アメリカ世界戦略の大転換 「リベラルな覇権」から「オフショアバランシング戦略」へ

選択的エンゲージメント

  • 「リベラルな覇権」は拒絶すべきだが、「ヨーロッパ、北東アジア、ペルシャ湾には問題が表面化しないように、一定規模の戦力を前方展開し続けるべきだ」と考える人もいる。
  • 「こうしたローコストの保険策なら、紛争発生後の現場に駆けつける必要がないので、長期的にコストと人的犠牲を最低限に抑えることができる」という考え方。
  • これを「選択的エンゲージメント」と呼ぶ。しかし、このアプローチは、聞こえはよくとも、実際には機能しない。
  • このアプローチをとれば、結局は「リベラルな覇権」路線へと逆戻りする危険がある。
  • 主要地域の平和の維持にコミットすれば、結局、アメリカの指導者は「民主国家同士は戦争をしない」という広く受け入れられている理論を根拠に、民主空間を拡大したい欲求に駆られる。
  • 実際、冷戦後のNATO東方拡大路線を支えたロジックは、「普遍的に民主的なヨーロッパ(の構築)」というスローガンだった。
  • こうして、選択的エンゲージメントと「リベラルな覇権」を区別するラインは消滅していく。
  • 選択的なエンゲージメントの支持者たちは、「世界の重要地域に米軍のプレゼンスがあれば平和を維持できるのだから、アメリカは遠くの紛争に巻き込まれる心配をしなくてもよくなる」と言うが、この前提は過度に楽観的。
  • 同盟国が無謀な行動をとる恐れもあるし、アメリカが紛争を挑発してしまう恐れもある。
  • 実際、アメリカの調停者はヨーロッパにおいて1990年代のバルカン紛争も、2008年のロシアとグルジアの戦争も、そしていまも続くウクライナ紛争も阻止できなかった。中東における最近の戦争についても、アメリカには責任がある。
  • 南シナ海では、米海軍がかなりの役割を担っているにも関わらず、紛争がいつ起きてもおかしくない状況にある。
  • 世界各地に米軍を配備しても、それで平和を維持できるわけではない。
  • 選択的関与では責任転嫁の問題にも対処できない。NATOがロシアからの高まる脅威に直面しつつあると認識しているにも関わらず、イギリスはヨーロッパ(ドイツ)から部隊を撤退させつつある。
  • ヨーロッパの平和はアメリカ以上にヨーロッパ諸国にとって重要であるはずだが、それでもワシントンが問題に対処することが期待されている。

 

「リベラルな覇権」では反対だが「ヨーロッパ、北東アジア、ペルシャ湾には問題が表面化しないように、一定規模の戦力を前方展開し続けるべきだ」と考える「選択的エンゲージメント」論者のロジックを明確に否定しています。

結局、大規模な部隊を駐留させたら「リベラルな覇権」へと戻ってしまうというのが筆者の主張ですね。

同盟国の暴走による巻き込まれ紛争から逃れられないし、地域国家のただ乗り(フリーライド)も防げない。

前線に米兵を置いていたら、結局米兵を助けよう!となってガッツリ介入する羽目になります。

逆に、米軍駐留を望む国の狙いはそこにあったりします。これをトリップワイヤーといいます。

ポーランドがこれを狙ってるようですね。

ロシアの脅威が高まっているにも関わらず、軍事に力を入れない西欧諸国の姿勢を見れば、当然の選択肢でしょう。

頑張ってるのは国境を接している東欧諸国やバルト三国、フィンランドなどです。

暗殺事件もあってイギリスはだいぶ対ロシア警戒感が強まっていますが、EUの盟主であるドイツはロシアからガスをせっせと買って、ロシアに大金を送ってます。

そのお金がミサイルや戦闘機、戦車へと投資されるわけですね。

そのくせ安全保障は駐留米軍に頼る。

そりゃ米国もNATOにキレますよ。

横暴なトランプという構図での報道が多いですが、言い方が悪いだけで結構本質をついていたりします。

結局、アメリカの強大な軍事力に頼って安全保障を考えないようになると、米軍がいりゃ安泰だわ~と自国の安全保障に無関心になり、ただ乗りが発生して米国の負担になる、ということです。

まさに日本です(笑)

ただ乗りする側はとってもありがたいですが、される米国からしたら負担が増してパワーが減退し、別の覇権国に対抗できなくなります。

ヨーロッパのことはヨーロッパに任せる。米国は撤退する。

こうやって突き放すべきだというのがオフショアバランシング戦略です。

突き放した方がEUもちゃんと安全保障に金を出すようになるでしょう。

日本や韓国も同じです。

自国のことは自国でやれ。

米国を脅かす対抗国家が出てきたら助けるけどそれ以外は知らん。

今後、アメリカはそういう方針に切り替えていくでしょう。

(次ページに続く)