憎悪の扇動に使われる『済州島四・三事件』

「悲劇をくりかえさないため」という大義を掲げながら実際は政府叩きに利用されるツールになってしまった「済州島4・3事件」。

実際に弾圧された当事者でもないのに、政党間の権力闘争に利用でき、市民団体の寄付金ビジネスにも利用できるという実利も絡んで、収束することなく、順調に憎悪の拡大再生産が行われています。

こういうところは実際に植民地支配されてひどい目にあわされたわけでもないのに、植民地時代の世代よりえらく感情的になるのと似ています。

 

この手の運動で理解できないのは、ごくごく一部の右派がささやかな反論をするたびに「まだ反省が足りない!」「このままでは悲劇がくりかえされる!」と怒り狂ってどんどん啓蒙活動が活発化し、その結果憎悪の拡大再生産が行われ、一向に沈静化しないことです。

この人たちの望み通りにすると、反論や疑義を提起する人たちを軒並み牢屋送りにして思想教化でもしたいのか?と聞きたくなります。

私の考えですが、この手の運動は再発防止ができれば悲劇は忘れて良いと思います。

日本の部落差別なんかもそうでしょう。もはや若い世代でそんな感情を持っている人などいないわけです。下手に教えたら、子供が遊び半分で「えた・ひにん」なんてNGワードを面白がって使い出すこと間違いなし。知らなければ差別意識そのものを持つこともないわけです。

歴史上そういうこともありました、人間は平等です、こういうことをやっちゃだめです、とサラッと教えるくらいが無難でしょう。その程度に留めておく方が子供の教育には良いと思えます。

韓国の戦後すぐの「済州島4・3事件」や「保導連盟事件」のように、残酷写真をふんだんに使って恐怖を与え、トラウマを植え付け、反政府・反軍隊意識を醸成するような洗脳まがいの教育はやらない方が良いと思えます。

一部の反論を取り上げて「反省してない!」と感情的になりますが、大事なのは再発防止です。

で、再発防止が出来ているかと言えば、間違いなくできています。

経済的に豊かになり、人をむやみに殺してはいけませんという最低限の人権意識が国民全体にいきわたる。

これが再発防止です。

もはや軍隊や警察に市民を撃てと命令したところで、市民の方が武器庫襲って武装でもしてない限り、軍隊がそんな命令など聞くはずもありません。

市民にボコられてもギリギリまで耐えるのが韓国の警察です。

これでどうやって市民を弾圧しろというのか?むしろ警察の方が市民に弾圧されてます。(笑)

韓国市民だって武器庫襲って武装しようなんて気合の入った人間もいません。そんなことやっちゃダメだというモラルは持ってます。

だいたい建国の混乱期にはそういう血で血を洗う争いはつきものです。

日本だって明治維新という国民国家への体制変革期(=近代国家”建国”期)には、西郷隆盛主催の西南戦争で鹿児島から、そして新選組の土方歳三が散った北海道まで、日本縦断で日本人同士が殺し合いしてます。

この激烈な内戦を経て、前時代的なちょんまげ大好き侍さんを粛清して、近代兵器で武装した一般人が中心の近代的国民国家へと変わったわけです。

日本敗戦によって韓国が解放・独立し、米ソ冷戦の始まりという揉める要素しか見当たらない状況での大韓民国建国です。

そりゃあ色々あるでしょ。

無念の死を遂げた人々を忘れず、繰り返さないよう伝えていくことは大事だと思いますが、時間が経てば経つほど感情移入が難しくなるのはいたしかたない。そんな軽く考えるな!と言われても70年以上前のことを重視せよと言われても無理でしょう。

だいたいこの件を保守政党と革新政党の権力争いに利用する方がおかしな話です。

江戸幕府が長州・薩摩主導で打倒され、たくさん殺されたからと言って東京都民が山口県民・鹿児島県民と揉めたりはしません。

が、韓国はそれがまかり通ってます。

左派政権の支持基盤である全羅道では、済州島4・3事件を無辜の市民が独裁者李承晩に虐殺されたと悲劇性と被害性を強調して保守政権を批判し、李承晩~朴正煕~全斗煥時代を悪魔化。

右派政権の支持基盤ではその逆。共産主義を支持する人たちが武装蜂起して、大韓民国単独選挙を邪魔したので鎮圧しただけ、何が問題なの?という感覚。

もめるもめる(笑)

日本植民地支配を強くけしからんと思っている人たちに「あの頃は帝国主義全盛期の時代で、力のない朝鮮が力をつけた日本に併合されただけでしょ、何が問題なの?」なんて言ったらどういう反応するか想像すると分かりやすいかもしれません。

きっと口角泡飛ばす勢いで「極右」呼ばわりして「妄言だ」と批判されること間違いなし。

「済州島4・3事件」も同じ構図です。

右派と左派、どっちの言ってることが正しいの?と言われれば、どっちも間違ってるしどっちも一理あるというしかない。単純化などできない問題です。

あえて一言で言うなら、「建国の混乱期にはこういうことはよくあるんです」という感じでしょうか。

世界中見渡しても独立・建国の際には盛大に殺し合いやってます。だいたいそうです。

人間とはそういうものですから、殺し合いの時代が終わって安定した時代に生まれたことを感謝しつつ、厳しい時代で無念の死を遂げた人たちを悼む。

それが限界ですし、それで良いと思います。

が、そうはならない「済州島4・3事件」。

他にも「保導連盟事件」や1980年の「光州事件」も一緒。

今現在の政治の権力闘争に使えるもんだから、まぁ沈静化しない。

さらにこれを北朝鮮が利用するもんだから、「従北」「北の工作員」なんてフレーズも飛び出して来てどんどんややこしくなる。

そしてそのレッテル張りが一概に間違いとも言えない。韓国の軍事独裁政権批判に「済州島4・3事件」「保導連盟事件」「光州事件」を使うのに、韓国軍事政権の100倍は凶悪な北の軍事独裁政権には異様に甘い。

同じだけの情熱で、いやその半分でも良いから北の人権蹂躙を批判するなら彼らの善意も信じられますが、基本無視。

理由は簡単。嫌いな右翼が熱心に取り組んでいるから。

表面的には「普遍的な人権問題」掲げていても、根っこに「嫌いなアイツらを道徳的に非難して優位に立てる」という本音があるもんだから本来良い活動のはずが「憎悪の扇動」に成り下がってしまう。

なんとも難しい問題です。

まぁもはや70年も前の事件です。

韓国で共産主義者の武装蜂起なんてありえませんし、韓国軍が無辜の市民に発砲するなんてこともありえません。仮に命令しても現場がボイコットするでしょうね。

いい加減、感情移入するように情熱的に語り継ぎ、子孫に被害者意識と憎悪を伝承するような真似はやめた方がいいでしょう。

歴史の教科書で「こんな悲劇がありました、こういうことは繰り返してはいけません」程度でサラッと終わらせるのが良いと思います。

日帝植民地支配ネタもそうですが、この辺の1945年プラスマイナス10年近辺の歴史認識問題はもう本当に疲れる。

こんな大昔のことに熱心になれるのが理解できん。

こういう人たちには「そんな大昔のことより現在進行形の北朝鮮で行われてる収容所での人権蹂躙の方がよほど重要じゃないですか?」と聞いてみたい。

どう考えても、現在進行形で行われている隣国の人権蹂躙を止める方が生産的でしょう。

ま、こんなこと言ってもやめないでしょうけどね、彼らは。

もうどうしようもないっすわ~。