておきたいところです。これが維持されると「北朝鮮の経済発展=周辺国の不幸」という等式が成り立ってしまいます。

南北や米朝、日朝間で対話が開始されるのは良いことだと思いますが、北朝鮮側が嫌がるからといって人権問題について沈黙してはいけません。出だしが肝心です。

特に韓国は人権問題について絶対に言うべきです。北朝鮮の暴圧体制が改善されないことで一番被害を受けるのが韓国なわけですから。

「北朝鮮の体制維持 × 韓国並みの経済発展 = 世界の脅威」です。

みんな無責任に「体制保障」と「韓国並みの経済発展」を言ってますが、それが成立したときにどのようなことが起きるかもうちょっと想像してほしいものです。

こんなもん恐ろしくて仕方ないですよ。

米朝会談や南北交流が、「体制保障」という餌で詐欺にかけて騙し、「体制変革」へと導くような方向で進んでほしいと願うばかりです。