アメリカ世界戦略の大転換 「リベラルな覇権」から「オフショアバランシング戦略」へ

北東アジア、ヨーロッパ、ペルシャ湾岸

  • アメリカは立地に恵まれた国。アメリカは2世紀以上にわたって、外からの脅威にさらされていない。
  • 二つの大洋に囲まれているために、遠く離れた敵が大きな脅威を突きつけることもない。
  • 広大な領地と豊かな天然資源、多くの人口を持つ。
  • 恵まれた地政学環境ゆえに、アメリカは多少の間違いを犯しても、ダメージを受けにくい。
  • 無謀にも世界を自分のイメージ通りに作り替えようとしても、大きな危険にさらされない唯一の国。
  • しかし、無謀な行動をせずとも、オフショアバランシング戦略ならコストのかかる拡大的な大戦略を模索しなくても、安全を確保し、パワフルな存在であり続けることができる。
  • 西半球での覇権を維持することが前提になるが、伝統的な孤立主義者たちとは違って、オフショアバランシング戦略では、西半球以外にも、アメリカの血と財産を投入しても守る価値のある地域が三つある。
  • それはヨーロッパ、北東アジア、そしてペルシャ湾岸地域。
  • ヨーロッパと北東アジアにおける主要な懸念は、アメリカが西半球を支配しているように、地域的な大国が台頭して、これらの地域で覇権を確立してしまうこと。
  • 実際に覇権を確立できるとすれば、その国は十分な経済的影響力をもち、洗練された兵器を開発し、世界規模で戦力を投射する能力をもち、軍拡競争のためにアメリカ以上の資金を投入する経済力をもっているかもしれない。
  • そうした地域的覇権国が西半球諸国との同盟関係を組織し、米領土に近い地域にも干渉しようとする恐れがある。
  • ヨーロッパと北東アジアにおけるアメリカの主要目的は、地域的なバランス・オブ・パワーを維持すること。
  • ロシアと中国というヨーロッパと北東アジア地域におけるパワフルな国家が、地域的に目を離せない状況を作り出し、西半球地域に干渉できないようにする必要がある。
  • ペルシャ湾岸地域では、中東からの石油の流れを混乱させる力をもち、世界経済とアメリカの繁栄を脅かす恐れのある覇権国が登場するのを阻止することがオフショアバランシングの戦略目的。
  • オフショアバランシングはリアリストの大戦略で、その目的は限定的。
  • 平和の促進は好ましいが、この戦略では想定されない。もちろん、紛争は喜ばしいことではなく、戦争を封じ込めるために外交的、経済的に手を尽くす必要があるが、そのために軍事力を投入することはしない。
  • 1994年にルワンダで起きたような、大量虐殺を阻止することもオフショアバランシングの目的にはなり得ない。
  • もちろん、この戦略でも「明らかな必要性があり、任務が遂行可能で、介入しても事態をさらに悪化させることはない」とワシントンが確信できるのなら、軍事活動が前提から排除されるとは限らない。

 

モンロー主義のような徹底的な不介入主義=孤立主義ではなく、「米国に対抗しうるパワーの台頭を抑止する」という目的にのみ特価した戦略がオフショアバランシング戦略ということですね。

対象範囲も、アメリカの血と財産を投入しても守る価値のある地域は三つだけで、ヨーロッパ、北東アジア、ペルシャ湾岸地域と限定しています。

紛争は好ましくはないが、戦争を封じ込めるために外交的、経済的に手を尽くしても、軍事力を投入することはしない。ルワンダで起きた大量虐殺を止めることもオフショアバランシング戦略の目的にはなりえない。

つまり米国を脅か新たな地域覇権国家が台頭し、それを抑える地域諸国がない場合に限り、大規模な軍事力投入を行うだけで、それ以外は全部無視、ということです。

中東やアフリカ、南米の独裁者が過酷な自国民弾圧をしても、外交・経済的に追い詰めるだけで、軍事侵攻はしないということです。

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