『韓国の民族意識と伝統』在日朝鮮文化人への疑問 その2

昨日に続き、田中明著『韓国の民族意識と伝統 (岩波現代文庫)』より、今も通じる在日朝鮮人への疑問(というか苦言)を紹介します。

二重性、親北性がよくあらわれているのが、朴正煕政権時代の韓国批判の論理が、なぜか今の北朝鮮へは適用されないことでしょう。

 

ここで在日朝鮮人作家の李恢成氏に登場して頂こう。氏を例にあげるのは、私がかつては氏の小説のファンであったという個人的理由にもよるが、何よりも氏が芥川賞作家というところから日本社会にたいする発言の場を多くもっており、影響するところが少なくないからである。

八〇年九月、韓国の金大中裁判で死刑の一審判決が下されたあと、『朝日ジャーナル』一〇月三日号に李恢成氏の意見を聞く四ページにわたる長いインタビュー記事が載った。その最後を氏はつぎのようにしめくくっている。

 いま必要なのは、なんと言っても(金大中氏を)殺すなという国際的な世論のまえで、日本政府は「憂慮します」という生ぬるいことではなく、もっと断固とした外交的な措置に踏み切るべきです。そうでなければ日韓関係史、現代史における拭うことのできない一大汚点になりかねない。
 内政干渉を懸念してのことだとも言われていますが、平たい話が、罪なきものが殺されようとしているし、しかも日本がその人を死に追いやっているのに、及び腰で内政干渉を言っている次元じゃないでしょう。ぼくは、韓国政府が極めて信ずべからざる暴挙をあえてなすときに、日本政府がそれに対して非道を思いとどまらせるような断固とした態度をとることは、内政干渉ではなくて、日本国民の毅然とした民主主義の意志を忠実に代弁することだと思っています。

重要な箇所を赤字にしようとしたらほぼすべてが赤くなりました(笑)

この発言が、朴正煕時代の韓国へは出ても、金一族の支配する北朝鮮には出てこないのが在日社会が北のコントロール下にあるという良い証拠でしょう。

「金大中を殺すなという声」を強調して日本政府に毅然とした態度を取れ!とは言っても、脱北者を殺すなという声は無視して協力もしない。

金大中の件で圧力を掛けなければ「日韓関係史、現代史における拭うことのできない一大汚点になりかねない」とは言うのに、帰還事業で何万人もの北送された在日一世・二世たちや北の朝鮮人民2千万を奴隷状態で放置することについて、「一大汚点になりかねない」と怒る声もまず聞かない。

「内政干渉を懸念してのことだとも言われていますが、平たい話が、罪なきものが殺されようとしているし、しかも日本がその人を死に追いやっているのに、及び腰で内政干渉を言っている次元じゃないでしょう」というセリフがなぜか北朝鮮相手には出てこない。

韓国政府が極めて信ずべからざる暴挙をあえてなすときに、日本政府がそれに対して非道を思いとどまらせるような断固とした態度をとることは、内政干渉ではなくて、日本国民の毅然とした民主主義の意志を忠実に代弁することだと思っています」という発言も、韓国と北朝鮮を入れ替えればそのまま通じます。

北朝鮮が極めて信ずべからざる暴挙をあえてなすときに、日本政府がそれに対して非道を思いとどまらせるような断固とした態度をとることは、内政干渉ではなくて、日本国民の毅然とした民主主義の意志を忠実に代弁することだ」と言うリベラルも皆無です。

制裁は意味がないとか、話し合いが大事とか、まずは国交正常化だと言い出す輩が大半です。まず間違いなくこの人たちは70年代の日本に生きていれば朴正煕をファシストと呼んで非難していたでしょう。

いったいこの時の情熱はどこに消えたのか?

朴正煕時代のファシズムがLV.100だとしたら、北朝鮮のファシズムはLV.100万はいくでしょう。圧倒的ですよ、北の弾圧は。

低レベルのファシズムには喜々として糾弾するのに、圧倒的なファシズムには戦争を誘発するから穏便に…となる。

この体たらくで民族性だの民族の誇りなど言われても、共感する日本人も、納得する在日コリアンの子孫もいないでしょう。

昔から変わらない一貫した共通点は、北朝鮮が喜ぶ運動には在日は声を上げるが、不利になることにはダンマリを決め込むことでしょう。

なぜ北の人権問題には取り組まないかというと色々理由を述べてくれますが、最終的には「嫌いな右翼を利するから」「排外主義者を喜ばせるから」というのが本音ですね。

まぁ気持ちは分かります。ただ、それってクサレ右翼とロクデナシ排外主義者をとっちめて、日本がより良い社会になるための活動ですよね?と思ってしまいます。

こういうところが日本人化してしまっている良い証拠でしょう。

別にそれで良いとは思いますが、その情熱の10分の1でも北の圧政に苦しむ朝鮮人に向けてはどうですか?とは言いたくなります。

インタビュー記事であるから、微妙なニュアンスは出ていないかも知れないが、これだけしゃべっていれば、日本政府に韓国政府への圧力を求めるという大筋に違いはあるまい

これを読んでも先の岩井談話同様、大方の日本はさして異としないであろう。〝けしからぬ韓国〟に影響力を行使することが何が悪いという気持は一般化しているからである。李氏の言は、それと全く平仄(ひょうそく)が合っている。しかし、ちょっと立ち止まって考えてみると、朝鮮人である氏が、日本政府にたいし、政治的に対立しているとはいえ、おのが母国へ圧力をかけよ迫ることは、いかにも不思議である。そもそもこういう例は他の民族にも見られることなのだろうか。最も国際連帯を強調する共産主義運動でも、各国共産党はプロレタリアートの祖国ソ同盟に資金や指針を仰いだことはあったにせよ、おのが国が搾取と抑圧の社会だといって、それにたいする外国の圧力を一般マスコミ上で堂々と(?)要求することはあっただろうか。しかも、韓国民にとってかつて植民地支配された日本は、圧力など最もかけられたくない国のはずである。

それに、もし李氏がいうように、日本政府が「断固たる措置」をとり韓国政府の方針を改変させるだけの力をもっていたとしよう。そして韓国政府を屈伏させたとしよう。その場合、ことはそれだけで終わり、その後は何の干渉も介入もないと思っているのだろうか。だとすると、われわれは李氏の日本政府にたいする信頼のあつさに感謝すべきであろう。

韓国や在日社会を深く知る著者ならではの鋭い視点です。

まぁこうなるのは仕方ないと思います。日本で生まれて日本で育てば、そりゃ日本の文化に染まりますし、日本の文化や考え方に影響を受けます。

問題は、北朝鮮に対しては、日本を使って人権弾圧をやめさせよ!という意見が出てこないことでしょう。

著者の田中明氏は「朝鮮人である氏が、日本政府にたいし、政治的に対立しているとはいえ、おのが母国へ圧力をかけよ迫ることは、いかにも不思議である」と書いていますが、こと北朝鮮に対しては、矛盾なく必死に祖国・北朝鮮を擁護します。

北朝鮮に比べたら天国に思える朴正煕時代の韓国には断固たる措置を取れと日本政府に圧力をかけるのに、朴正煕時代の韓国の弾圧がガキの遊びに思えるほど、苛烈を極める人権蹂躙をする北朝鮮には、宗主国意識を捨てろとか、日本は軍国主義へ回帰しようとしてるとか、色々と御託を並べてかばおうとします。

本人たちは矛盾を感じてないのが救えません。

(次ページに続く)