北朝鮮の人権蹂躙を強調した去年の韓国国会トランプ演説が懐かしい

人権の「じ」字もでなくなった北朝鮮情勢。

核にすべてを注目させて、一番触れてほしくない体制維持の肝である「人権蹂躙」には目を向けさせないことに成功しています。

このまま進めば、ホロコーストも真っ青になる最悪な政治犯収容所を運営する国家に、経済支援・人道支援を行うという間接的な人権侵害が行われるでしょう。

あまりに困窮して奴隷を叩くムチを振るう力もなくなった奴隷主に、ごはんを食べさせて新しいムチを与えるようなものです。

そろそろ人権問題も交渉の遡上に乗せるべきでしょう。

別に交渉が破綻すれば良いと思っているわけではなく、時限爆弾みたいなもんでいつかは触れなければならない問題です。

強力な制裁を維持できている間に、核だけでなく人権問題についてもちゃんと北朝鮮側の改善する意思を確認しておくべきです。

が、そんな気配はなし。

去年の韓国国会で行ったトランプ大統領の演説が懐かしい。

 

トランプ大統領 北朝鮮に警告 韓国国会演説の動画と全文(日英)掲載』より、一部抜粋します。

韓国の奇跡は1953年に自由国家の軍隊が前進したまさにその距離、北へ24マイル(38.4キロ)まで広がっています。そこで、奇跡は終わります。すべてがそこで終わります。完全停止です。繁栄は終わり、悲しいことに北朝鮮の監獄国家が始まります。

北朝鮮の労働者は耐え難い状況の下、ほとんど無給で苛酷な長時間の労働をしています。最近では、すべての労働人口が70日連続で働くか、休日を取るためにカネを支払うよう命じられました。

水道設備のない家で暮らす家族もあり、電気が来ている家は全体の半数以下です。親は息子や娘を強制労働から免除してもらうために教師に賄賂を贈ります。1990年代には、100万人以上の北朝鮮人が飢餓で死亡しており、さらに多くの人が今日も飢えで死に続けています。

5歳以下の子どものうち30%近くが栄養不良による発育不全に苦しんでいます。にもかかわらず、2012年と2013年に、現政権は国民の生活水準の改善に充てるはずの予算の半分近くに当たる推定2億ドルを投じて、独裁者を賛美するための記念碑や塔、像をさらに多く建設しました。

北朝鮮経済のわずかな収益の残りは、ゆがんだ政権への忠誠心の評価にしたがって配分されます。国民を平等な市民として評価するのとはほど遠く、この冷酷な独裁政権は、国への忠誠心を測る最も独断的な指標に基づいて彼らを測りにかけ、採点し、ランク付けをします。忠誠心に最も高い評点をもらった人たちは首都の街に住むことができます。最も低い点だった人たちは飢えます。1人の市民のささいな違反行為、例えば、捨てられた新聞に印刷された君主の写真を誤って汚すといった行為により、その人の家族全員が数十年にわたり社会的信用の格下げを被ることもあり得るのです。

推定10万人の北朝鮮人が収容所に入れられ、強制労働をさせられ、常に、拷問、飢え、レイプ、殺人に耐えています。

知られている一例では、9歳の男の子が、祖父が反逆の罪に問われたばかりに10年間、投獄されました。別のケースでは、学生が学校で、キム・ジョンウン(金正恩)の人生に関する詳細をたった1つ忘れたために叩かれました。

兵士たちは外国人を誘拐し、北朝鮮のスパイに語学を教える教師として彼らを強制的に働かせます。

戦前、キリスト教の活動拠点だった朝鮮の一部の地域では、キリスト教信者やほかの信仰を持つ人たちは祈っているところや、何らかの宗教的な本を持っていのを見つかると、拘束され、拷問にかけられ、多くの場合、処刑すらされます。

北朝鮮の女性は民族的に劣ると見なされる子どもを身ごもると中絶させられます。そういう子どもが生まれてしまうと、生まれたばかりの赤ん坊は殺されます。

ある女性の赤ん坊は父親が中国人だったために、生まれるとすぐにバケツに入れられ持ち去られました。看守は、赤ん坊は「不純だから生きる価値がない」と言いました。

なのになぜ中国は北朝鮮を助ける義務があると感じるのでしょうか?

このセリフをぜひ韓国に言ってほしい。「なぜこの国を助ける義務があると文在寅大統領は感じるのでしょう?」と。

北朝鮮での生活があまりに恐怖に満ちているため、市民は政府の役人に賄賂を払って、みずからを外国に奴隷として売り飛ばしてもらおうとします。彼らにすれば、北朝鮮で暮らすよりも奴隷になった方がましなのです。

逃亡未遂は死刑に値する犯罪です。脱北をしたある人はこう言っています。「今、考えてみると、自分は人間ではなかった。動物に近かった。北朝鮮を出て初めて、人生とはどういうものかを知った」と。

このように、この半島で、われわれは歴史の実験室における悲劇的な実験の結果を目の当たりにしました。それは1つの民族の、2つの朝鮮の物語です。一方の朝鮮では、人々が自分の人生や自分の国をコントロールし、自由と正義、そして文明と驚くべき成功の未来を選びました。そして、もう一方の朝鮮では、指導者たちが独裁、ファシズム、抑圧を掲げて、国民を監禁しています。実験の結果は出ており、完全に決定的な結果です。

北朝鮮の激烈な人権蹂躙をコンパクトにまとめた名文です。

これも今は昔。とても去年のこととは思えない状態です。

今じゃこれですから。

凄いな。

ほんと凄いわ。

この笑顔の裏で爪を研いでいるのが北朝鮮ですよ。

こう言うと「非核化の意思は強い」「経済発展に集中したいんだ」「反撃されて負けるんだから攻めてくるわけがない」という反論もあるでしょう。

私も同感です。笑顔の裏で爪を研いでいますが、その爪を振るう相手は米国でも韓国でも日本でもありません。

その点はそこまで心配していない。

問題は、研いだ爪を振るう相手が北朝鮮国民だということです。

その点を問題視しない韓国と米国。そして日本。

先送りしてもかならず人権問題がネックになります。

だったら今のうちにちゃんと取り上げた方が良い。

文大統領は経済制裁を解除しても、北朝鮮が約束を破ればまた制裁を戻せば良いだけといいます。

まぁそう言うならやらせてもいいかもしれませんね。

特に「米国の独自制裁を解除しては?」と呼びかけるのもありかもしれせん。

北朝鮮はありがた迷惑でしょう。

なぜか?

米国の北朝鮮制裁には「人権条項」があるからです。

「人権条項」が存在する限り、米国議会はまず通りません。「米国の制裁解除=政治犯収容所・連座制・密告制・公開銃殺を黙認する」という意思表明をすることになります。そんな不名誉なことを米国の議員がするとも思えない。

政治犯収容所を閉鎖し、遺骨を発掘して慰霊し、連座制・密告制を廃止し、移動の自由も認められ、韓国のテレビ放送が北朝鮮で自由に見れるようになるくらいの「最低限の人権改善」が実現されない限り、米国の独自制裁の解除は不可能です。

文大統領はその辺を分かっているのか謎ですね。

分かって言っているなら韓国が言うと南北対話が破綻するから、米国の口から人権問題を取り上げてもらって、それを梃子に北朝鮮の自由化・改革開放を促す素晴らしい韓国版平和攻勢と言えそうです。

まぁそんな可能性は低そうなので、「人権問題の改善がない限り制裁解除は不可能」ということを知らないだけな気がします。

やはりどこかで必ず人権問題がネックになって進まなくなります。

北朝鮮の狙いは「非核化だけ」渡して体制保証を取り付け、朝鮮人奴隷支配体制はこれからも維持したい、ということでしょう。

それが実現できるなら北朝鮮は本当に非核化をする可能性はあります。

自国民を凶悪な手段で統治するが、諸外国はダンマリ。もしくは批判声明を出すだけで、軍事攻撃や制裁などはしないようになれば御の字。

北朝鮮が目指す国際関係とはこういうものでしょう。国家主権が都合よく使われるパターンです。

国際社会がそういう姿勢でいてくれる限り「核開発はしませんしよ~、輸出もしませんよ~」と平和国家をアピール。しかし、人権問題や北朝鮮の恐怖支配体制に文句をいったら「主権侵害だ!体制崩壊を狙う外国の陰謀だ!やめない限り核武装するぞ!」とキレる。

これが北朝鮮です。

それで良いとでも言うつもりでしょうか?

平和が定着するなら基本北の人権問題は黙殺する文大統領。非核化実現で次期大統領選で大いにアピールできるトランプ大統領。拉致被害者が返ってきたら基本無関心になること間違いなしの日本。

非核化で得られるものが得られたら、外に漏れてこないかぎり北の暴君が何をしようが無視することでしょう。

人権問題は「不可逆的な非核化」を実現してからでも良いじゃないかと言う人もいるでしょうが、そんなことは不可能です。

人権問題に触れたら即「核武装するぞ!今までの交渉を無にする気か!」とキレること間違いなし。

北朝鮮が繰り返し訴えているように、「体制保証」が非核化の条件です。

北朝鮮の体制保証=北の暴君が自国民に何やっても文句言うな、ということです。

このことをもうちょっと重く受け止めて、去年のトランプ大統領の韓国国会演説を思い出してほしいものです。

第二回目の米朝会談が行われる見通しですが、ワシントンも平壌もないとしたらソウルか板門店でしょう。

ぜひその時には今回の国連総会演説のように「去年と比較してこんなにも変わった」と、北朝鮮の人権問題をこれでもかと取り上げたトランプ演説に注目してほしいですね。

そうしてこそ北朝鮮の改革・解放、自由化、民主化が成し遂げられ、その先に南北統一があるはずです。