トランプ大統領が在韓米軍撤退は考えていないと明言しました。
喜ばしいことです。
韓米防衛費分担金交渉も、妥結しそうです。
いつも「妥結間近!」と報道されてから「やっぱり決裂しました!」を10回繰り返してきたので今回も最後の最後に決裂する可能性もありますが、トランプ大統領が直接言及したところを見ると、ほぼほぼ交渉妥結確定で間違いなさそうです。
ただ手放しで喜べるような状況でもない模様。
金額は抑えたが、有効期間は1年で、毎年この交渉をやることになりそうです。
在韓米軍駐留費用などを含む第10回韓米防衛費分担金協定(SMA)が早ければ今週中に妥結するようだと3日、外交担当の高官が伝えた。分担金総額は10億ドル(約1095億円)未満、協定有効期間は1年になる見通しだ。外交筋は「韓米間で総額に関する意見を大きく調整しており、近く終えられるようする」と話した。
今回のような交渉を毎年。。。
う~ん、しんどいですね~。
毎年韓米同盟の結束を試されるわけです。
交渉戦術としてトランプ大統領は「在韓米軍を撤退させたい。ただし金を出すならいてもいい」という発言を繰り返すでしょう。
そのたびに韓国の反米ナショナリズムは刺激されます。
南北融和が進み、米朝間で平和協定が締結されて平壌にアメリカ大使館でも出来れば、「金額上げろ」と要求する米国に戦争リスクは低下しているのになぜ金額を上げねばならんのだ!と思うのは当然です。
トランプの挑発的な言説に「だったら出て行ってもらって結構!」という韓国国民も増えるでしょう。
米国としては対中包囲網の一環として韓国の負担増を望むでしょうが、中国に目を付けられたくない韓国としては、対中国目的での分担金アップは理由にしづらい。
ありえそうなのは「軍国主義化する日本を抑えるためにも在韓米軍は必要だ!」という理由で国民を説得する方法でしょうが、そのたびに日韓関係は悪化して経済面でも影響が出てくるでしょうし、言えば言うほど米国が韓国の正気を疑うことになります。
米国に「こいつら正気か?」と疑われては韓米同盟そのものが破綻しかねません。
どう頑張っても北朝鮮がミサイルぶっ放したり、核実験したりしない限り、在韓米軍はどんどん縮小していくしかなさそうです。
結局のところ今回の交渉妥結も、にわかに広がっている在韓米軍撤退を懸念する声をかわすために決めただけでしょう。
本音は在韓米軍撤退。トランプの意思は揺るぎないと思います。
シリアもアフガニスタンも撤退による様々な懸念が提起されていますが、結局撤退へ向けてズンズン進んでいるわけです。
在韓米軍も同じ道をたどると思います。
まぁそれもしょうがない。
圧倒的国力差があるのに、韓国が北朝鮮に対して安全保障上の危機感を全国民的に抱けというのも無理な話し。
個人的には「もっと危機感持てよ!」という気持ちですが、「わが民族同士」で目が曇っている状態ではどうしようもない。
平和条約を締結するのか、ICBMを破棄するのか、どんな条件で折り合うのかまだまだ予断を許しませんが、南北間の軍事的緊張が緩和し、韓国左派が繰り返し主張している”平和体制の定着”が成し遂げられれば、在韓米軍は縮小・撤退へと動きだすでしょう。
そもそも、”平和体制の定着”も幻想でしかないんですけどね。
しかし、そういう点は見ようとしないもんです。
人間誰しも信じたいものを信じるものです。
幻想が崩れてからヤバイことに気付いても手遅れでしょう。
一度いなくなった米軍を呼び戻すのは、大変です。
同盟関係は維持されるでしょうが、初撃でソウルを占領され、核攻撃を受けるリスクを冒してまで米軍が助けに来るかは非常に怪しいわけです。
そうさせないためにも”人質”のごとく米軍とその家族が韓国に常駐していることが大事なわけです。
軍隊内の仲間意識はかなり特別で、戦友を見捨てることはまずありえません。戦士の文化を持つ米国ならなおさらです。
米軍撤退は、その”確実な保険”を手放すに等しい。
ただそうは言っても足元を見られて唯々諾々と米国の金額交渉で増額を飲み続けるわけにもいかない。
結局、自国は自国で守るという意思と実力を身に着けるしかないでしょう。
要は、米軍がいようがいまいが、韓国が北朝鮮に勝てればいいわけですから。
日本にも同じことが言えます。
今後進むであろう在韓米軍撤退は、不安ではありますが覚悟を決める良い機会かもしれません。