トルコで一億総火の玉症候群が発生

米国人牧師の解放要求から始まった米国のトルコ制裁。

関税爆弾でトルコ通貨リラが暴落。

トルコには南欧諸国の銀行の融資が中心で、もしトルコが支払い不能に陥った場合、特にスペイン・フランス・イタリアといった銀行に影響があります。

ギリシャの金融破綻が遠のいたと思ったら、今度はトルコです。

トランプ大統領の混乱をまき散らす制裁外交は本当に迷惑極まりない。

さらにヤバイのはトルコの対応姿勢でしょう。

 

交渉よりも対決を選んだトルコのエルドアン大統領。

問題はこれからもっとこじれます!と宣言したようなもの。

エルドアン大統領が「枕の下のドル、ユーロ、金を銀行でリラに両替すべきだ」とトルコ国民に呼びかけました。

これ聞いたとき思いましたね。

「あぁ、ダメだこいつ…」

そりゃ投資家も資本をトルコから引き揚げます。

愛国的、右翼的なリーダーはこれだから困ります。

「強いリーダー」で支持を集めてるから弱腰ととられることをできないのでしょうね。

戦中の追い込まれた日本が「一億総火の玉」とか言い出して結束と徹底抗戦を呼びかけた姿勢と似ています。

「一億総火の玉」症候群とでも名付けましょうか。

こういう非科学的なこと言い出すとダメですよね~。

他にもメジャーなフレーズとしては「鬼畜米英」がありますね。

今に置き換えれば、「帝国主義の米国がー!」という主張でしょうか。

「反帝国主義」。ベネズエラや北朝鮮が好きなフレーズです。このフレーズ聞くと「ああ、ほんとダメな国だな~」と思ってしまいます(笑)

トランプ大統領の対応も批判されるべきですが、エルドアン大統領の事態を悪化させる対応も問題です。

やはり日本の安倍総理のように、対抗関税とか強硬な反論などせず、「保護主義に反対っす~」「自由貿易大事っす~」と原則論言いながら、基本スルーが一番賢い対応ですね。目立たないと米国からの圧迫も後回しになりますから。

トランプ大統領も分かりやすい。自分の支持層には実に忠実です。トルコで拘束されたのが「キリスト教牧師」でなかったら無視してたでしょう。

結局、自分の強固な支持基盤であるキリスト教福音派からの支持を期待してやっただけ。ここまで露骨だと笑えてきます。

あまり批判だけしても芸がないので、トルコがどう対処すべきだったかを考えてみます。

まず、「トルコは法治国家で法に従っているだけ」という原則論を言いつつ、対話には応じると言って交渉を開始。

これで時間が稼げます。

米国側としても、アメリカ人牧師解放に向けて仕事してますとアピールできます。

裁判の再審など始めて、弁護士を米国が選んでいいよと言って不満を和らげる。

裁判の過程で、「トルコの法に従って」弁護士が保釈を求め、それを認めて牢屋からいったん出す。

ここまでくれば、トルコ国内からのエルドアンに対する弱腰批判も防げますし、米国も牧師牢屋から出せたことで目標達成したと喜びます。

これらを3~4年かけてやる。

延々裁判をやる。

ずるずる裁判やってれば、米国・トルコ双方の世論も興味も失います。

3,4年かければ次の大統領選でトランプがいなくなる可能性もあります。

トルコのやるべき対応は「のらりくらりと交渉で時間稼ぎすること」だったと思います。

この辺は北朝鮮を手本にしてもいいくらいです。

アメリカ人牧師一人のために、トルコ人全体が危機に陥る。

もちろん米国に言われたからといってトルコの法に従って拘束された人間をホイホイ解放してるようでは国家失格です。しかし、だからといって勇ましい反論でトルコ経済を窮地に追い込むようではリーダー失格です。

この問題のかじ取りを失敗すると、エルドアン大統領の支持率も急落するかもしれません。

トルコ発の世界恐慌なんてことにはならないことを祈るばかりです。