台湾で進む過去史清算運動

台湾で、蒋介石時代の弾圧の実態を再調査し、清算する運動が進んでいるようです。

こういう動きは韓国と似ていますが、反米・反日団体にこの手の運動が利用されることはないので、台湾の国民統合と結束を高めることにプラスになるでしょう。

基本的に、韓国の過去の軍事独裁時代について、負の面を明らかにして再発防止を進めることには賛成なのですが、韓国のやっかいなところはその手のネタを親北・従北傾向の団体が利用し、韓国内の分裂と葛藤を激化させ、なぜか反米・反日へと繋げるところでしょう。これが非常に厄介です。

2018/6/1のBS放送の『国際報道2018』で、蔡英文政権下で進む蒋介石時代の弾圧の歴史について調査し、被害者の名誉回復運動を特集したので紹介します。

 

国際報道2018 6月1日放送

負の歴史に揺れる台湾。

初代総統蒋介石と言えば、台湾では偉大な指導者とされていました。

対日本という点では、国共合作で毛沢東と共闘していた蒋介石ですが、戦後すぐ毛沢東の共産党と内戦に突入。結果敗北し、蒋介石の国民党は台湾に逃れます。

日本を追い出し、その代わりに台湾の国家経営を蒋介石国民党が行います。

皇国臣民化には否定的だったとしても、法律や教育など近代的な統治体制だった当時の台湾。その統治システムが、近代的な教育なんてほぼ受けたことがなく、泥にまみれて殺し合いをずーっとしていた集団に、指導層が一気に変わります。

中国人同胞が来たと思ったらとんでもない無法集団で、当然のごとく不満が高まる台湾住民。

国民党が取った対応は、不満を聞いて一つ一つ解消する、なんて方法ではなく、銃弾で黙らせる戒厳令。

この戒厳令が、なんと40年近く続きます。

言論や集会が制限され、その間不当な拘束やえんざい、拷問が行われました。

被害の全容は今の闇に包まれたままですが、蔡英文政権下で実態調査が進められています。

記事も出ています。

移行期の正義促進委員会が5/31に発足

行政院移行期の正義促進委員会が5月31日午前に正式に発足しました。玄関のプレート除幕式には蔡英文・総統、総統府の陳菊・秘書長、頼清徳・行政院長、同委員会の初代主任委員、黄煌雄・主任委員が出席しました。

蔡総統はあいさつの中で、台湾における移行期の正義は補償金の支給や名誉回復証書の授与などにとどまり、政府による系統立った真相調査を通じた、加害者の責任追及が行われてこなかったと指摘、今こそ台湾が権威主義の時代と決別する時であり、それがかなってこそ台湾の民主主義が本当の意味で固まるのだと強調しました。

蔡・総統は、「南アフリカで移行期の正義を実現したツツ主教はかつて、『過去のことは水に流そうと主張する権利は誰にもない。過去の真実を見つめなければ我々は絶えずそれにとらわれることになる』と述べた。今こそ我々が過去の権威主義の時代と決別する時で、この一歩を踏み出してこそ台湾の民主主義は本当の意味で固まるのだ」と話しています。

移行期の正義促進委員会の黄・主任委員は、台湾が1990年代から行ってきた取り組みでは不十分だとした上で、再優先課題は真相の解明と責任所在の整理であり、異なる記憶が理性的に対話できる場を構築して未来の和解を目指すことだと述べました。

黄・主任委員は、「この委員会の最優先課題、最も基本的な仕事の一つは真相の解明だ。このため政府機関の公文書は絶対に公開されなければならない。真相を解明する目的は責任所在を明確にすることであり、歴史の傷口を開くことは政治的報復や対立を生み出すためではない。正義を示し、犠牲者を安らかに眠らせ、被害者家族の心の傷を慰め、許しへと向かうためだ」と話しています。

移行期の正義促進委員会は台北市大安区に設けられました。周辺の住民は、将来的な抗議のデモ活動などを懸念しており、この日、セレモニーの前には台北市議会議員選挙の立候補者や地元の里長が住民を集めて抗議、「学習と生活のための静かな環境を、登下校に安全な環境を」と訴え、委員会は静かなコミュニティを保つよう要求、抗議活動が起きるようなら別の場所に移ることを求めました。委員会側では陳情書を受けとり、集まった抗議者たちはセレモニーが始まるまでに活動を終了しました。

http://japanese.rti.org.tw/news/?recordId=86826

  • 再優先課題は真相の解明と責任所在の整理
  • 異なる記憶が理性的に対話できる場を構築して未来の和解を目指すこと
  • 歴史の傷口を開くことは政治的報復や対立を生み出すためではない
  • 正義を示し、犠牲者を安らかに眠らせ、被害者家族の心の傷を慰め、許しへと向かうため

良いこと言ってます。この目的達成のためにうまく進めてほしいですね。

まず間違いなく中国は葛藤を激化させる方向で邪魔してくるでしょうから、それにまけず台湾の国民統合に役立ててほしいと思います。

国民党叩きに利用するのではなく、「異なる記憶が理性的に対話できる場を構築して未来の和解を目指」すことができるなら独裁政治は過去のものになり、台湾の国民統合と民主制度は安定するでしょう。

ただ過去に蒋介石政権がやってきたことを見ると、かなりもめる可能性は高そうです。

拷問で足がパンパンに腫れあがる、妊婦を棒でたたいて流産させる。

かなりの残虐行為です。

あまり感情的になって復讐心を燃え上がらせると、韓国のように遡及法を執行し、親日派財産没収のようなことになりかねません。

まぁ台湾は大丈夫だろうとは思ってます。

この手の話を聞くと、やはりつるむ相手は大事だなと思わされます。

韓国の左派民主化勢力がおかしくなったのは、つるむ相手が北朝鮮だったからです。

権威主義・独裁政治と決別し、民主化を成し遂げるために、ガッチガチの独裁体制を敷いている北朝鮮と「民族」の看板で共闘してしまったことが、韓国リベラルの最大の失敗です。

さらに韓国の軍事独裁政権を支えたのは、「米国と日帝時代からいた親日派だ」という論理で、反米・反日運動もやってきたのが韓国の左派団体であり、その方向に誘導してきたのが北朝鮮の対南工作です。

台湾の場合は、そういうことはありません。

むしろ独裁国家である中国が弾圧してきた国民党を擁護していますから、台湾のリベラルが中国という独裁国家と連携するということはまずありえません。

台湾民進党は米国や日本との連携を重視していますから、この過去の清算も良い方向で進むでしょう。

まぁあまり反中的になったり、国民党潰しに行き過ぎないようにしてほしいですね。

「昔はすんごい大変だったし、ひどい目にもあったけど俺たち頑張って台湾を良い国にしたよね」という肯定的な感覚で台湾の国民統合を目指してほしいと思います。

くれぐれも韓国の左派のように、間違って生まれた国だとか、民族の正統性がないとか、過剰な自己否定にならないように頑張ってほしいです。